2020/10/6
マネジメント
サブスクリプションってどんなビジネスモデル?事例や導入のポイントを解説
サブスクリプションビジネスは近年大いに注目されているビジネスモデルです。様々な買い切りビジネスがこぞってサブスクリプションビジネスに乗り出しています。
この記事ではサブスクリプションビジネスの特徴・市場規模・成功事例・代表的な指標について解説します。
目次
サブスクリプションビジネスとは?
サブスクリプションビジネスとは指定の料金を支払えば一定期間特定のサービスを利用できるビジネス手法を指します。毎月もしくは毎年一定の料金を事前に支払うことで、サービス内で提供されるコンテンツにアクセスできるようになります。従来の売り切り型のビジネス手法と違い、継続した売上が期待できるのが特徴です。
サブスクリプション型のビジネスモデルが成功し注目を集めている理由は、消費文化がモノから体験を重視するようにシフトしたためです。モノにあふれた生活より、様々な体験ができる(選べる)ことが重視されるようになりました。また、高速通信やインターネット技術の進歩と一般化も背景にあります。
国内サブスクリプションビジネスの市場規模
消費者庁が公開した資料によると、日本国内におけるサブスクリプションビジネスの市場規模はおよそ5627億3600万円です。今後の見通しは、現在のペースで市場規模が拡大すると仮定すると2023年に8623億5000万円に達すると見込まれています。
これまでサブスクリプションモデルの認知度の高まりとともに、動画や音楽などのメディアコンテンツを中心に市場規模が拡大してきましたが、今後はレンタカーなど社会インフラに関わるビジネスにおいてもサブスクリプション化が進むと予測されています。市場規模のさらなる増大は間違いないでしょう。
参考:消費者庁ウェブサイト|第35回インターネット消費者取引連絡会(2019年12月9日)資料1より
サブスクリプションビジネスの特徴
様々な業界で導入の試みがされているサブスクリプションビジネスの特徴について紹介します。メリットとデメリットを把握して、自社サービスにどう組み込めば効果的なのか探る際の参考にしてみてください。
先行投資型ビジネスである
サブスクリプションビジネスを成功させるためには、初期段階で大規模な投資をして提供できるサービスのラインナップを豊富にする必要があります。例えば動画コンテンツを提供する場合は、契約することで視聴できる動画が数多く用意されていないと顧客は増えません。コストをかけて動画コンテンツを集める必要があるでしょう。
やみくもに関連コンテンツを集めるのは効率が悪いですから、マーケティングを実施して顧客が本当に求めるものが何か分析することが重要になります。
定期収入が基本となるため売上予測が立てやすい
サブスクリプションビジネスは定額制のサービスですから、顧客が契約を破棄しない限り継続して決まった額の売上が期待できます。そのため収益予測を現在のユーザー数から簡単かつ正確に計算することが可能です。
売上の伸び率がほぼユーザー数の増加率に比例する形になりますから、今後の売上予測も立てやすいです。ユーザー数を増加させるために、さらなる投資を行う場合などは投資時期を見極めるのも他のビジネスモデルよりやりやすいでしょう。
統計データを有効に活用できるビジネスモデルと言えます。
ストック型ビジネスで資金調達がしやすい
サブスクリプションビジネスは顧客に前もって料金を支払ってもらいますから、フロー型ビジネスに比べて早く手元に資金が集まります。資金調達がしやすく、その額の見通しも立てやすいため新たな事業計画を立てやすいメリットがあります。
投資計画が上手くいき、より多くの利用者を獲得できれば収益が伸びます。資金に余裕が出て顧客に新たな商品を提供できればトータルのコンテンツ数が増え、利用者にとって益々魅力的なサービスになります。
ユーザー数が少ないと利益が出ない
サブスクリプションビジネスは顧客がサービスを契約してくれない限りは一切利益が出ません。そのためサービスやコンテンツを提供するためにリース料や賃料などが発生しているなら、損失が毎月費用膨らんでいくリスクがあります。
一刻も早く顧客を増やすのに効果的なのが無料体験です。支払い方法と一緒に無料会員になってもらい、無料期間が過ぎたら有料会員に自動移行させればスムーズにユーザー数を増やせます。
定額制との違いとは?
