知っておきたい コールセンターのIT化に役立つ補助金制度
IT化やCTIの導入はしたいが、コスト面が原因で導入に踏み切れない。また、コールセンターの分散化やテレワーク開設を検討しているが費用面で悩んでいる企業は多いのではないでしょうか。特に予算の制約のある中小企業は、費用の掛かるコールセンターの新規立ち上げやシステム導入は非常にハードルが高いといえるでしょう。
そこでコールセンターが利用できる補助金制度や国や専門団体がIT導入をサポートしている政策などを申請の注意点も踏まえ利用可能な補助金制度をご紹介します。また、ールセンターの業務効率化や業績向上に役立つ低コストで運用可能なITツールも併せてご紹介します。
コールセンターが利用できる補助金制度は3つ
各自治体によってさまざまな補助金制度が存在します。補助金制度とは、国や自治体などが企業の新規事業を始めとする安定した事業継続の支援を目的に作られた制度のことをいいます。各自治体の補助金制度には、使用目的や申請可能な企業の規模などさまざまな条件があります。
今回はコールセンター運営企業や新規開設を検討中の企業が対象となる主な補助金制度を3つご紹介します。
コールセンター誘致補助制度
コールセンター誘致補助制度は、県や市がコールセンター運営に必要な費用や固定資産税額の一部を負担する制度になります。
都心部で中心に展開されているコールセンター事業ですが、過疎化や人口減少がある自治体にコールセンター事業が開設できれば、人員雇用が増えるため地域の活性化につながります。また企業は補助制度を受けられるため事業展開しやすくなるので、お互いにメリットがある制度といえるでしょう。
現状、地方自治体のコールセンター誘致助成制度一覧(一般社団法人コールセンター協会)によると、全182自治体の地方自治体で誘致補助制度が実施されています。
感染症対策支援制度
感染症対策支援制度とは、コールセンター関係者が安心して働ける職場環境を整備するために、新型コロナウイルス感染防止対策の費用を一部補助する支援制度になります。
例えば、東京都では中小企業を対象とした支援事業を行っています。
内容としては、「備品購入、内装・設備工事コース」と「消耗品購入コース」の2コースが準備されており、申請するコースによって助成対象経費・対象者・限度額が異なってきます。
申請受付期間は、(郵送:令和4年1月4日(火)~令和4年10月31日(月) ※当日消印有効)(電子申請:令和4年1月21日(金)~令和4年10月31日(月)23時59分まで)となります。
支援内容は自治体によって異なるので、事前に各自治体のHPなどで確認しておきましょう。
IT導入補助制度
中小企業や小規模事業者等がITツールの導入にかかる経費を最大450万円まで補助してもらえる制度です。
例えば、ITツールを導入することで「業務の効率化を図りたい」・「営業力を強化して売上を伸ばしたい」といった企業に向けた補助金です。主なITツールはP C・タブレット・プリンター・スキャナー及びそれらの複合機器等があります。導入対象となるITツールは、「IT導入補助金」で登録されているITベンダーと呼ばれるシステム提供会社や導入支援事業者が提供するものです。ただし、必ずしも事業の全額が補助されるわけではなく、具体的な期間や回数は補助金毎に異なるため注意が必要です。
全国の自治体がコールセンター誘致に力を入れている
全国の自治体によって補助内容はさまざまですが、多くの自治体が設備導入費用や建設費、雇用に特化した助成などを対象にしています。また、コールセンターは常時運用が必要なため通信費や研修費、さまざまな広告費用がランニングコストとして発生しています。
自治体によっては、ランニングコスト部分も補助対象になる場合がありますので拠点となる自治体に直接問い合わせてみると良いでしょう。
コールセンター誘致制度の対象センター
コールセンター誘致制度の対象センターは、「地方自治体のコールセンター誘致助成制度一覧(一般社団法人コールセンター協会)」に記載のある全182自治体になります。
申請をする時は自治体の立地認定を受けていることが条件になっていることが多いのが特徴です。自治体によって申請条件や支援内容が異なってくるため、認定を受ける際は必ず事前に確認しておきましょう。
