2023/03/22
マネジメント
セールスイネーブルメントとは?背景や具体事例を紹介!
「何をやっても売上が回復しない…」そんな悩みを抱えている事業者の方は多いでしょう。
その原因は消費者のニーズをつかめていないからかもしれません。
消費者ニーズの把握に役立つと日本で評判の手法がセールスイネーブルメントです。
今回の記事はこのセールスイネーブルメントを使うメリットと実際に導入する際の4つのポイントをまとめて解説していきます。
目次
セールスイネーブルメントとは?
「セールスイネーブルメント(Sales Enablement)とは、「誰もが売れる営業 」になることです。 営業力強化の手法の一つであり、営業組織に所属する営業担当全員が成果を創出できるように導くことを指しています。」
これまでの営業改革といえば、個人任せだったり、もしくは営業関連のソフトウェアを導入する程度でした。しかし、これらの方法は特定の部署の業務効率を強化だけで、営業力をアップさせる普遍的な手法ではありません。
セールスイネーブルメントでは一部の改善ではなく、営業活動に関わる全ての部署を連携させることで営業効果を高める方法です。営業プロセス全体を見て、各部署がどう動けばより営業を効果的なものにできるのか考え、営業の仕組みと社員の意識を改革します。
セールスイネーブルメントの対象領域
セールスイネーブルメントの対象領域は、4つ挙げられます。
- ナレッジ
- ワーク
- ラーニング
- ピープル
これらの各領域を整備していくことで、営業の効果、効率を高めていけるでしょう。
①ナレッジ
1つ目は「ナレッジ」です。商品やサービスに関する知識のことで、主に、各営業が作成した提案書や資料にまとめられています。それらは各営業が各々作成するケースがほとんどだと思いますが、作成後に社内全体で共有することが必要不可欠です。作成した提案書や資料を共有するだけでなく、勉強会のようなかたちで知識を広く社内に伝えることもよいでしょう。
②ワーク
2つ目に「ワーク」です。1案件の営業のステップ・プロセスは、各営業しか知りえず、どういった手順でどんな情報を提示したのか、という、経過の部分を共有することです。営業のプロセスは属人化されていることがほとんどであり、他の営業は結果しか見ていません。プロセスも共有することで、他の営業が真似をする、もしくはもっといい方法の共有につながる可能性もあります。
③ラーニング
3つ目に「ラーニング」です。、社員が積極的に学べる場を作ることです。新サービスをリリースした場合は、開発部門から裏側の仕組みや開発裏話を共有してもらい、営業トークで話せるようにするとよいでしょう。営業だけでなく、技術部門と一緒にテキストや勉強動画の作成をするとよいでしょう。
④ピープル
4つ目に「ピープル」です。営業ひとりひとりの能力を上げることです。
営業スキルをセットするような働きかけを実施しましょう。
セールスイネーブルメントを行う3つのメリット
セールスイネーブルメントは概念だけ理解しても、具体的にどのような効果があるのかイメージしにくいかもしれません。優れた営業手法であっても効果が分からなければ導入は難しいでしょう。具体的なメリットとしては営業効果の向上による売上アップが挙げられます。その他のメリットも含めて詳しく見ていきましょう。
属人的な営業活動から脱却できる
セールスイネーブルメントを用いれば、営業マンの経験や感覚のような個人の能力に依存せずに営業の成果を上げることが可能です。
従来の営業は優秀な営業マンひとりに成果が委ねられることが少なくありませんでした。貴重なノウハウが個人によって保持されていると、社内で共有されないため営業に携わる社員の能力の底上げにはつながりません。
セールスイネーブルメントではCRMやMAといった営業ツールを活用して顧客データを集め分析することで有効なリードのパターンを見つけ出します。これにより、どのような特徴を持った顧客にどんなアプローチをかければ受注につながるのかが分かります。個人の勘や経験に頼らずに済むため、個人の能力に影響されにくい営業活動が可能になります。
根拠を持った指摘・育成が可能
