感情分析とは?活用例、手法、種類を紹介

感情分析は、私たちの言葉に隠された感情の宝庫を探る鍵です。この技術は、テキストや音声から人々の感情を読み取り、ビジネスやコミュニケーションの質を向上させるために使われています。
この記事では、感情分析の基本から、その重要性、実際の活用例、分析の流れ、そして代表的な手法とそのメリット・デメリットについて掘り下げていきます。さらに、感情分析の種類と直面する課題、そしてセマンティック分析との関係についても解説します。


感情分析とは?

AIによる感情分析とは、人間の感情や心理状態の推定を目的とした、テキスト内の感情や意見を自動的に抽出し分類する技術をいいます。
この技術は、テキスト、音声などさまざまな情報源を対象としており、現在では様々な技術やサービスにおいて応用されています。

コンピューターなどの機械は感情に無関心であり、使用者の感情が怒りや悲しみであろうとも、その反応は変化しないのが今までの通例でした。
しかしながら、現代ではAIが人間の感情を分析する能力を獲得してきています。
これにより、機械は人間の感情や心理状態に適した反応や対応を行うことが可能となっています。

感情分析が重要視される理由

感情分析は、顧客の意見や感情を客観的に認識できるため、人間の感情に影響されず、ポジティブとネガティブな意見を公平に扱えます。
以下に感情分析が重要視される4つの理由を解説していきます。

客観的なインサイトを手に入れるため

人間の感想にはどうしても個人的な感情が付きまといます。感情に身を任せた意見は個人的で偏った意見の可能性が否定できません。

「このレストランの料理は本当においしい」

このような感想が寄せられた場合、肯定的な評価が下されていると思うかもしれません。
しかし、じつは「料理は」という言葉の裏に、接客や内装に関する否定的な意見が隠れている可能性があります。
こういった個人的なバイアスを避けるために、人工知能(AI)ベースの感情分析ツールを使用することで、企業は顧客の意見を分析する際に一貫性があり客観的な結果を得ることができます。

サービス改善のため

感情分析は、顧客が真に抱いている興味関心に基づいて企業が製品やサービスを改善するのに役立ちます。
AIが感情分析を行うことで、会話の中から重要なキーワードをAIが探し出し抽出します。
この作業はプロのマーケターが会話を確認し、ラベル付けする作業に類似します。
こういった作業を自動化することができるので、感情分析は企業に重要視されています。

広範囲に分析するため

顧客からのフィードバックは、電話応対の記録、メール、アンケートなど、膨大な量の非構造化データから成り立ちます。
このような広範囲にわたるデータを人間が分析することは至難の業です。
しかし、これらのデータの中には顧客のインサイトを特定する上での宝が多く含まれています。
AIを使用すると、企業は手頃なコストでこの作業を自動かつ大規模に行うことができます。

リアルタイムでインサイトに対応するため

変化の速い昨今の情勢において、企業は素早く市場のトレンドに対処する必要があります。
自社のサービスにネガティブな意見が増えてきているにもかかわらず、その傾向に気が付かなければ、企業が被るダメージは大きいものになるかもしれません。
顧客が自社サービスについてどのように感じているかをリアルタイムで把握することができれば、特定のキーワードに対してネガティブな感情が検出された場合に適切な対応を行い問題を解決することができます。

感情分析の活用例

感情分析をビジネスに活用している例は枚挙にいとまがありません。以下に代表的な活用例を4つ紹介いたします。

顧客満足度の向上

カスタマーサポートにおいて、感情分析は顧客との会話流れに応じて、対応をパーソナライズするために感情分析を使用するケースがあります。
たとえば、会話の中で顧客がネガティブな単語を発した場合、その案件は緊急性が高いと判断されます。
感情分析機能を持つAIが緊急性が高いと判断したら、システムを通じて管理者にエスカレーションするといった活用方法が考えられます。

ブランドイメージの管理

企業は、SNS、ブログ、ニュース記事、その他のデジタル空間でのブランドに関する言及をAIを用いて監視しています。
感情分析技術により、マーケティング部門はインターネット空間におけるブランドの評価を把握することができます。
このような分析を行うことで、苦情に前もって対処したり、肯定的なトレンドを活用したりするために、インターネット上の世論を評価することができます。

