チャットボットとは?種類や仕組みを図解付きで簡単に解説
チャットボットは誰でも利用した経験があるはずですが、仕組みについてはよく知らない方もいるでしょう。
この記事では、チャットボットの仕組みやAIとの違い、さらに導入事例まで一通り分かりやすく解説しています。
チャットボットの仕組みを理解して自社のビジネスに効果的に活用したい方は、ぜひご一読ください。
チャットボットとは?基本的な情報をおさらい
「チャットボット」とは、「チャット(Chat)」と「ボット(Bot)」を合わせた言葉です。
チャットとは、PCやスマートフォンの画面上でテキストをやり取りしてコミュニケーションを取るツールです。
ボットとは、ロボットが語源ですが、一定の作業やタスクを自動化するためのプログラムのことを指します。
この2つを組み合わせたものが、チャットボットです。
チャットボットを導入すれば、本来は人と人とのやり取りであるチャットを自動化することが可能です。
では、どのような仕組みでチャットの自動化を実現しているのでしょうか?チャットボットを比較検討する際に、注目すべき点はどこなのでしょうか?
この機会にチャットボットの仕組みや導入のポイントを押さえておきましょう。
チャットボットとAIの関係とは?
チャットボットには、AIと組み合わさったものもあります。ルールベースに、Aと聞かれたらBと答える、というつくりではなく、AIが学習し、予測して回答する製品が存在します。
ルールベースのものよりも、より人間らしい会話ができるメリットがあります。
チャットボットの種類と仕組み
2020年現在、チャットボット市場は右肩上がりで急成長しています。
その結果、様々な種類のチャットボットが利用できるようになりました。
選択肢が豊富になったことは大きなメリットといえるでしょう。
しかし、チャットボットの仕組みや特徴を理解していないと、導入に失敗することもありえます。
そこでまずは、チャットボットの種類と仕組みをしっかりと理解しておきましょう。
チャットボットは、次の4種類に大別できます。
- ルールベース型
- キーワード分析型
- データベース蓄積型
- 人工知能(AI)付き
それぞれのチャットボットの仕組みは以下の通りです。
ルールベース型チャットボット
「ルールベース型」のチャットボットは、別名シナリオ型と呼ばれています。
ルールベース型の場合は、予め設定したルールやシナリオに沿って選択肢を提示し、ユーザーがその答えを選ぶことで対話していく仕組みです。
テキストを入力しなくても、知りたい情報が得られる点が特徴といえます。
気軽に利用できる仕組みなので、電話やメールよりも問い合わせのハードルを下げることができるでしょう。
ルールベース型のチャットボットの成否は、どのようなシナリオを設計すれば顧客ニーズを満たせるか、どれだけ豊富なフローチャートをプリセットしておけるか、といった点にかかっています。
キーワード分析型チャットボット
「キーワード分析型」のチャットボットは、ユーザーの問いかけの中から重要なキーワードを分析し、そのワードに合った答えを提示する仕組みです。
キーワード分析型の場合は、「このキーワードが含まれていればこう答える」という比較的単純なプログラムなので、応用が効きにくい面があります。
登録されているワード数が少ないとチャットが上手く機能しないケースもあるでしょう。
キーワード分析型チャットボットの精度を上げるためには、キーワードとそれに対する答え(テンプレート)を大量に登録しておく必要があります。
データベース蓄積型チャットボット
「データベース蓄積型」のチャットボットは、過去に行った会話のログをデータベース化することで、チャットのユーザビリティを高めていく仕組みです。
データベース蓄積型の場合は、導入直後は会話ログの登録数が少ないため、必ずしもスムーズな返答ができません。
逆にいうと、運用を継続するほど使い勝手が向上するのが特徴です。
データベース蓄積型のチャットボットを効果的に運用するためには、定期的なアップデートが欠かせません。
人工知能(AI)付きチャットボット
「人工知能(AI)付き」のチャットボットは、言語処理や機械学習の技術を活用し、AIがユーザーの発した言葉の意味や文脈を理解して返答する仕組みです。
有名なところでは、スマートフォンの音声アシスタント機能を想像してもらうと分かりやすいでしょう。
ちなみにスマホのアシスタント機能の場合は、音声認識の機能がプラスされていますが、人工知能付きチャットボットの一種です。
人工知能付きのチャットボットは汎用性が高いため、あらゆるサービスに対応できるのが特徴です。
機能が複雑な分、運用が安定するまで時間がかかりますが、メンテナンスを欠かさなければ、次第に人間に近い受け答えができるようになります。
