コールセンターの業務フローの作成方法 具体例やポイントを徹底解説

コールセンターの業務フローは、効率的な運営と高品質な顧客対応を実現するためには必要不可欠です。
この記事では、コールセンターの業務フローの基本から具体例、作成方法までを詳しく解説します。業務フローを適切に設計することで、オペレーターの負担を軽減し、顧客満足度を向上させることができます。
これから紹介するポイントを押さえて、効果的な業務フローを作成しましょう。


コールセンターの業務フローとは?

業務フローは、業務の手順を図で示し、可視化したものです。業務をスムーズに進めるためには、どの段階で誰が何を行うのかを明確に理解しておく必要があります。

業務フローを作成することで、全ての社員が共通の理解を持つことができ、業務の進行が容易になります。

【コンタクトセンターでの業務フローの例】

  • 電話がかかってきてから処理が完了するまでの流れを明確にする業務フロー
  • 電話がかかってきた際のIVRやACDとの連携を図る業務フロー

コールセンターの業務フローの具体例

コールセンターの業務フローには、以下のような具体例があります。

  • 入電から後処理までの流れ
    • 顧客からの電話を受ける
    • 問い合わせ内容を確認し、適切な対応を行う
    • 必要に応じて他部署にエスカレーション
    • 対応内容をシステムに記録し、後処理を行う

 

  • IVR(自動音声応答)システムの利用
    • 顧客が電話をかけると、IVRが自動応答
    • 顧客の選択に応じて、適切なオペレーターに転送

コールセンターに業務フローが必要な理由

コンタクトセンターにおいて、業務フローを作成する必要性は下記3つの観点から必要といえます。

責任範囲を明確にするため

業務フローを作成することで、各スタッフの責任範囲が明確になります。
具体的には、誰がどの業務を担当するのか、どのタイミングでどのような対応を行うべきかが一目でわかるようになります。
業務フローを作成することにより、業務の重複や抜け漏れを防ぎ、効率的な運営が可能になります。

また、責任の所在が明確になることで、問題が発生した際の対応も迅速かつ的確に行うことができます。さらに、スタッフ間のコミュニケーションが円滑になり、チーム全体のパフォーマンス向上にも寄与します。

タッチポイントの把握が重要なため

コールセンターでは、顧客との接点(タッチポイント)が多岐にわたります。
業務フローを通じてこれらのタッチポイントを把握し、一貫した対応を行うことが重要です。

例えば、電話応対、メール対応、チャット対応など、各タッチポイントでの対応方法を明確にすることで、顧客に対して一貫性のあるサービスを提供できます。こういったマルチチャネル対応を進めることにより、顧客満足度の向上や信頼関係の構築が期待できます。

また、タッチポイントを把握することで、顧客のニーズや問題点を早期に発見し、適切な対応策を講じることが可能になります。

有事の対応をしやすくするため

緊急時やトラブル発生時には、迅速かつ適切な対応が求められます。
業務フローがあれば、対応手順が明確になっているため、スムーズに対応することができます。

例えば、システム障害やクレーム対応など、緊急時の対応手順を事前に定めておくことで、混乱を最小限に抑え、迅速な対応が可能になります。

また、業務フローを見直すことで、過去のトラブル事例を基にした改善策を取り入れることができ、再発防止にも役立ちます。こういった準備をしておくことで、顧客への影響を最小限に抑え、信頼性の高いサービスを提供することができます。

コールセンターの業務フローの具体例

入電から後処理までの流れ

顧客からの電話を受けるところから始まり、問い合わせ内容を確認し、適切な対応を行います。具体的には、以下のステップで業務が進んでいきます。

  • 電話の受信: 顧客からの電話を受け、挨拶と共に問い合わせ内容を確認します。
  • 問題の特定: 顧客の問題や質問を詳細に聞き取り、必要な情報を収集します。
  • 対応の実施: 問題を解決するための対応を行います。例えば、システムの操作方法を案内したり、問題解決のための手順を説明します。
  • エスカレーション: 問題が複雑で解決できない場合は、専門部署や上級スタッフにエスカレーションします。
  • 記録と後処理: 対応内容をシステムに記録し、必要な後処理を行います。これには、フォローアップのためのメモを残すことも含まれます。

IVR(自動音声応答)システムの利用

IVRシステムを利用することで、顧客が電話をかけた際に自動応答が行われ、適切なオペレーターに転送されます。

  • 初期応答: 顧客が電話をかけると、IVRが自動的に応答し、メニューを案内します。
  • 選択肢の提示: 顧客に対して、問い合わせ内容に応じた選択肢を提示します。例えば、「1を押して技術サポートへ、2を押して請求に関する問い合わせへ」など。
  • 転送: 顧客が選択した内容に基づいて、適切なオペレーターに転送されます。
  • 対応: オペレーターが顧客の問い合わせに対応し、必要なサポートを提供します。

