コールセンターのエスカレーション対応とは?問題点と改善策について解説!

エスカレーション対応はトラブルを未然に防ぐ上で重要になります。エスカレーションは適切なタイミングで責任者に行う必要があります。しかし、エスカレーションのフローが定まっておらず、いつどのタイミングでエスカレーションをしたらいいのか曖昧になっているコールセンターも多いのではないでしょうか?
そこで今回は、エスカレーションの問題点と改善策、エスカレーションの削減に役立つコールセンターシステムについて詳しく解説します。


エスカレーションが発生する要因

エスカレーションは、オペレーターの対応可能な範囲を超えた時、責任者や専門的な部門の担当者へ引き継ぐことを指します。たとえば、オペレーターでは回答が難しいサービス内容の質問や、責任者からの謝罪が必要となるクレームなどが挙げられます。
責任者や問い合わせ内容に関する専門的な部門に対して行う主なエスカレーションの行動としては、以下の3つになります。

重大なトラブルにつながる可能性のある内容

エスカレーション対応とは、オペレーター自身で判断・対応できない重大なトラブルにつながる可能性のある内容を責任者に引き継いで対応することです。
代表的な例としては、オペレーターがクレーム対応しているときに「あなたの上司を出してください」と要求されるケースが挙げられます。エスカレーションは責任者に電話対応を引き継ぐだけでなく、顧客対応中の電話を一旦保留にし、責任者に質問・相談することもエスカレーション対応に含まれます。

オペレーターでは解決できない問い合わせ内容

オペレーターでは回答困難なサービス内容の質問や、オペレーターでは対応しきれないクレームなどが発生した時に、エスカレーション対応が発生します。
エスカレーション対応が必要な案件として、最初から責任者との対応を要望されるなど、やむを得ないケースもあるでしょう。しかし。エスカレーション対応が必要な案件の多くは、オペレーターの知識・認識不足による誤った対応など、コールセンター側のミスによるケースがほとんどです。

一般的なエスカレーションの発生率

コールセンターにおいて、エスカレーション対応はどれくらいの確率で発生するものなのでしょうか。たとえば、ある金融企業におけるエスカレーション対応率は、ベテランオペレーターで0.12%・新人オペレーターで0.61%とのデータが発表されています。
経験の浅いオペレーターはベテランオペレーターと比べてエスカレーション対応の発生頻度が高くなる傾向があります。しかし、適切なトレーニングを行うことで、0.18%までエスカレーション発生率を減少させることができたという事例もあります。現状、エスカレーション発生率が高い場合でも、ルールの構築やトレーニング次第で発生率を軽減させることはできるでしょう。

エスカレーションの発生で起こる5つの問題

エスカレーション対応は、オペレーターが対応困難になった場合、責任者に指示や相談・対応の引き継ぎを行うことです。
一般的なエスカレーションの手順は以下の通りです。

  • 対応中の電話を保留にし、相談に行く
  • 対応中の電話を上長もしくは専門部門に転送し応対を引き継ぐ
  • 顧客に調べ次第折り返す旨を伝え、一旦終話し応対を引き継ぐ

多くのコールセンターでエスカレーション対応を実施していますが、うまく連携が取れていないセンターも多いでしょう。そこで、エスカレーション対応で発生しがちな5つの問題について詳しく解説します。

  • 報告タイミングや報告すべき案件なのかの判断が難しい
  • 特定の責任者にエスカレーションが集中する
  • 顧客応対の時間が長引き満足度の低下につながる
  • 正確なエスカレーションがされず顧客満足度の低下につながる

報告タイミングや報告すべき案件なのかの判断が難しい

オペレーターが顧客対応の中で対応困難になり、責任者に相談または引き継ぐ場合、適切なタイミングで依頼することが重要です。新人のオペレーターは経験が少ない上に、知識も不足しているため、どのような内容をエスカレーションすべきか判断できない場合があります。しかし、「対応方法が分からない」からとすべて責任者に対応依頼すると、SVやマネージャーの負担が大きくなり、センター内の業務効率の低下につながります。
一方、オペレーターの判断に任せきりにしてしまうと適切な対応ができず、顧客満足度が低下する原因になってまうでしょう。エスカレーション対応の対象となる具体的な問い合わせ内容をとりまとめ、フローをマニュアル化して確立することで、オペレーターは迷わず行動できるようになり責任者の負担も軽減されます。