現在、最もコールセンターの拠点数の多い札幌を一例として誘致制度の条件や助成金額についてご紹介します。
条件
助成金の申請条件は新設と増設で異なります。
- 新設
- 新規常用雇用者や異動正社員の従業員を20名以上雇用
- 増設
- 2年間で従業員を20人以上増加かつ正社員数を20人以上増加
- 増床または市内に新たな事業所を設置
- 増設補助を一度も受けたことがないこと
助成金額
- 新設
- 補助限度額(1,000万円×3ヵ年度)
- 新規雇用・異動の正社員(1人あたり50万円/年度)
- 正社員以外の新規雇用かつ常用雇用者(1人あたり10万円/年度、障害者50万円)
- 増設
- 補助限度額(1,000万円)
- 正社員の増加(1人あたり25万円)
- 正社員以外の常用雇用者で障害者の増加(1人あたり25万円)
その他自治体に関する誘致制度については各自治体のHPもしくは窓口をご確認ください。
国や専門団体も中小企業のIT導入をサポート
CTIツールなど低コストで効率を上げることができるITツールを導入した場合、ランニングコストの軽減や作業スピードの効率化、在宅勤務が可能となり離職防止などのメリットがあります。
また、拠点において低コストかつサポートを受けながら開設できるように地方自治体や専門団体の補助制度があります。
そこで、各団体による政策を詳しく解説していきます。
経済産業省
経済産業省の助成支援には2種類あります。
IT導入補助金
IT導入補助金は、事業拡大するために自社の課題やニーズに合ったITツール導入に関する経費の一部を負担する補助金です。
IT導入補助金で規定されているITツールは、業務効率化を図るために新たに導入されるクラウドサービスやソフトウェアになります。ITツール導入にあたってのサポート費用や設定費用も補助の対象に含まれます。
ただし、導入されるITツールは、IT導入支援事業者に登録されたものが条件になります。
また、2021年より開始となった低感染リスク型ビジネス枠(C・D類型)については、PCやタブレット等のハードウェアにかかるレンタル費用も補助対象となるためコールセンターにおけるIT化が可能になります。
事業再構築補助金
・ 通常枠
2020年4月以降、連続する6か月間のうち、任意の3か月間の合計売上高が、コロナ以前(2019年または、2020年1~3月)の同3か月の合計売上高と比較して10%以上減少していること。
・ 大規模賃金引上枠
多くの従業員を雇用しながら、継続的な賃金引上げに取り組むとともに、従業員を増やして生産性を向上させる中小企業等を対象とする。最大1億円まで支援が可能。
・ 回復・再生応援枠
引き続き業況が厳しい事業者や事業再生に取り組む中小企業等を対象に補助率を引き上げます。事業再構築指針の要件について、主要な設備の変更を求めません。
・ 最低賃金枠
最低賃金の引上げの影響を受け、その原資の確保が困難な特に業況の厳しい中小企業等を対象に補助率を引き上げます。
・ グリーン成長枠
グリーン分野での事業再構築を通じて高い成長を目指す中小企業等を対象に補助上限額を最大1.5 億円まで引き上げます。「グリーン成長枠」では、売上高10 %減少要件を課しません。
対象事業者
- IT導入補助金
コールセンターは商業・サービス業に分類されるため、中小企業の場合は資本金(5、000万円)、常勤従業員(100人)が条件となります。
小規模事業者は、常勤従業員(100人)が条件となります。
- 事業再構築補助金
・ 通常枠
・ 大規模賃金引上枠
通常枠の申請要件に加え、以下の①及び②を満たすこと
①補助事業実施期間の終了時点を含む事業年度から3~5年の事業計画期間終了までの間、事業場内最低賃金を年額45円以上の水準で引き上げること
②補助事業実施期間の終了時点を含む事業年度から3~5年の事業計画期間終了までの間、従業員数を年率平均1.5%以上(初年度は1.0%以上)増員させること
・ 回復・再生応援枠
通常枠の申請要件に加え、以下の①又は②のどちらかを満たすこと
①2021年10月以降のいずれかの月の売上高が対2020 年又は2019 年同月比で30%以上減少していること
②中小企業活性化協議会(旧:中小企業再生支援協議会)等から支援を受け再生計画等を策定していること
