2020/08/12
PBX/CTI
クラウドCTIとは?導入の流れ・メリット・デメリットを紹介
コールセンターや電話受付、発信業務を行っている企業にとって欠かせないシステムとなっているCTI。
近年ではクラウド技術の発展により、クラウド型CTIを導入する企業が増えてきています。
しかし、そもそもクラウド型CTIが一体どういった仕組みなのか、本当に安全なのかなど、気になる人も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、クラウド型CTIシステムについて、オンプレミス型と比較しながら仕組みを解説していきます。
目次
クラウド型CTIシステムとは?
CTIシステムとは、Computer Telephony Integrationの略語で、PCと電話を統合させたシステムのことをいいます。
そのCTIシステムを活用することで、電話の発着信や通話をPC上で行うことが可能となります。
その結果、業務の効率化や人件費や通信費の削減、顧客満足度の向上など、さまざまなメリットがあります。
かつて、このCTIシステムはオンプレミス型と呼ばれる自社にサーバーを設置して利用するものが主流でした。
しかし、最近では、自社にサーバーを設置することなく、クラウド上のサーバーを利用するクラウド型のCTIシステムを採用する企業が増えてきています。
クラウド型は自社サーバーの構築が不要なため、初期費用が安く、また発注から運用までの期間が半分以下に短縮されるなどのメリットがあります。
クラウド型CTIシステムの仕組み
クラウドとは「ハードウェアやソフトウェアを持つことなく、インターネットを通じてサービスを利用できるという考え方」のことを指します。
例えば、ワードやエクセル、自社メールなどは、ソフトをインストールしたり、自社サーバーを構築することで利用できるサービスです。
一方、クラウドシステムはインストールやサーバー構築をすることなく、インターネットを通じてどこかにあるサーバーから、サービスを必要な時に利用することができるのです。
身近なクラウドサービスの例としてはGmailなどが挙げられます。
クラウド型のCTIシステムは、自社サーバーを構築することなく、インターネットを通じて利用することができるCTIシステムです。
オンプレミス型のCTIシステムと基本的にはサービスの内容は同じなので、電話をかけてきた相手の電話番号をポップアップ表示させる機能や、着信履歴や通話録音機能、電話の制御機能などを利用することができます。
クラウドとオンプレミスを比較
クラウド型とオンプレミス型のCTIシステムにはそれぞれメリット・デメリット存在します。
ここからは、それぞれを比較して違いを紹介していきましょう。
クラウド型CTIのメリット・デメリット
メリット
クラウド型CTI(Computer Telephony Integration)のメリットを4つ挙げます。
コスト効率
クラウド型CTIは、初期投資が少なく、ハードウェアの購入や維持管理が不要です。例えば、従来のオンプレミス型システムではサーバーや電話機器の購入が必要ですが、クラウド型ではこれらのコストが削減されます。また、サブスクリプションモデルを採用していることが多く、月額料金で利用できるため、運用コストを予測しやすいです。
スケーラビリティ
ビジネスの成長に応じて、簡単にユーザー数や機能を追加できます。例えば、急に新しいプロジェクトが始まり、追加のオペレーターが必要になった場合、数クリックで新しいライセンスを追加できるため、急な需要の変化にも柔軟に対応できます。特にシーズンごとの変動がある企業にとっては、大きな利点です。
アクセスの柔軟性
インターネット接続があれば、どこからでも利用可能です。リモートワークや多拠点での業務が増えている中、例えば、営業チームが外出中に顧客と電話をかける際にも、スマートフォンから簡単にアクセスできるため、非常に便利です。この柔軟性が生産性を向上させます。
最新機能へのアクセス
クラウドサービスは定期的に更新され、新機能やセキュリティパッチが自動的に適用されます。これにより、常に最新の技術を利用でき、例えば、AIを活用した自動応答機能やデータ分析ツールが追加されることで、競争力を維持しやすくなります。常に業界のトレンドに遅れずについていける点も重要です。
