データマイニングとは何か?ビッグデータとの違いや代表手法、実施手順などを解説
「データマイニング」とは、膨大なデータから有益な情報を発見する技術です。
この記事では、データマイニングの基本から成功のポイントまでを解説します。さらに、代表的な手法や実際の成功事例を通じて、その重要性と将来性を探ります。
データマイニングとは何か?
データマイニングとは、たくさんの情報を調べて、新しい知識を見つけることです。
データマイニングの目的は、情報の中にある関連性や、これから起こりそうなことを見つけることです。
特に、商品を売るためのマーケティングでは、過去の情報からこれからの流行や、顧客の好みなどを予想するためにデータマイニングが活用されています。
データマイニングが注目されている背景
ネットワーク技術の進化により、企業は大量のデータを扱うようになり、これをビジネスチャンスや課題解決に活用するためにデータマイニングが重要となっています。
特に、IoT技術の発展により、リアルタイムでの大量データ分析とデータマイニングの需要が増しています。これらの技術は、ビジネスの新たな可能性を開く鍵として期待を寄せてられています。
データマイニングとビッグデータの違い
ビッグデータとは、その名の通り、非常に大量のデータのことを指します。
一方、データマイニングは、ビッグデータなどの大量のデータから有用な情報を見つけ出す手法のことです。
つまり、ビッグデータから、データマイニングで有益な情報を見つけ出すと考えると分かりやすいかもしれません。
データマイニングとデータサイエンスの違い
データサイエンスは、統計学や情報工学などの手法を用いて有益なデータを引き出す研究分野であり、社会的ニーズの増大に伴い、より多くの注目を浴びています。
一方で、データマイニングは、データの分析とモデル構築を主に行うことを目指しており、データサイエンスとは異なります。
データマイニングが担うのは知識発見までであり、その知識の有用性や活用方法は人の判断に委ねられます。
データマイニングで得られることやメリット
データマイニングで得られる知識は、DIKWモデル(データ、情報、知識、知恵)として分類されます。
- データ:画像、音声、数値などの収集されたすべての素材
- 情報:収集されたデータを整理し解釈できる形にしたもの
- 知識:情報を分析した結果得られた法則性やルール
- 知恵:知識を活用して物事を判断する力
データマイニングは、データを意味ある情報に変換し、そこから知識を引き出す領域です。知識を利用して正しく判断する「知恵」は、データマイニングではなく、扱う人のスキルに依存する部分です。
こうして得られた知恵は、マーケティング課題の解決に広く活用されています。
たとえば小売業では、顧客データや購買履歴を分析し、効果的なキャンペーンを実施します。製品・サービス改善や設備機器の分析など、活用範囲は多岐にわたります。
データマイニングを実施する手順
データマイニングのプロセスは、目的の確定、データの収集、加工、分析の4ステップから成ります。
- 目的の確定:データマイニング知りたいテーマや目的を決めます。
- データ収集:目的に沿ったデータを大量に集めます。
※ コールセンターに集まるデータとしては、顧客の属性情報や通話録音やチャットログなどのコミュニケーション記録といったものがあげられます。 - データの加工:収集したデータを分析しやすい形式に整える作業を行います(データクレンジング)。
- データの分析:さまざまな手法を用いてデータを分析します。
データマイニングの代表的な手法
データマイニングの代表的な手法は、①クラスタリング、②ロジスティック回帰分析、③ABC分析、④マーケット・バスケット分析の4つがあります。
①クラスタリング
クラスタリングとは、似ているデータを一緒にする方法のことです。これを「クラスタ」と呼びます。これは、マーケティング(商品を売るための戦略)でよく使われます。
例えば、顧客の年齢や好みなどから、どの年齢層の人が商品を買う可能性が高いか、または、何時に電話をすれば商品を買ってもらえる可能性が高いかを考えるのに役立ちます。
そして、クラスタリングの結果をグラフや表で見せると、より良い戦略を考えるための議論が進むことがあります。