チャットボットを導入するメリット・デメリット
続いては、チャットボットのメリット・デメリットをチェックしていきましょう。
チャットボットを効果的に導入するためには、メリットだけでなく、デメリットも併せて把握しておくことが大切です。
-
<メリット>
- 24時間年中無休で対応可能
- 業務の効率化に有効
- 潜在ニーズの把握につながる
- 顧客満足度の向上が期待できる
-
<デメリット>
- 導入や維持に手間がかかる
- 費用対効果が合わないケースがある
チャットボット導入のメリット
潜在ニーズの発見につながる
問合せフォームへの問合せというのは、少しハードルが高いイメージがあります。問合せをしたら、必ず連絡がきて、アポの打診を断らなくてはならないのでは、、、というところまで想定していまいます。
しかし、チャットボットであれば、人ではなく機械が対応しているため、気軽に問合せをしやすいです。それにより、意外な業種からの問合せが多いことを発見できるなどのメリットが考えられます。
24時間年中無休で対応可能
電話の問合せやメールの問合せは、日中帯でないと即座に対応ができません。しかし、チャットボットであれば、人を張らずに24時間対応ができます。そのため、問合せを逃すリスクが無くなります。
問い合わせ業務の効率化が可能
問合せ業務として、電話番の係を用意しなくてはならないですが、電話番のみをする人を雇うというのは現実的ではありません。ですので、営業事務の方が業務の合間に実施するなどが現実的でしょう。ですが、問合せがある度に手が止まってしまいます。
そこで、その問い合わせ業務をチャットボットに任せることで、業務効率化が見込めるでしょう。
顧客体験や顧客満足度の向上
例えば、チャットボットを販売している企業の場合、自社サイトにチャットボットを設置して、実際に商品を体験させるというのは非常に効果的でしょう。
また、電話がつながらないなどといったストレスはなく、顧客満足度の向上も見込めるでしょう。
チャットボット導入のデメリット
導入コストが高く、時間もかかる
1つ目は、導入コストが高く、時間もかかることです。費用の相場ですが、初期費用で10万円~100万円、月額費用は5万~30万円程度になります。AIつきですと高い傾向になります。
導入や維持に手間がかかる
2つ目は、導入することと維持することに、工数がかかることです。まず、チャットボットにQAを入れ込むために、社内のQAをまとめることが必要です。また、導入しても日々メンテナンスが必要です。そういった人員を用意しなくてはなりません。
シナリオ外の質問や細かな質問に対応できない
3つ目は、シナリオ外の質問や細やかな質問に対応できないことです。シナリオ型は、用意しているQA以外の回答ができません。よって人が対応するような寄り添った対応ができない点はデメリットです。
チャットボットの選び方
では、どんなチャットボットを用意するとよいのでしょう。業種タイプ向けに紹介していきます。
ルールベース型チャットボットが向いている企業
「ルールベース型」のチャットボットは、プリセットされたシナリオに沿って選択肢を提示し、ユーザーはその答えを選ぶだけで知りたい情報に辿りつく仕組みです。
チャットボットの質問に択一的に答えるだけでよいシンプルさと手軽さがユーザーの利用を促します。
ルールベース型が向いているのは、シナリオに沿ったいくつかの設問に答えてもらうことで、最適なサービスを案内するような企業です。
例えば、保険会社や金融機関などのコールセンターとマッチングがよいでしょう。
ルールベース型チャットボットなら、ユーザーに年齢や職業などを答えてもらい、おすすめの保険プランや金融商品を案内する……といった使い方ができます。
キーワード分析型チャットボットが向いている企業
「キーワード分析型」のチャットボットは、登録されているワードを手がかりにして、ユーザーから必要な情報を聞き出す仕組みです。
登録されたワードやテンプレート以外には対応できないので、ある程度キーワードが想定できるサービスへの導入が前提となります。
ちなみに、若年層が使い慣れているSNSタイプのUI(LINEなど)と連携して導入されることも多いのがこのタイプのチャットボットです。
キーワード分析型が向いているのは、ネットショップや通販会社といったEコマース系の企業。注文や発送、返品……など、キーワードが絞り込みやすいのがその理由です。
ECサイトや通販系コールセンターの顧客対応業務は、ある程度ルーティン化しているものの、有人で行うと手間と費用がかかります。
キーワード分析型チャットボットを導入すれば、受注や返品対応といったルーティンワークの効率化とコスト削減が同時に実現できるでしょう。
関連記事:コールセンターへLINEチャットボットを導入するメリットとは?