デメリット
クラウド型CTIのデメリットとして、以下の2点が挙げられます。
ネットワーク依存
クラウド型CTIはインターネット接続が必要です。接続が不安定な場合や障害が発生すると、システム全体に影響を及ぼす可能性があります。例えば、通信回線の障害が発生した場合、顧客との通話が途切れたり、データにアクセスできなくなったりすることがあります。これにより、業務が中断したり、顧客対応に支障が出たりすることがあります。対策として、複数のインターネット回線を持つことや、バックアップシステムを導入することが考えられます。
コストの累積
クラウド型CTIは初期投資が少なく、導入が容易ですが、月額料金や利用に応じた従量課金制が一般的です。長期間利用する場合、これらのコストが累積し、オンプレミスシステムよりも高額になることがあります。特に、ユーザー数が増加したり、機能を追加したりすると、予想以上のコストが発生することがあります。これを防ぐためには、導入前に総コストをしっかりとシミュレーションし、将来的なスケールアップの計画を立てることが重要です。
オンプレミス型のメリット・デメリット
オンプレミス型は、自社で用意したサーバーにソフトウェアをインストールして利用するCTIシステムです。
社内で完結するためクラウド型に比べ、社外へ情報漏洩してしまう可能性が低いというメリットがあります。
また、自社サーバーを利用するため、カスタマイズの幅は非常に広く、事業に特化したシステムの構築が可能です。
しかし、デメリットとして、サーバ購入や初期費用などコストがかかり、複雑な設定や追加費用がかかってしまうことが挙げられます。
また、インフラ調達期間として導入に非常に時間がかかってしまうことや、移転や拡大の際に工事が必要なことも大きなデメリットといえるでしょう。
クラウド型CTIシステムの導入目的別のポイント
クラウド型CTIシステムの主な導入目的別のポイントは4つです。
以下ではそれぞれの重要ポイントを解説します。
受電体制の構築が目的の場合
スポットでコールセンターを構築する必要が発生した際など、急遽コールセンターを開設する場合には、短納期での体制構築が何よりも最優先です。
このような状況では、業務の中断を最小限に抑えるために、迅速な対応が求められます。
クラウドCTIであれば、最短5営業日程度で稼働できるサービスも少なくありません。
これは、クラウドCTIが物理的な設備を必要とせず、インターネット環境とPCがあれば導入可能であるためです。
また、クラウドCTIは、最低限、PCと通信環境があれば、オフィスだけでなく自宅やその他の場所でも業務を開始することができます。これは、クラウドCTIが電話の着信をデジタル化し、インターネットを通じてオペレーターのPCに転送するためです。
オペレーターの業務の効率化が目的の場合
クラウド型CTIシステムは、CRMと連携することで顧客情報を一元管理し、着信時に自動的にその情報をオペレーターに表示するといったCTI連携と呼ばれる機能を有しています。
これにより、オペレーターは顧客対応に必要な情報をすぐに取得でき、顧客対応に集中することができます。
さらに、通話履歴や対応内容の記録も自動化されるため、オペレーターの後処理業務も効率化されます。
その他にもACD機能により、オペレーターのスキルや待機時間、入電理由などに基づいて電話を振り分けることで、業務効率化を図るのに役立ちます。
初めに暫定的な振り分けルールを設定し、運用しながら徐々に精度を高めていくことで、効率的な業務運営が可能です。
対応品質向上が目的の場合
クラウド型CTIシステムは、通話の録音や分析機能を実装している場合が多いです。
これらの機能を用いて、オペレーターの対応品質を定量的に評価し、改善点を見つけ出すことができます。
また、顧客からのフィードバックをシステムに記録し、それを元に改善策を立案することも可能です。
これにより顧客対応の品質向上を図ることができるだけでなく、オペレーターのスキル向上を支援するためのトレーニング機能や、オペレーター間でのベストプラクティスの共有を促進する機能も提供します。