つまり、クラスタリングは、商品を上手に売るための重要なツールなのです。
②ロジスティック回帰分析
ロジスティック回帰分析とは、様々な要素から、結果が「はい」か「いいえ」のどちらになるかを予測する方法のことです。
例えば、人の年齢や好みなどから、その人が商品を買うか買わないかを予測することができます。
コールセンターでは、この方法を使って、顧客がどう行動するかを予測し、サービスをより良くするための情報を得ることができます。
例えば、特定の顧客が商品を買う確率や、問い合わせが解決する確率を予測することができます。
この予測は、コールセンターの運営をスムーズにし、顧客が満足するサービスを提供するのに役立つことがあります。
つまり、ロジスティック回帰分析は、コールセンターがより良いサービスを提供するための重要なツールなのです。
③ABC分析
ABC分析とは、売れる商品と売れない商品を見分ける方法のことです。
これは、過去にどの商品がよく売れたかを調べて、それを基に商品をAからCまでのランクに分けることで行います。
この方法は、店舗がどの商品をたくさん用意すべきかを決めるのに役立ちます。
例えば、Aランクの商品はよく売れるのでたくさん用意する一方で、Cランクの商品はあまり売れないので少なめに用意するといった判断ができます。
これをうまく使うと、売れる商品がなくなってしまうこと(機会損失)を防ぐことができます。また、売れない商品がたくさん余ってしまうことも防げます。
つまり、ABC分析は店舗が商品をうまく管理するのにとても重要な方法なのです。
④マーケット・バスケット分析
マーケット・バスケット分析とは、一緒に買われる商品を調べる方法のことです。これは、同じ買い物かご(バスケット)に入る商品を見るための方法なので、この名前がついています。
この方法を使うと、ある商品を買った顧客が他にどんな商品を買っているかを見つけることができます。
これは、一見関係なさそうな商品でも一緒に買われることがあるからです。
そして、この情報を使って、クロスセル・アップセルにどんな商品を提案するかを考えることができます。
例えば、一緒に買われる商品を問い合わせたお客様へ、一緒に買う可能性が高い商品をセットで販売するといったアクションが可能になります。
データマイニング成功のための重要なポイント
データウェアハウス(DWH)の準備
データマイニングとは、大量のデータから有用な情報を見つけ出すことです。
そのため、データマイニングを行う際には膨大なデータを管理する必要があります。
そのために必要となるサービスがDWHです。
DWHは、大量のデータをAIが分析しやすい形に整理して保管することができます。
また、DWHにはデータを守るための機能もあります。データマイニングを始めるときには、DWHの導入も考えてみてください。
データクレンジングの準備
データマイニングで使うデータには、間違いや不完全な部分があることがあります。なかにはデータの形式がそろっていないようなケースもあります。
そのままでは使えないデータを、使える形に整理することを「データクレンジング」といいます。
データクレンジングは自動化が難しい領域で手作業が必要になるケースもあるでしょう。
時間と手間がかかる作業なので、データクレンジングができる人を見つけて、スムーズに作業が進むように準備することが大切です。
適切なツールの導入
データマイニングを行うには様々な知識や技術が必要となるため、データマイニングを行うツールを使うことがおすすめです。
ただ、データマイニングを行うためのツールは数多くあり、どのツールが自社の目的に合っているかを分析することが肝要です。
データマイニングをする理由や、何を知りたいのかをはっきりさせてからツールを選びましょう。
また、使いやすいツールを選ぶことも大切です。
ツールを試すための期間を設けるなどの準備もしておくといいでしょう。
データマイニングの成功事例
以下ではデータマイニングの成功事例を3つ紹介いたします。
クレジットカードの不正利用を見つける
銀行などでは、クレジットカードが悪用されていないかを見つけるために、データマイニングを用いています。
多くの人がクレジットカードを使うので、その使用履歴はビッグデータとして大量に蓄積されます。