市場調査

感情分析は、自社のサービスの長所・短所がどこにあるかを発見し、企業がサービス品質をを向上させるのを支援します。
例えばマーケターは、SNSの投稿やコールセンターに寄せられる電話、商品サイトのレビュー等を分析し、顧客が抱いているサービスに対する評価についてインサイトを得ることができます。
獲得したインサイトを商品開発部門へ共有し、サービスをよりよいものにしていきます。

キャンペーンの効果分析

企業は、広告等のキャンペーンが計画通りの効果を生み出しているかを把握するため、感情分析ツールを行います。
SNSの投稿やユーザーからの意見を分析し、効果が発揮されていることを確認します。
もし顧客の反応が期待を下回る場合、マーケターがリアルタイムのデータ分析をふまえてキャンペーンの方針を修正します。

感情分析の流れ

感情分析は実際にどのように処理されているのでしょうか。
その具体的な流れを簡単に紹介いたします。

前処理

分析対象となるテキストデータを収集します。これには、SNSの投稿、コールセンターに寄せられた通話内容、アンケートの回答などが含まれます。
そして、テキストから感情を表す特徴を抽出します。これには、Bag of Wordsなどの手法が用いられます。
Bag of Words(BoW)とは、テキストを数値化するため手法です。
BoWでは、文書内の単語の出現頻度を数え、それを特徴として扱います。文書内の単語の順序や文法構造は無視され、単語の集合として扱われます。

キーワード分析

抽出されたキーワードに対して、その言葉がポジティブな感情を表現しているのか、ネガティブな感情を表現しているのかを分析します。
感情極性辞書を使うと、分析対象のテキストが全体的にポジティブなのかネガティブなのかがわかります。
日本語の感情極性辞書も公開されており、それを使って自分でテキストの極性分析を行うことができます。
これにより、感情分析がどのようなロジックで動作しているか、どの程度の精度があるかを実際に体験できます。

感情分析の代表的な手法

感情分析の代表的な手法は2つあります。ルールベースと機械学習という2つの手法についてそれぞれ具体例やメリット・デメリットを紹介します。

ルールベース

ルールベースの感情分析とは、文章を読んで、その人がどんな感情で文章を書いたかを判断する方法の一つです。
この方法では、あらかじめ決められた「レキシコン」という単語のリストを使って、文章に含まれるキーワードを探します。
レキシコンには、人がどんな気持ちでいるかを示す単語がたくさん入っています。

例えば、「嬉しい」「安い」「速い」というポジティブな単語があれば、それぞれにプラスの点数をつけます。
逆に、「悪い」「高い」「難しい」というネガティブな単語があれば、マイナスの点数をつけます。
そして、文章全体でプラスとマイナスの点数を合わせて、最終的な感情を判断します。

メリット・デメリット

この方法は、始めるのは簡単ですが、たくさんの文章を分析するのは難しいです。
新しいキーワードが出てきたら、その都度レキシコンに追加しなければなりません。
また、違う国の言葉や文化によっては、うまく感情を読み取れないこともあります。

機械学習

機械学習(ML)とは、コンピュータに文章を読んで、その文章が嬉しいことを言っているのか、悲しいことを言っているのかを判断させる技術です。
この技術では、ニューラルネットワークや深層学習という特別な計算方法を使って、コンピュータに感情を教えます。

まず、データサイエンティストという専門家が、たくさんの文章例を集めたデータセットを用意します。
それをコンピュータに読ませて、どの単語や文章がどんな感情を表しているかを学ばせます。
コンピュータはたくさんの例を読むことで、新しい文章にも感情を当てはめることができるように成長します。

メリット・デメリット

機械学習を使った感情分析は、たくさんの文章を正確に読み取ることができます。
ただ、一度学習したことしかできないので、新しい種類の文章を読むときは、また新しく学ぶ必要があります。
例えば、マーケティングの文章を学んだコンピュータは、ソーシャルメディアの文章を読むときには、また新しく学ばないといけません。

感情分析の種類

感情分析は、ビジネスに役立つ効果があることがわかっています。
感情分析では、テキストや音声、表情、生体情報など、人々が表現したり発したりするさまざまな情報を分析の対象としています。
次に、それぞれの感情分析の仕組みについて説明していきます。

文章での感情分析

文章での感情分析では、AIが人が書いた文章を読んで、どのような感情で書かれたかを判断します。
文章に使われている単語や言い回しを分析することで、書いた人の感情がわかります。
感情は、良い感じか、悪い感じか、普通か、という基本的なものから、もっと細かい感情まで、様々な種類があります。
AIが文章から感情を読み取るためには、最初に大量の文章を読ませて学ばせる必要があります。
それからは、AIが自ら学んで、より正確に感情を分析できるようになります。