例えば、通話録音を再生してオペレーター自身が自分の対応を振り返ることで、オペレーターのスキルアップにつながります。
管理業務の効率化が目的の場合
クラウド型CTIシステムは、通話量や対応時間などの各種指標をリアルタイムで把握することができます。
上記のレポート機能等を利用してスーパーバイザーは、迅速かつ正確な意思決定を行うことができます。
また、システムの導入や運用、保守などのITリソースを削減することができ、管理業務の効率化に寄与します。
社内からの問い合わせ対応や運用保守業務に対応していた情報システム担当者等のリソースをより重要な業務に集中させることができます。
さらに、クラウド型CTIシステムは、オペレーターのパフォーマンス評価や、業務改善のためのデータ分析など、管理業務を支援する様々な機能を提供します。
例えば、ダッシュボード機能を利用することで、一目で業務状況を把握することができます。
クラウド型CTIシステムの導入の流れ
クラウド型CTIシステムの導入の流れは①電話回線の手配、②受電機器の用意、③クラウドCTIの設定といった3つのプロセスが発生します。
電話回線を手配する
クラウド型CTIシステムを利用するには足回りとなる電話回線が必要です。
新しい電話番号を利用する場合は、手軽に取得できます。
ただ、すでに使っている番号をそのまま利用したい場合は、いくつかの注意点があります。
まず、現在使っている電話番号の番号移行の可否を確認したり、追加で通信機器を購入しNW構成を変更するなど利用にあたり対応すべき事項が大幅に増えます。
フリーダイヤル(0120や0800番号)も引き続き利用できる場合がありますが、これは現在の契約内容によりますので、プランの詳細を確認してから進めることをおすすめします。
電話を受ける機器を用意する
クラウド型CTIシステムを使うとき、わざわざ電話機を用意する必要はありません。
その代わりに、パソコンから電話をかけるためのヘッドセットを準備するだけで大丈夫です。
他にはたくさんの電話を受けるコールセンターでは、使いやすいヘッドセットがとても重要です。
通話音質にも影響するので、ヘッドホンの形やマイクの種類など、実際につけてみてオペレーターが使いやすいものを選ぶことが大切です。
クラウドCTIの設定を行う
クラウド型CTIシステムでは、管理画面から様々な設定を行うことができます。
必要なログインIDの作成、オペレーターに着信させる業務の割り振りやコールフロー・アナウンスの作成など、色々な項目を設定していきます。
後からいつでも変更できるので、最初は、自分が理解できて、最低限必要な機能から試してみると良いでしょう。
クラウド型CTIシステムの導入事例
ここでは、クラウド型CTIシステムの導入事例を3つご紹介します。
導入することでどんな改善ができたのか、是非参考にしてみてください。
株式会社かいげつ
旅館・ホテルやスポーツレジャーなどの24施設を運営している株式会社かいげつ様は、電話対応が各施設ごととなっていました。フロント業務と営業電話、取引業者との電話とお客様からの電話が全て混在していて、電話がつながりにくいという意見がお客様からありました。
そこで、コラボスの「COLLABOS PHONE」「COLLABOS CRM」を導入していただきました。その結果、呼損を削減し、応答率は90%にUP。問い合わせ内容の一元管理が実現したため、よくある質問のデータ化が可能になり、オペレーターの負担も軽減しました。
マツダパーツ株式会社
自動車用品の提供、販売を行うマツダパーツ株式会社様では、コールセンターのオペレーターが新システムに慣れるまでに時間がかかることや、案件ごとに担当オペレーターに電話をつなぐ手間があり、業務効率化ができていないことが課題でした。
そこで、コラボスの「@nyplace」、「COLLABOS CRM」、「Packet Folder」を導入していただきました。
その結果、お客様の案件に応じて最適なオペレーターにつなげるACD機能でオペレーターの負担が減りました。お客様の詳細な情報を簡単に検索できるようになったため、全オペレーターが必要な情報を迅速に入手可能になり、業務の効率化に繋がりました。
クラウド型CTIシステムの選び方
クラウド型CTIシステムを導入する際、選ぶべきポイントがいくつかあります。