エスカレーションの情報共有に時間がかかる

オペレーターから責任者に対応を変わる際、問い合わせやクレーム内容の共有に時間と手間が掛かることも問題の1つです。エスカレーションの際、問い合わせやクレーム内容、オペレーターからの質問事項などをメモに残す場合、記入漏れや抜け、メモの紛失などが原因で情報漏洩や情報共有のロスにつながることも少なくありません。
また、責任者が別の顧客対応を行っている場合、誰にエスカレーションすべきかわからずに対応がされないケースもあります。新人でもベテランでも問題なく情報共有ができるための方法や責任者が対応できないときのエスカレーション先を明確にするなどルールを設けることが大切です。

特定の責任者にエスカレーションが集中する

エスカレーションのルールに基づいて対応引き継ぎをしても、特定の責任者に依頼が集中しすぎて対応が間に合わないケースもあります。その結果、重大なクレームに発展してしまったということもあるのではないでしょうか。
こうしたクレームを防ぐためにもセンター内でのエスカレーション数を減らす工夫も重要になります。
エスカレーションの数を減らすためには、顧客からの問い合わせに適切な対応ができるための知識やスキルの研修を実施し、オペレーター自身が対応できる数を増やしていく必要があります。また、イレギュラーが発生した場合でも対応ができるように、複数の引き継ぎ先を設定や問い合わせの多い内容はマニュアル化し、エスカレーション削減に取り組むことで改善を図ることも必要でしょう。

顧客応対の時間が長引き満足度の低下につながる

オペレーターから責任者にエスカレーションのため、顧客の要望や応対内容の情報共有や転送先が中々見つからない場合、顧客を長時間待たせてしまいます。その結果、顧客満足度の低下だけでなく、応対時間が増加することにもなり、全体の業務効率や応答率、生産性の低下につながるでしょう。

正確なエスカレーションがされず顧客満足度の低下につながる

正確なエスカレーションがされない原因は、エスカレーションのプロセスや基準、定義が決まっていないことが考えられます。どのような内容、どのような方法、誰に相談するかなどが定まっていないと、オペレーター自身がどう判断して良いのか分からず、エスカレーションがされないまま放置されてしまう危険性も考えられます。
その結果、顧客満足度の低下や重大なマナークレームなどに発展することもあります。

責任者の負担を軽減する効率的なエスカレーションルール

エスカレーションは顧客の疑問や不満をスムーズに解決し、顧客満足度を高めるために必要です。疑問や不満をスムーズに解決するためには、エスカレーション対応に関するルールの整備をしておきましょう。ここでは、効率的なエスカレーション対応する上で押さえておくべき3つのポイントについて詳しく解説します。

  • 明確なエスカレーションフローのルール化と定期的な更新
  • 重要度や緊急度によるレベル分け
  • 社内の情報共有

明確なエスカレーションフローのルール化と定期的な更新

新人オペレーターはエスカレーション対応の研修を受けていても、初めてエスカレーションをする際、スムーズに引き継げるオペレーターは少ないでしょう。ですが、エスカレーションフローと明確なルールを決めておけば、どのような状況でも冷静に対応することができます。
具体的には、いつ・誰が・どの担当者に・どのような方法でエスカレーションするかやエスカレーション先が不在の場合に対応できるように、さまざまな状況を想定し、対応パターンを複数作成しておきましょう。
しかし、実際に業務する中で、ルール・フローが現場に合っていなかったり、想定外の問題が発生したりすることもあります。こうしたことを防ぐためにも定期的に既存のルールやフローを見直し、必要に応じて更新することが重要です。

重要度や緊急度によるレベル分け

オペレーターがエスカレーション対応を行う時に、対応すべき内容を明確にするためにも、緊急性や重要度、対応内容などのレベル分けが必要となります。一般的な対応内容の具体例として、専門的な知識を持った担当者や責任者による柔軟な対応などがあります。
状況によってレベル1、レベル2など段階分けを行い、レベル1であればオペレーターが対応、レベル2であれば責任者が対応など、レベルによって対応者を決めることでスムーズな解決が可能になります。エスカレーションのレベルを明確にすることで、待ち呼の削減や対応が責任者に集中することを防止することができます。

社内の情報共有

エスカレーションが完了した時点で、社内FAQに問い合わせ内容と対応内容を記録し、蓄積することでセンター内に情報が蓄積され共有することができます。
また、同様の問い合わせがあった時でも蓄積された情報を確認することでスムーズにエスカレーション対応ができるでしょう。社内FAQを活用した情報共有は、オペレーターのスキルアップ、コールセンターの業務効率化にもつながります。