データベース蓄積型チャットボットが向いている企業
「データベース蓄積型」のチャットボットは、過去の会話ログを参考にすることで、ユーザーのニーズに合った返答ができるツールといえます。
データベース蓄積型が向いているのは、日々の問い合わせ件数が多く、現状のままでは対応しきれない企業やサービスです。
データベース蓄積型の場合は、対応件数が多いほど会話ログのデータベースが充実するため、チャットボットのユーザビリティが着実に向上していきます。
例えば、大規模な宿泊施設の予約対応や観光会社のチケット発行業務などに導入すると効果的です。
人工知能(AI)付きチャットボットが向いている企業
「人工知能(AI)付き」のチャットボットは、言語処理プログラムや学習機能を駆使して、人間に近い対話を実現する仕組みです。
フリー入力の質問に対応できるので汎用性が高く、あらゆる企業やサービスに活用できます。
さらに、人工知能付きのチャットボットは、聞き役としてユーザーの悩みや相談に答えることもできるので、例えば婚活系のサービスやプライベートな悩みを扱う企業に向いています。
人間(オペレーター)を相手にするとなかなか本音がいえないユーザーでも、チャットボットが相手なら申し込みや入会のハードルが下がるでしょう。
チャットボットのコスト
チャットボットの導入に際しては、費用対効果を考慮することも重要なポイントになります。
チャットボットを導入・運用するために必要となる費用は以下の通りです。
- 初期費用
- プログラムの登録費用
- アップデート/メンテナンス費用
チャットボットを導入する際に、シナリオやキーワード、会話ログ、FAQといったプログラムの登録作業を自社で行うこともできますが、意外と大変な作業です。
専門家に依頼すれば手間もかからず安心ですが、その分のコストが発生します。
同様に、チャットボットの回答精度を上げるためにプログラムを改良する際にも追加費用がかかります。
なお、初期費用の相場は、一般的な(人工無能型)チャットボットの場合が10万円から、人工知能(AI)付きが約20万円〜100万円程度といったところです。
アップデートも含めた維持費用の相場は、一般的なチャットボットが5万円から、人工知能付きが5万〜30万円程度となっています。
ただし、特定の用途に特化した最も安価なチャットボットなら、初期費用無料で維持費を最小限に抑えることも可能です。
無料のチャットボットを使う時の注意点
チャットボットの普及が進んだ現在では、無料で運用開始できるサービスもたくさんあります。
ただし、無料のチャットボットには、いくつか注意点があるので確認しておきましょう。
注意すべきポイントは以下のようなところです。
- 無料期間が限定される
- 使用可能な機能が制限される
- 日本語対応していない
チャットボットの中には、無料と謳っているサービスも多くありますが、一定期間だけという条件付きの場合もあるので注意しましょう。
さらに、サービスの普及のために、機能限定盤として無料のチャットボットを提供していることもあります。
いくら無料でも、自社の課題を解決できないチャットボットでは導入する意味がありません。
導入に際しては、本当に必要な機能が実装されているかしっかりと確認しておきましょう。
世界的に有名な海外ベンダーのチャットボットが無料で利用できることもありますが、残念ながら日本語に対応していないケースも多々あります。
無料のチャットボットを使いたい場合は、対応言語をチェックすることも忘れないようにしましょう。
チャットボットを導入する時の注意点
これまでご紹介してきた内容を踏まえて、チャットボットを導入する際の注意点をまとめてみましょう。
導入時に最も重視すべきポイントは次の3つです。
- 導入目的
- サポート体制
- 更新のしやすさ
導入目的を明確化しておく
チャットボットを導入する目的は、大きく以下の2つに分かれます。
- 問い合わせ対応の効率化
- 顧客満足度の向上
チャットボットを導入するきっかけで最も多いのは、コールセンターやカスタマーサポート業務の人手不足です。
電話やメールの件数が急増してスピーディーな返答ができない……顧客対応に追われて本来的な業務に支障をきたしている……といった場合には、問い合わせ対応の効率化を第一の目的に設定すべきでしょう。
一方、顧客満足度の向上やカスタマーサクセスの観点から、積極的な理由でチャットボットを採用する事例も少なくありません。
業務の効率化(企業側)と顧客満足度(ユーザー側)、どちらにファーストプライオリティをおくべきかなど、上記のようなポイントも踏まえて、自社の課題に合った目的設定を行いましょう。
導入後のサポート体制が万全なベンダーを選ぶ
ベンダー選びで着目すべきポイントとしては、実績や評価などが挙げられますが、最も注意したいのはサポート体制の充実度です。
チャットボットを効果的に運用するためには、アップデートやカスタマイズが必須ですが、その作業を自社で行うのか、あるいはベンダーがサポートしてくれるのかといった点はベンダーごとに異なります。
さらに、ベンダーが運用をサポートしてくれる場合でも、定期的に必要となるメンテナンス作業が有料な場合もあります。