インバウンド型かアウトバウンド型か
コールセンターにインバウンドとアウトバウンドがあるように、CTIシステムもインバウンド特化型とアウトバウンド特化型に分かれています。
インバウンド特化型のCTIシステムは、着信時にCRMに登録しておいた顧客情報が画面に表示されるポップアップ機能や、自動音声で対応するIVR機能などが搭載されているものが多いです。
一方アウトバウンド特化型のCTIシステムはCRMに登録されている電話番号をクリックするだけで発信できるプレビュー発信機能や、電話が切れたらコールリストに登録されている顧客へ発信する自動発信機能などが搭載されています。
両方の機能が搭載されているCTIシステムも存在しますが、その分コストが上がるため、必要となる機能のみが搭載されているCTIシステムを選ぶことが重要となります。
他システムとの連携は可能か
CTIシステムはCRM(顧客管理システム)やSFA(営業支援システム)などのコールセンターシステムと連携することで、効果を最大限に発揮するものです。
例えば、着信と同時に顧客情報が表示されるポップアップ機能や、ワンクリックで発信できるプレビュー発信機能などは、CRMと連携することで利用できる機能となっています。
CTIによるコールセンターの効率化を望むのであれば、他のシステムとの連携ができるかどうか必ず確認するようにしましょう。
セキュリティは高いか
クラウド型CTIシステムを利用するうえで、非常に大切なことがセキュリティ面です。
多くの企業では、個人情報を取り扱っているため、情報漏洩は絶対に避けなければなりません。
情報漏洩のリスクを回避するためにも、どれほどのセキュリティがあるのか、重要な確認ポイントでしょう。
クラウド型CTIシステムのなかには、IPアドレスによるアクセス制限機能や、複数回ログイン失敗した際にロックさせる機能、アクセスログの保存機能など、セキュリティ対策を行っているシステムも存在します。
クラウド型CTIシステムを導入する際は、セキュリティに関する情報も必ず確認しましょう。
サポート体制は万全か
サポート体制が万全かどうかも重要なポイントの一つです。
これはクラウド型CTIシステム以外にもいえることですが、システムは導入したらそれで終りということはありません。
通常のサポートの対応可能時間が、自社の業務時間とマッチしているのか、緊急サポートは24時間対応しているのかなど必ず確認しておきましょう。
また、設定の各種変更については電話越しでは難しい場合があるため、出張サポートを行っているサービスを選ぶことをおすすめします。
VLOOMのご紹介
クラウド型CTIの導入をご検討中の方はぜひ、コラボスの「VLOOM」をご利用ください。
「VLOOM(ヴルーム)」は、株式会社コラボスが開発したクラウド型CTIコールセンターシステムです。このシステムは、20年以上のノウハウを活かし、コールセンターに特化した機能を提供しています。
VLOOMは、見やすさや使いやすさを追求したシステムで、ユーザーライセンスでの課金ではなく、”同時通信数”で課金する独自の月額料金システムを採用しています。これにより、登録するユーザー数は無制限となります。
まとめ
クラウド型CTIシステム(Computer Telephony Integration)は、PCと電話を統合し、業務の効率化やコスト削減、顧客満足度の向上を実現します。従来のオンプレミス型に対し、クラウド型は自社サーバーを必要とせず、初期投資が少なく、迅速な導入が可能です。主なメリットには、コスト効率、スケーラビリティ、アクセスの柔軟性、最新機能への容易なアクセスがあります。一方、ネットワーク依存や累積コストのリスクも考慮が必要です。導入目的に応じた設定や、他システムとの連携、セキュリティ、サポート体制の確認が重要です。
この記事の執筆者
コラボスブログ編集部
株式会社コラボスは、2001年に設立。現在、東京・大阪にオフィスを構えており、
960拠点以上のお客様へクラウドサービスを使ったCTIシステムを提供。
本ブログ記事サイトでは、様々なニーズを抱えたお客様のお役に立てるような情報を日々発信。
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