エスカレーション対応の削減方法

エスカレーション対応はトラブルを最小限に抑えるために重要ですが、エスカレーション数の増加はセンター業務を圧迫する要因にもつながります。ここではエスカレーション対応数を減らす、5つのポイントについて詳しく解説していきます。

  • マニュアルやFAQ の整備
  • オペレーターの対応範囲を増やす
  • 通話中に応対をサポート
  • オペレーターの教育
  • コールセンターシステムの活用

マニュアルやFAQ の整備

よくある問い合わせやエスカレーション対応に発展した内容を社内FAQに蓄積していくことでオペレーターの判断で解決できる件数が増えるためエスカレーションの件数が減少します。社内FAQは検索しやすいように整えることで、生産性を下げることなく業務を遂行できるため整備と活用はとても有効な手段と言えるでしょう。
また、定期的にマニュアルやFAQの中身を整備することで、オペレーター自身が対応完了までできるような環境を整えられます。その結果、責任者業務の軽減にもつながります。

オペレーターの対応範囲を増やす

オペレーターが対応可能な範囲を広げることでエスカレーション数を削減できます。しかし、オペレーターにすべての対応をまかせてしまうと応対にばらつきが生まれ、応対品質の低下につながります。そのため、オペレーターの経験や知識量などを考慮して対応範囲を増やすなど、戦略的に決めることが重要です。
また、オペレーターが対応する業務は、定期的な見直しをすることで業務の効率化につながります。エスカレーション数が多い内容を、オペレーターで対応できるようになると責任者の負担を減らすことができるでしょう。

通話中に応対をサポート

コールセンターシステムの機能を活用し、通話中にサポートすることでエスカレーションの発生を未然に防ぎ応対時間の削減ができます。
通話中の応対サポートに役立つ代表的な機能は、以下の2つです。

  • 通話内容のテキスト化
    応対内容をテキストで確認することで、スムーズなサポートができる。
  • 通話音声のモニタリング・アドバイス機能
    通話音声を聴き、オペレーターにしか聞こえないようにアドバイスすることで、エスカレーションせずとも対応完了することができる

オペレーターの教育

オペレーターを教育することで知識が蓄積され、現場での対応できる件数が増えるため、自然とエスカレーション数は削減されます。経験の浅いオペレーターは正しい判断を自身で行うことが難しいため、センター内のエスカレーション数が増加する傾向があります。必要以上のエスカレーション件数を削減するためにもマニュアルや研修を整え、自立したオペレーターを育てることも重要でしょう。

コールセンターシステムの活用

コールセンターシステムとは、入電を偏りをなく各オペレーターに振り分けする、自動音声などを用いて業務の効率化を高めるシステムを指します。また、コールセンターシステムには、エスカレーションをスムーズに行う機能が多くあり、対応時間の短縮につながります。

責任者の負担軽減やエスカレーションの削減に効果的なシステム活用

コールセンターシステムにはさまざまシステムがありますが、インバウンド業務で多く取り入れられているのがCTIシステムです。CTIシステムにはモニタリング機能やウィスパリング機能、ACDが備わっています。オペレーターがクレームや対応困難な質問を受けた際、リアルタイムでの音声確認や直接指示を出しサポートできます。
また、オペレーターのスキルに合わせて着信を割り振ることができるため、オペレーターがスキル外の対応をする必要がなく、未然にエスカレーションとなりうる案件を防ぐことができるでしょう。さらにCTIシステムには稼働状況や応対状況をレポートする機能も備わっており、エスカレーションの削減だけではなく直接的な責任者の業務負担軽減にもつながります。

まとめ

今回は、エスカレーションの問題点と改善策、エスカレーションの削減に役立つコールセンターシステムについて詳しく解説しました。エスカレーションは、コールセンターの品質の維持や顧客満足度を高めるために欠かせません。しかし、ルールやフローがあいまいでは業務効率が低下する原因につながります。
そこで、社内FAQの構築や整備・教育体制のフローを整えることで、オペレーターが対応完了できる件数が増えます。その結果、責任者業務を圧迫することなく円滑に運営が可能になるでしょう。コラボスでは、エスカレーションの削減に役立つコールシステムを提供しています。低コストでコールセンター運営の効率化をお考えの際は、ぜひコラボスまでお問い合わせください。

この記事の執筆者

    コラボスブログ編集部

    株式会社コラボスは、2001年に設立。現在、東京・大阪にオフィスを構えており、
    960拠点以上のお客様へクラウドサービスを使ったCTIシステムを提供。
    本ブログ記事サイトでは、様々なニーズを抱えたお客様のお役に立てるような情報を日々発信。
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