新人教育を行う場合には教育内容の履歴を残すようにします。
新人教育の各フェーズにおいて詳細な履歴を残すことで、振り返ってコーチングの成果を評価する場合に根拠ある判断が可能になります。指導を担当したのが誰か、どのような指導内容だったのか、受けたセミナーは何かなど、それぞれ詳しく把握するため、効果が薄いコーチングがどれか数値で見分けがつくようになり、指導方法の改善がスムーズに進みます。
指導を現場のスタッフに一任しているような企業では、問題の解決にあたって根拠を重視するようになり、社員の意識改革にもつながるでしょう。
顧客のニーズを把握できる
現在のマーケティングにおける課題のひとつは消費者ニーズをつかむことです。
セールスイネーブルメントではCRMなどの営業ツールにさまざまな顧客情報を蓄積することで消費者ニーズを見つけ出します。営業ツールによって顧客の属性を細かく分類することで共通点や相違点が見つけやすくなります。従来の顧客管理では見えてこなかった複雑化したニーズに気づけるでしょう。
営業活動の履歴も強力なサポートツールになります。有効リードの商談履歴を記録することで従来よりも精度の高いニーズの分析が可能です。
セールスイネーブルメントが注目される背景や必要性
セールスイネーブルメントが注目される背景には従来のマーケティング手法の効果が低下していることと、消費者のニーズの多様化と変化の早さがあります。
セールスイネーブルメントの必要性にも関わるため、ひとつずつ見ていきましょう。
セールスイネーブルメント市場の規模が拡大しているため
セールスイネーブルメントの市場規模は拡大傾向にあります。Research and Markets社のレポートによると、2030年には119億米ドルになると予想されております。
消費者のニーズが多様化している世の中で、営業マンの知識やスキルを上げていくことは、競争社会で残っていくために必要なことです。
顧客ニーズに合ったアプローチをするため
近年、顧客のニーズは多様化しております。インターネットなどが急速に普及したことにより、顧客の行動の多様化もしております。そこで、顧客によってアプローチ方法、営業手法を変えていかなくてはなりません。そういった背景から、セールスイネーブルメントの強化は必要でしょう。
営業の属人性をなくすため
営業知識の属人性をなくすためです。営業活動で得たナレッジを社内にうまく共有できず、ナレッジが属人化してしまうことはよくあることです。これは、その営業担当が急病で倒れてしまったときや、引継ぎの際にも大変なリスクです。日頃からナレッジの共有をしておくことはいろいろな観点から必要といえるでしょう。
セールスイネーブルメントを成功させる方法とポイント
セールスイネーブルメントはやみくもに実施しても効果は望めません。目的を理解し、具体的にどういった手順で取り組むのか把握する必要があります。
ここではセールスイネーブルメントを実施する上で重要になるポイントを4つ解説します。セールスイネーブルメントをどう進めていくか具体的なイメージをつかむのにも役立つ内容です。
営業活動全体の改善を組織的に取り組む
セールスイネーブルメントでは営業部門を含めた全ての部署の協力が欠かせません。商品開発や人事部門など一見すると営業に無関係に見える部署との連携も重要になります。
営業部門とその他の部門の連携をどうするかは「営業によって達成する目標を明確にする」ことで見えてきます。
目標をより詳細に設定することで戦略が定まり具体的な連携の仕方がイメージできます。例えば目標を定めた結果、達成するのに必要な人材が不足していることが判明した場合、人事部に人材の確保を要請します。具体的な人物像が固まっていますから人事部も仕事がやりやすいでしょう。
情報を細かく管理する
顧客のニーズを見つけるためには営業に関連した情報(営業コンテンツ)を集め、分析しやすいように整理しておくことが重要です。顧客情報の管理はもちろんのこと、案件管理・活動履歴の管理・目標達成までの進度管理なども必要になります。
セールスイネーブルメントを開始した当初は、どの情報が営業活動の改善につながるのか分かりません。