定額制とサブスクリプションビジネスはサービスの方向性が非常に似ています。どちらも特定のサービスを受けるのに一定額の料金を支払うビジネスモデルです。しかし、サブスクリプションビジネスは従来の定額サービスよりお得感があります。
例えば従来の準新作映画見放題サービスは定額制で月額3,500円ほどでしたが、人気の高いサブスクリプションビジネスでは月額500円~1,200円ほどとリーズナブルな料金設定です。しかも作品ラインナップに興味がなくなったら好きなときにネットで簡単に解約できます。
利益モデルも異なります。定額制は1つしか価格設定がありませんが、サブスクリプションは複数設定されています。サービスを気に入った顧客は、より高額なコースを契約するため顧客単価が向上する余地があります。
サブスクリプションビジネスの成功事例
サブスクリプションビジネスは2010年代後半から導入する会社が増え、成功事例も多く聞こえるようになりました。これからサブスクリプションビジネスに取り組む事業者のために、ここでは最新の成功事例を解説しましょう。
BtoB
BtoBにおけるサブスクリプションビジネスは、従来買い切りだったパッケージサービスをサブスクリプション化したものが目立ちます。買い切りの高額なライセンス料を支払わなくても、必要な時に1ヶ月間だけサブスクリプションで契約できるためコストを大幅に抑えられるなど、顧客にメリットが多いのが特徴です。
デザインソフトウェア会社の事例
IT業界のA社はそれまでデザイン系のソフトウェアを数多く提供しており、それぞれを買い切りのパッケージで販売していました。しかし2012年からは複数のパッケージを含む様々なサブスクリプションコースを提供し始め、大きく利用者数を伸ばしました。非常に高額なソフトウェアでしたが月額数千円で利用できるようになり、プロの現場以外でも利用される機会が増え売上を押し上げました。
人事労務管理ソフトウェア会社の事例
ソフトウェア業界のB社はパッケージ販売が常識だった人事労務管理ソフトウェアをクラウドで提供しています。様々なニーズがある人事労務管理ソフトウェアは機能が膨大でひとつのパッケージにまとめると操作が煩雑になるデメリットがありました。そこでB社はソフトウェアをクラウド化し、機能を細分化してサブスクリプションで提供しました。顧客は必要最低限の時間で利用する機能を使いこなせるようになり、顧客満足度が上がったと考えられます。
BtoC
BtoCでは様々なサービスが次々にサブスクリプション化されています。企業もまだ模索段階にあるのか上手くいかない事例もありますが、上手くいったものは急速に業界内でサブスクリプション化が展開していくようです。それでは最新情報から得たBtoCの成功事例を見ていきましょう。
コインランドリーでの事例
コインランドリー業界のC社はこれまで都度払いだったコインランドリーを月額4,000円のサブスクリプションにしました。これだけ聞くと単純にコインランドリーの定額制のように聞こえますが、洗濯とは別に乾燥や乾いた服をたたんでもらうオプションが細かくサブスクリプションで設定されていますから、従来のサービスとは異なります。スマホで店内の混雑具合を確認できるなどITとの連携も万全で、次世代のサービスとなっています。
家電販売業者での事例
家電業界のD社はそれまで各種家電を販売していましたが、それに加えて人気家電のいくつかを手軽に試せるサブスクリプションサービスを始めました。D社の製品は性能や使い勝手が高く利用者の満足度も高いのですが、高額でなかなか手が出せない欠点がありました。このサブスクリプションを利用すれば新製品を月額千円で利用できる上、気に入れば購入も可能です。
サブスクリプションモデルにおける重要な指標
サブスクリプションビジネスにおいて頻繁に利用される指標について解説します。サブスクリプションビジネスに取り組む際に、運用が上手くいっているか正確に判断できるよう概念と使い方について把握しておきましょう。
Churn
Churn Rateとも呼ばれる指標で、サブスクリプションを解約した顧客の割合を表します。Churn Rateが上がることは毎月の解約率が上がることを意味しますから、この指標はダイレクトに売上に影響します。
Churnの計算式は非常にシンプルで、「その月の解約者数 ÷ 月初めの利用者数」から求められます。この指標の推移を確認すれば施策がユーザーの契約維持にどれだけ効果的だったか分かるでしょう。
ARR
ARRとは「Annual Recurring Revenue」の略で、年間経常収益を意味します。年間経常収益とは1年間で得られた収益のことです。サブスクリプションビジネスのなかには契約期間が1年間のものもあるため、ARRで施策の効果を測ることは大変重要です。ビジネスの成長具合を把握する指標として利用できます。
MRR
MRRは「Monthly Recurring Revenue」の略で、月ごとの収益を表します。月ごとのサブスクリプションビジネスにおいて、成長度を測るのに利用します。新規顧客の増加が収益向上に結び付いているか確認する場合にも使えます。
LTV
LTVは「Life Time Value」の略で顧客から受け取れる総利益を意味します。サブスクリプションビジネスにおいては顧客が契約していた期間と月額(年額)料金をかけ合わせたものになるのが一般的です。LTVが高いほど顧客が望むサービスを提供していることになります。
サブスクリプションモデルにはカスタマーサクセスが重要
これからのサブスクリプションビジネスで重要なのは顧客の成功体験(カスタマーサクセス)です。顧客が商品を購入したら成功と認識するのではなく、顧客にサービスを継続利用させるよう働きかける必要があります。そのために肝心なことはカスタマーサクセスを実現するためのサポート体制です。コールセンターを設置して顧客が目的を達成するために自社のどのサービスを利用するのが適当か伝えたり、使い方の分からないなどのトラブルを解決するためのコールセンターは顧客満足度のためにも必要です。顧客の事業が成功する可能性は飛躍的に上がり、ユーザー数は増加するでしょう。
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この記事の執筆者
コラボスブログ編集部
株式会社コラボスは、2001年に設立。現在、東京・大阪にオフィスを構えており、
960拠点以上のお客様へクラウドサービスを使ったCTIシステムを提供。
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