・ 最低賃金枠
通常枠の申請要件に加え、以下の①及び②を満たすこと
①2020年10 月から2021年6 月までの間で3か月以上最低賃金+30円以内で雇用している従業員が全従業員数の10%以上いること
②2020年4月以降のいずれかの月の売上高が対前年又は前々年の同月比で30%以上減少していること
※売上高に代えて、付加価値額を用いることも可能です。詳しくは公募要領をご覧ください。
・ グリーン成長枠
①事業再構築指針に沿った事業計画を認定経営革新等支援機関と策定すること
(補助額3,000 万円超は金融機関も必須)
②補助事業終了後3~5年で付加価値額の年率平均5.0%以上増加又は従業員一人当たり付加価値額の年率平均5.0%以上増加の達成を見込む事業計画を策定すること
③グリーン成長戦略「実行計画」14 分野に掲げられた課題の解決に資する取組として記載があるものに該当し、その取組に該当する2年以上の研究開発・技術開発又は従業員の一定割合以上に対する人材育成(※)をあわせて行うこと
(※)従業員の10 %以上が年間20 時間以上の外部研修又は専門家を招いたOJT 研修を受けることが必要となります。
厚生労働省
厚生労働省の政策として、人材確保等支援助成金(テレワークコース)があります。
概要として、良質なテレワーク制度とし導入することで人材確保や雇用管理の改善などで効果をあげた中小企業の事業主が対象となります。
また、受給額は機器等導入助成と目標達成助成において異なります。
助成名 | 支給額及び条件 |
機器等導入助成 | 1企業当たり支給対象となる経費の30% (ただし、いずれかの低い金額を上限とする) 1企業当たり100万円 テレワーク実施対象労働者1人当たり20万円 |
目的達成助成金 | 1企業当たり支給対象となる経費の20% <生産条件を満たす場合は35%> (ただし、いずれかの低い金額を上限とする) 1企業当たり100万円 テレワーク実施対象労働者1人当たり20万円 |
コールセンターのテレワークの導入を検討しているが、費用面で悩まれている事業者は多いかと思います。そこでテレワークに特化した助成を申請することでコスト面軽減が可能となる助成はかなり注目されております。
対象内容
下記取り組み実施に要した費用が支給対象となります。
- 就業規則・労働協約・労使協定の作成・変更
- 外部専門家によるコンサルティング
- テレワーク用通信機器等の導入・運用
- 労務管理担当者に対する研修
- 労働者に対する研修
受給要件
受給要件は機器等導入助成と目標達成助成によって異なります。
受給するためには、下記措置を実施することが必須要件となります。
※詳細は支給要領0301の記載内容を確認してください。
申請の流れ
人材確保等支援助成金(テレワークコース)を申請するためには、テレワーク実施計画の作成・提出が必要となります。提出期限までに、事業主の主たる事業所の所在地を管轄する管轄労働局へテレワーク実施計画を提出し計画認定を受けます。
申請条件として、計画認定日以降、支給申請日までに取り組みの実施(機器購入の場合は納品)、支払いを終えることが必要となります。
また、計画認定日から起算して6カ月間を経過する日までの期間内において、事業主が連続する3カ月間を評価期間(機器等導入助成)と設定し、テレワークを実施します。
実施後の支給申請(機器等導入助成)の流れは下記になります。
目標達成助成を受けるためには、評価期間(機器等導入助成)の初日から1年を経過した日から起算した3カ月間(評価期間(目標達成助成))においてテレワークを実施します。
実施後の支給申請(目標達成助成)の流れは下記になります。
一般社団法人 サービスデザイン推進協議会
一般社団法人 サービスデザイン推進協議会には中小企業・小規模事業者がITツール導入に活用できる2つの枠に分岐したIT導入補助制度があります。
1つ目は通常枠(A・B類型)になります。中小企業・小規模事業者等が自社の課題やニーズに応じたITツールを導入する際に経費の一部を負担する制度になります。
ITツールを導入することで、自社の強みや課題を分析し把握することができます。把握した課題に対し適切な対策をとることで、業務の効率化や自社の強みを活かし他社との差別化を図り、売り上げ向上につなげることを目的とした補助制度です。