音声での感情分析

音声での感情分析では、人が話す声から感情を判断します。
話す速さや声の高さ、強さなどを分析して、その人が喜んでいるのか、怒っているのか、悲しんでいるのかを知ることができます。
音声での感情分析は、スマートスピーカーなどの技術にも使われるようになってきています。
これからは、人の声の感情を読み取って、もっと心に寄り添った返事ができるようになるかもしれません。

表情での感情分析

表情での感情分析では、人の顔の表情を見て、その人がどのような感情を抱いているかを読み取ります。
例えば、広告を見た人の反応を分析したり、店舗での顧客満足度を調査したりするのに使われます。
目の動きや瞳孔の開き具合から、その人が無意識に感じていることを認知する研究も進んでいます。

生体情報での感情分析

生体情報での感情分析では、脳波や脈拍、汗などの体の反応を分析して、その人の感情を分析します。
例えば、ストレスがあると脈拍が早くなったり、汗をかいたりするので、ウェアラブルデバイスなどで測定し数値化することができます。
体の反応は自分ではコントロールしにくいので、感情を直接反映していると考えられています。
文章や音声と組み合わせて分析することで、より正確な感情分析ができるようになっています。

感情分析における課題

感情分析は、コンピュータが文章を読んで、その人の気持ちを判断する技術ですが、いくつか難しい点があります。

皮肉

皮肉は、本当は逆の意味で言っていることが多いです。
例えば、「サービスがとてもシンプルですね」という文章は、実は「期待していたサービス品質に満たない」ということを伝えていますが、コンピュータは「シンプルですね」という言葉だけを見て、ほめことばだと判断してしまうことがあります。

否定

否定は、実はその逆のことを言っている場合です。
たとえば、「彼のプレゼンテーションは退屈ではない」という文章は、一見肯定的な意見を述べているように見えますが、実際には「退屈ではないが面白くもない」と思っているかもしれません。
このような文章は、コンピュータが正しく理解するのが難しいです。

多極性

多極性は、一つの文章にいくつかの異なる感情が含まれていることです。
例えば、「あのレストランの料理はおいしいですが、サービスがちょっと遅いですね。」という文章には、良い点と悪い点が混ざっています。
コンピュータがそれぞれの感情を正確に判断するのは難しいです。

セマンティック分析とは

セマンティック分析とは、コンピュータが文章に書かれている単語の意味を理解することです。
この分析では、機械学習(ML)と自然言語処理(NLP)という技術を使って、文章の中の単語や文法がどう関係しているかを理解します。

セマンティック分析と感情分析の関係

感情分析は、文章を読んで、その中にある感情を見つけ出して分類することです。
これは、大量のデータを使ってコンピュータに学ばせるか、あらかじめ決められたルールに基づいて行います。

一方で、セマンティック分析は、文章の意味をもっと広く深く理解しようとします。
この二つの技術を組み合わせることで、企業は顧客のことをより理解することができるようになります。

感情分析ツールならコラボスにお任せください

「UZ(ウズ)」は、株式会社コラボスが提供する音声データ解析ツールです。
このツールは、音声認識と感情分析機能を搭載しており、顧客とオペレーターの通話をテキスト化し、通話からトラブルや課題と思われる箇所、顧客の興味・関心ポイントを時刻で可視化することが可能です。
また、AI技術により、興味・関心ポイントを自動抽出し、それを基にコンテンツの作成が可能です。
UZに関する詳しい情報はこちら

まとめ

感情分析は、単なるデータ分析を超え、人間の心理を理解し、共感を生むための強力なツールです。
ビジネスにおいては、顧客の声を形にし、製品やサービスの改善に直結する洞察を提供します。一方で、皮肉や多極性などの課題に直面しながらも、セマンティック分析と組み合わせることで、より深い理解が可能になります。
感情分析は、企業がより良い意思決定を行い、顧客と友好な関係を築くための助けとなるでしょう。

この記事の執筆者

コラボスブログ編集部

株式会社コラボスは、2001年に設立。現在、東京・大阪にオフィスを構えており、
960拠点以上のお客様へクラウドサービスを使ったCTIシステムを提供。
本ブログ記事サイトでは、様々なニーズを抱えたお客様のお役に立てるような情報を日々発信。
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