ハイスペックなAI付きチャットボットを導入したものの、自社で設定・更新の仕方がわからない……ベンダーにその作業を依頼したら高額な追加料金を請求された……無料のチャットボットを採用したが、十分なサポートが受けられないため使いこなせない……などの失敗を未然に防ぐためにも、チャットボットを導入する際には、サポート体制が万全かどうか必ずチェックしておきましょう。
どのタイプのチャットボットでも、基本的には、導入後の更新作業が欠かせません。この作業を怠ると回答精度が上がらないからです。
カスタマイズやアップデートの作業を自社で行うこともできますが、ベンダーが全面的にサポートしてくれるサービスもあります。
チャットボットを最も効果的に運用するためには、アップデートがしやすく、更新時のサポートが受けられるものを選ぶとよいでしょう。
チャットボットの導入事例
続いては、チャットボットの導入事例をご紹介します。
どういった仕組みのチャットボットを導入すると、どのような成果につながるのか把握しておくと、自社に最適なサービスを選ぶ際の参考になるはずです。
A社(ルールベース型)の導入事例
スポーツ関連の店舗型サービスを全国展開しているA社では、店舗数の増加に伴い、コールセンター業務の負担を軽減する目的でルールベース型のチャットボットを採用しました。
その結果、電話対応の件数が大幅に減ったため、コールセンターを増設することなく、質の高いカスタマーサポート体制を維持することに成功しました。
電話がつながりにくいコールセンターは、企業やサービスの評価を下げる原因にもなりかねません。
ルールベース型のチャットボットを導入すれば、予約やキャンセルといったルーティンワークにはスピーディーに対応することができます。
同社では、初めての利用者向けのチャットボットも併せて導入し、体験レッスンや入会申し込みのハードルを下げることで、新規顧客の獲得も目指しています。
B社(キーワード分析型)の導入事例
番組制作を行うB社では、若年層の取り込みを狙ってキーワード分析型のチャットボットを導入しました。
親しみやすいUIであるLINEを活用してチャットボットを運用し、出演者名を入力すると番組情報が表示されるといった仕組みを取り入れました。
さらに、LINEによるリクエスト機能などと併せて番組に参加しやすい環境作りを徹底し、導入から3か月ほどで利用者を急激に伸ばすという成果を上げています。
C社(データベース蓄積型)
ECサイトを運営しているC社では、電話がつながりにくいことからメールでの問い合わせが殺到し、その状況を改善するためにデータベース蓄積型のチャットボットを採用しました。
その結果、導入から2か月ほどでメールの件数が半減し、コール数も減少。全体としてスピーディーな返答が可能になり、カスタマーサポート業務の負担軽減と顧客満足度の向上を同時に実現しました。
さらに、蓄積された会話ログや顧客導線を分析することで、ユーザーの本来的なニーズを把握することにも成功しています。
同社は、チャットボットから得られるデータベースを有効活用し、WebページのFAQ改善やサービス導線の再設計を行い、顧客ニーズのより正確な把握と迅速な問題解決につなげたいと考えています。
D社(人工知能付き)の導入事例
オンラインのカタログ通販サービスを展開しているD社では、主に人材不足という理由から、人工知能(AI)付きのチャットボットを導入しました。
その結果、問い合わせ全体の約15%をチャットボットが解決できるようになり、カスタマーサポート業務の効率化や負担軽減を実現しています。
さらに、電話やメールフォームといった従来型のチャネルでは拾い上げることができなかった潜在ニーズの発見にもつながりました。
同社は、チャットボットによる自動対応ときめ細やかな有人対応を組み合わせることで、親切丁寧で顧客満足度の高いカスタマーサービスの仕組み作りを目標としています。
コラボスのチャットボットサービスのご紹介
「Challbo(チャルボ)」は、コールセンターのノウハウを熟知したコラボスならではの最新チャットボットサービスです。
LINEのUI設計と共通する親しみやすく、使い勝手のよいインターフェイスが特徴です。
Challboは、蓄積したFAQのデータベースに基づいて自動応答する仕組みの人工知能(AI)付きチャットボットです。
ボットと有人チャットの切り替えができるので、チャットサービスの一元化と効率化に貢献します。
Challboは複数のチャットに同時対応できるため、返答をお待たせすることがありません。
さらに、複数のテナントやWebサイトも1つのチャットボットで管理可能。Google Dialogflowとの連携接続ができる点もメリットです。
また個人情報を扱う観点から、SSL接続を採用しセキュリティにも万全を期しております。
Challboの料金体系は「初期費用0円〜、1ボット月額30,000円(※保守管理費込み)」となっております。
無料トライアルもご利用いただけますので、ぜひご検討ください。
この記事の執筆者
コラボスブログ編集部
株式会社コラボスは、2001年に設立。現在、東京・大阪にオフィスを構えており、
960拠点以上のお客様へクラウドサービスを使ったCTIシステムを提供。
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