2つ目はデジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型)です。
中小企業・小規模事業者等が導入するソフト(会計・受発注・決済・EC) の経費の一部を負担する制度になります。ソフトを導入することで、2023年10月から企業が対応すべきインボイス制度も見据えた企業間取引のデジタル化の推進を目的とした補助制度になります。
CTIツールを導入して、コールセンターの増設や開設を検討されている事業者の中には費用面で悩まれている方はかなり多いでしょう。そこで、ITツールを導入する際の補助を申請することで、費用面での軽減が見込まれ導入障壁が低くなります。
対象事業者
中小企業・小規模事業者で対象の業種が異なります。また、業種によって資本金・従業員数の定義が違うため必ず申請を受ける前に確認が必要です。
ちなみに、コールセンターは商業・サービス業に分類されるため、中小企業の場合は資本金(5、000万円)、常勤従業員(100人)が条件となります。
小規模事業者は、常勤従業員(100人)が条件となります。
また、通常枠(A・B類型) ・デジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型)の具体的な補助対象者は以下になります。
対象のITツール
対象となるITツールは通常枠(A・B類型) ・デジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型)で異なります。
申請の流れ
IT導入補助金の申請にあたり、導入ツールを独自の判断で選択して申請することはできません。登録されているIT導入支援事業者と一緒に、自社生産性向上するための適切なITツールを選択し、申請が必要になります。
下記の申請・手続きの概要をご確認ください。
補助金申請の注意点
補助金は、事業者の取り組みをサポートするために資金の一部を給付するものです。国や自治体の政策目標に合わせて対象・目的・仕組みが異なります。募集はさまざまな分野でされているため、自社のニーズに合わせて最適な補助金を選ぶようにしましょう。
補助金はすべての経費がもらえるという訳ではありません。事前に補助対象となる経費や補助割合・上限額のリサーチが必要となります。
融資と補助金は性質が異なるため、返済する必要はありません。ですが、補助金申請を受けるためには審査があるため、申請しても審査が通らない場合もあります。
実施年度によっては募集内容が異なる
補助金の申請は実施年度により申請期間や目的・仕組みが異なります。早いものだと2月から公募が開始となります。例年を通して申請方法や内容が同じではなく、年度ごとに募集期間や回数が異なるため、各団体の情報は必ず確認する必要があります。
各団体によって申請の流れが異なる
自社のニーズに合う補助制度がある場合は、公募要領を確認し、申請書などの必要書類一式を事務局に提出します。ただし、補助金や自治体によって提出方法が異なる場合があります。大きな違いとしては、電子申請か書面による郵送があります。詳細につきましては、担当事務局のホームページや公募要項を確認しましょう。
まとめ
各自治体によってサポートが可能な補助制度はさまざまです。
実際に補助制度と組み合わせることで低コストの運用ツールを導入している企業は増えています。特にITシステムは補助金制度と掛け合わすことで長期的にコスト削減しながら業務の効率化や業績向上に役立ちます。
コラボスのCTIシステムやPBXなど、コールセンターの業務に欠かせないシステムは、低コストで導入が可能なツールですが、助成金を利用することでさらに経費の節約が可能になります。
これからコールセンターの開設を検討している・センター業務の効率化を検討しているのであれば、ぜひ1度コラボスまでお問合せください。
この記事の執筆者
コラボスブログ編集部
株式会社コラボスは、2001年に設立。現在、東京・大阪にオフィスを構えており、
960拠点以上のお客様へクラウドサービスを使ったCTIシステムを提供。
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