 新人研修の進め方

新人オペレーターのトレーニングは、業務フローを通じて体系的に行われます。具体的なステップは以下の通りです。

  • オリエンテーション: 新人オペレーターに対して、会社の概要やコールセンターの基本的な業務内容を説明します。
  • シミュレーション: 実際の業務をシミュレーションしながら、電話応対の基本やシステムの操作方法を学びます。
  • 実地研修: 実際の業務に参加し、先輩オペレーターのサポートを受けながら実務を経験します。
  • フィードバックと評価: 定期的にフィードバックを行い、業務の進捗や改善点を確認します。評価を通じて、スキルの向上を図ります。

コールセンターの業務フローの作成方法

目的を明確にする

業務フローを作成する目的を明確にすることが重要です。具体的な目的は以下のように考えられます。

  • 業務の効率化を図るために改善点を洗い出すこと。
  • 新入社員の研修のために使用すること。
  • 引継ぎ用のマニュアルとして利用すること。
  • 他部署やクライアントに業務内容を説明するために使うこと。

これらの目的に応じて、以下のポイントが変わってきます。

  • 業務フロー化する範囲
  • 現状の業務フローをそのまままとめるのか、それとも理想的な新しい業務フローを設計するのか
  • 業務内容をどれだけ詳細に記載するか

目的を明確にすることで、適切な業務フローを作成し、それが役立つ場面で活用できるようになります。

登場人物を整理する

次に業務フローの内容に応じて、関与するスタッフや部署を全てリストアップします。典型的なコンタクトセンターの場合、

  • オペレーター
  • リーダー
  • スーパーバイザー(SV)

が主要な役割を担いますが、場合によっては「営業担当部署」「開発担当部署」「外部委託先」なども関与することがあります。

業務フロー図(後述)では、これらの担当者ごとに作業を分類し、それぞれの役割を「スイムレーン※」として示します。また、システムも含めたケースもあります。例えば、予約システムや顧客管理システムなど、コンタクトセンターが使用するシステムも考慮に入れることができます。

※ スイムレーン:業務フローチャートやプロセスマップにおいて、異なる役割や部門、システムなどの担当範囲を示す分割された領域のこと

作業を棚卸しする

担当者が確定したら、各担当者に直接話を聞いて、具体的な作業内容を詳しくリストアップします。
例えば、「お客様からの電話を受ける」という大まかな作業ではなく、

  • 顧客の名前と顧客番号を聞いて入力する作業
  • 対応が終わったら、対応ログを書いて受注データを入力し、情報データのフラグを設定する作業

など、具体的な手順をヒアリングして整理します。
同時に、各作業にかかる時間や手間、起こりうる問題点や改善案についても聞いてみます。これらの情報は業務フローの改善に役立ちます。
また、クレームやトラブル対応、緊急時の対策などの特別なケースも洗い出し、必要に応じて対策を考えておくと良いですね。

作業を担当者に振り分ける

担当者と行うべき作業が明確になったら、次は整理しましょう。
どの作業を誰が行うのか、特定できていない箇所や曖昧な部分を厳密に確認し、それぞれを適切な担当者に割り当てます。
具体例としては、例えば「顧客からの問い合わせに対応する」という大まかな作業について、以下のように整理することができます。

  • オペレーターが顧客からの電話を受け、顧客の問題を理解する。
  • リーダーが複雑な問題に対応し、必要な場合は他の部署に連絡を取る。
  • スーパーバイザーが重要なクレームやトラブルに対応し、最終的な解決策を提供する。

このように、どの担当者がどの作業を担当するかを明確にし、チーム全体が効率的に業務を進めるための手順を整えます。

作業を時系列に整理する

担当者と作業を整理できたら、次に時系列で整理しましょう。特にコンタクトセンターでは、顧客のコール内容や要望によって作業の流れが分かれていくことがあります。

具体的な方法としては、以下のような手順が考えられます。

  • 顧客のコール内容の分類
    • 注文や問い合わせなど、顧客からのコール内容を分類します。
  • 作業の流れを決定
    • 各分類ごとに、どの担当者が最初に対応し、その後どのような作業が続くかを決定します。例えば、注文の場合は受注処理を行い、問い合わせの場合は問題解決に向けた対応をします。
  • 分岐点の設定
    • 注文と問い合わせなどの分岐点で、次にどの担当者が担当するかを明確にします。窓口や顧客の要求によっても作業が変わることがありますので、それらを考慮に入れます。
  • 時系列での整理
    • これらの情報を時系列で整理し、フローチャートや業務マニュアルとしてまとめます。これにより、チーム全体が一貫した対応ができるようになります。