そのデータを分析して、以前に不正利用があったときと似たパターンを見つけることで、不正利用を早く見つけることができます。
普段は少額の支払いしかしない人が、突然大金をカードで使った場合、不正利用の可能性があります。
ただし、たまたま大きな買い物をした場合もあるため、判断が難しいですが、AIを使ったデータマイニングでは、複数のデータを分析して、過去の経験に基づいた判断ができます。
工場の機械を管理する
工場では、機械が正常に稼働しているかを確認するために、データマイニングを活用しています。
機械から出るデータを分析して、故障の前兆を見つけることができます。それにより、故障を早く修理することができ、工場の生産が止まるリスクを減らすことができます。
普段は正常に動いている装置でも、IoTのセンサーで不審な動きや音を検知できることがあります。
このデータをデータマイニングで分析すれば、故障の兆候を見つけ出せます。
その結果、計画的なメンテナンスを行い、機器故障による生産停止のリスクを大幅に減らすことができます。
通信販売の売り上げを向上させる
通信販売を行っている企業には、高い確率で電話でお客様と話すコールセンターがあります。
そのコールセンターで売り上げを上げるためには、電話をかける件数、お客様と話す時間、購入商品点数等重要な指標が数多く存在します。
多くのコールセンターでは、この指標をふまえて、お客様へ電話をかける順番をスタッフが考えているかもしれません。
データマイニングを活用すると、過去の購買履歴とお客様が電話に出やすい時間を分析して、最適な架電順を見つけ出し、オペレーターに分配することができます。
このような分析を行うことで、1日にオペレーターがお客様と通話する時間が増え、会話率も向上するといった効果が期待できます。
データマイニングの将来性
データマイニングツールを使うと、ちょっとした「人工知能」や「統計学」の知識だけで、データの分析結果を理解できます。
データマイニングを使うと、これまでの「お客様の買い物の情報を使った営業の戦略」をもっと進化させることができるかもしれません。
さらに、Webの検索技術を使うと、「Webで何を検索して、何に興味があるのか、どういう考え方で物事を理解しているのか」を知ることもできるでしょう。
データマイニングは、AIやビッグデータ、IoTと深く関わっています。
これらの技術が進化すると、より強力なデータマイニングツールが生まれる可能性もあります。
さらに、これまで紹介した例以外の業界でも、デジタル化(DX)が進んでいくと思われるため、2025年以降も、データマイニングの市場は大きくなるでしょう。
コールセンターのデータ分析ならコラボスへ
コラボスのデータ解析サービス「GOLDEN LIST(ゴールデンリスト)」は、コールセンターに集まる大量のデータを効率的に分析するための強力なツールです。その特徴をいくつかご紹介します。
- AIを活用した分析: AIが顧客データを分析することで電話がつながりやすい時間帯、商品の購入見込み率などを解析・予測することが可能です。
- 効率的なマーケティング: 成約見込みの高いリストを作成し、効率的なアクションを可能にします。接続率が約10%向上した実績もあります。
- レポーティング機能: 予測根拠を表やグラフで分かりやすくまとめられたレポートで確認することができます。
ご興味ございましたらぜひお問合せください!
まとめ
データマイニングは、大量の情報から新しい知識を見つけることで、これから起こりそうなことを予測します。
ネットワーク技術の進化とIoT技術の発展により、リアルタイムでの大量データ分析とデータマイニングの需要が増してきています。
本記事ではデータマイニングの代表的な手法を紹介し、それらを用いた成功事例を紹介しました。
データマイニングの市場は今後も成長していく可能性がありますので、この機会にデータマイニングツールの導入を検討してみましょう。
この記事の執筆者
コラボスブログ編集部
株式会社コラボスは、2001年に設立。現在、東京・大阪にオフィスを構えており、
960拠点以上のお客様へクラウドサービスを使ったCTIシステムを提供。
本ブログ記事サイトでは、様々なニーズを抱えたお客様のお役に立てるような情報を日々発信。
会社情報について詳しくはこちら