このようにして、顧客のコールに対する効率的な対応手順を確立し、スムーズな業務フローを実現します。

コールセンターの業務フローで使用する図形や記号

これらの記号を使い分け、矢印でつなぐことで、業務の流れが視覚的に理解しやすくなります。

図形・記号 名称 意味
端子・開始(終了)図形 作業の始まりと終わりを示す
プロセス・作業・処理図形 一般的な作業やタスクを示す。枠内に作業内容を書く
条件分岐・判断図形 「YES/NO」や「OK/NG」など、条件によって次の作業が変わる場合に使う。枠内に判断内容を書く
ページ結合子 フロー図が複数ページにわたる場合に使う。枠内にページ番号を書く
準備 次の作業の準備を示す。枠内に準備内容を書く
データ図形・入出力 データの入出力を示す。枠内に「どのデータをどうするのか」を書く
手操作入力 パスワードや情報などを手動で入力する場合に使う。枠内に「どのデータをどうするのか」を書く
手作業 自動化されずに人が手作業で行うものを示す。枠内に作業内容を書く
保存・保管 書類や帳票などを保存する場合に使う。枠内に保管場所や保管方法を書く
書類・帳票 請求書や伝票などの書類を示す。枠内に書類名や内容を書く
システム・データベース データを保存するシステムやデータベースを示す。枠内にシステム名や保存場所を書く

特に、「端子・開始(終了)図形」「プロセス・作業・処理図形」「条件分岐・判断図形」は、よく使われる基本的な記号ですので、覚えておくと便利です。

コンタクトセンターの業務フローを作成するポイント

開始時点・終了時点を明確に記載する

業務フローの開始と終了を明確にすることで、各プロセスの範囲がはっきりします。
例えば、以下のようなステップを含めると良いでしょう。

  • 開始時点: 顧客からの電話やメールの受信
  • 終了時点: 問題解決後のフォローアップや顧客満足度調査の完了

各プロセスの開始と終了が明確になり、業務の流れがスムーズになります。

シンプルなフローにする

業務フローはできるだけシンプルに保つことが大切です。以下の方法でシンプル化を図ります。

  • 不要なステップを削除: 実際に必要なプロセスだけを残す
  • 一貫性のある表現: 同じ種類のプロセスには同じ図形や記号を使用する
  • 明確なラベル付け: 各ステップにわかりやすいラベルを付ける

シンプルなフローは理解しやすく、実行もしやすくなります。

図形・記号を活用する

図形や記号を使うことで、業務フローが視覚的にわかりやすくなります。以下の図形や記号を活用すると良いでしょう。

  • 楕円形: 開始点や終了点を示す
  • 長方形: プロセスやタスクを示す
  • 菱形: 決定点や分岐点を示す
  • 矢印: 流れの方向を示す

適切に図形を用いることで、フローの各ステップが一目で理解できるようになります。

複数窓口を兼任するオペレーターを確認する

複数の窓口を兼任するオペレーターがいる場合、その役割を明確にしておくことが重要です。以下の点に注意します。

  • 担当窓口の明確化: 各オペレーターがどの窓口を担当しているかを明示する
  • 役割の重複を避ける: 同じオペレーターが複数の重要な窓口を同時に担当しないようにする

業務の重複や混乱を防ぐことができます。

入電呼量・対応時間のバランスを意識する

入電呼量と対応時間のバランスを考慮することも重要です。以下の方法でバランスを取ります。

  • ピーク時の予測: 過去のデータを基にピーク時の入電呼量を予測する
  • 適切なオペレーター数の配置: ピーク時に対応できるようにオペレーターを配置する
  • 対応時間の最適化: 各オペレーターの対応時間を最適化し、効率的な業務運営を図る

顧客満足度を高めることができます。

コンタクトセンターシステムの導入ならコラボスへ

コールセンターの業務フローを最適化し、効率的な運営と高品質な顧客対応を実現するためには、適切なシステムの導入が不可欠です。コラボスでは、AIコールセンターシステム「VLOOM」を提供しており、業務フローの設計から運用までをサポートいたします。

当社のコールセンターシステムの特長:

  • コールフローGUI:コールフローを視覚的に設計できるGUIを提供しており、複雑なコールフローも簡単に設定できます。
  • リアルタイムテキスト化と自動要約機能: 通話内容をリアルタイムでテキスト化し、自動的に要約する機能を搭載しています。オペレーターは会話の内容を即座に把握しやすくなります。
  • 柔軟な課金システム:ユーザーライセンスではなく、同時通信数での課金システムを採用しており、コスト効率が高いです。

コールセンターの業務フローを改善し、顧客満足度を向上させたいとお考えの方は、ぜひ当社のシステムをご検討ください。詳細な情報やデモのご依頼は、当社のウェブサイトまたはお電話でお気軽にお問い合わせください。

まとめ

コールセンターの業務フローは、業務の効率化と顧客満足度の向上に欠かせない要素です。責任範囲の明確化やタッチポイントの把握、有事の対応をスムーズにするために、業務フローの作成は非常に重要です。
具体例や作成手順を参考にしながら、シンプルでわかりやすい業務フローを設計しましょう。
図形や記号を活用し、開始時点と終了時点を明確にすることで、誰もが理解しやすい業務フローを作成できます。
業務フローを適切に作成することは、コールセンターの運営がよりスムーズになり、顧客対応の質の向上にも寄与します。

この記事の執筆者

コラボスブログ編集部

株式会社コラボスは、2001年に設立。現在、東京・大阪にオフィスを構えており、
960拠点以上のお客様へクラウドサービスを使ったCTIシステムを提供。
本ブログ記事サイトでは、様々なニーズを抱えたお客様のお役に立てるような情報を日々発信。
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