頻繁に利用され受注の獲得につながっている情報を見つけ出すには、営業活動に関連があると思われる情報は保存、管理するのが賢明です。管理する場合はBtoBやBtoCなど、可能な限り詳細に情報を分類すると、より効果的な営業指標を見つけられます。
情報を数値し可視化する
管理する情報が決まったら次は情報を数値化します。数値化する理由は定量分析に役立つからです。
どの情報が営業活動の向上に関連性が強いのか判断するのは簡単ではありません。関連性があると思われる情報を数値化し、各営業活動の前後でどう変化したか確認することで情報と営業活動との因果関係を明らかにできます。
例えば「特定の知識・経験・スキルを持った人材を採用し交渉を任せた結果、受注数が増加したため、そのタイプの人材を増やしたが一定数以上は受注の増加に寄与しない。」と分かれば、何か他の要因によって受注数が伸びている可能性があると考察できます。
また、情報を数値化したあとは、パッと見て相関関係を把握できるよう、図やグラフにしておくことをおすすめします。
数値をもとにPDCAサイクルを回して継続的に取り組む
セールスイネーブルメントでは施策の効果を正確に判断できることが重要になります。
施策の有効性が判断できないとPDCAを回すことはできません。情報の数値化はPDCAを機能させるために必要です。情報を数値化できれば各部署から集まってくるデータから、実行した施策が目標の達成に十分なものか判断できるようになります。
数値とKPIを比較して目標値に達していなければ施策の見直しが必要でしょう。
問題点を洗い出し施策を設計し直して再度実行します。このPDCAサイクルを繰り返して行うことで施策は洗練され、最終的には目標を達成できるようになります。
ノウハウを共有する
営業活動は各個人に対して任せることが多いため、プロセスが属人化する傾向があります。しかし、各個人が持っているノウハウが成果につながる内容であった場合、全体に共有できないことで、組織として非常に損をしていることになります。
そのため、各個人が蓄積している営業ノウハウを組織全体で共有でき、そのノウハウを誰もが再現できる体制を整えることが重要といえます。
従業員の行動や能力を定義し評価する
セールスイネーブルメントは人材育成の観点からみても重要であるといえます。先んじてご説明しました営業ノウハウの共有から、さらにその営業プロセスを標準化していくことで、各営業の能力の均質化や人材育成・マネジメントの効率化につながります。
外部に運用のサポートを依頼する
とはいえ、現場は忙しいため、そういった整備に時間を割いている暇はないかもしれません。その場合は外部に運用のサポートを依頼することも一つの方法でしょう。コンサル企業に依頼をし、現状の整理⇒整備までを一緒に実施してくれます。社内の人員だけでは工数が足りない場合はこういった形で社外に助けを求めることもよいでしょう。
ITシステム・ツールを導入する
ITシステム・ツールを導入する方法もあります。コンサル企業に依頼をするよりも比較的安価に実施ができるでしょう。セールスイネーブルメントツールとネットで検索をするといろいろなシステムがあることが確認できます。
ツールではどんなことができるのか、ツールによって差はありますが、顧客に送った資料が閲覧されたか、どのくらいの時間閲覧されたか、測ることができるようなサービスもあり、その結果を分析し、最適なタイミングで最適なコンテンツを顧客へ届けることができます。
各部門ごとに見るセールスイネーブルメントの事例
ここからは、セールスイネーブルメントの事例を各部門ごとにご紹介していきます。
営業教育
現在各企業が実施している、主な人材育成方法といえば、社員同士の自主的な取り組みや、資格取得の割合が高い傾向にあります。ただしそうなるとどうしても社員個人個人に任せっきりになってしまうことが多く、モチベーションの継続や学習時間の確保も各個人に委ねてしまうことになります。
また、新人社員研修を採用担当が、OJT研修を現場の社員が、外部研修をコンサルティングに委託するなど、各部門によって教育方法が分断されるケースも少なくありません。このようにか各個人の裁量や、部門ごとに別れてしまうと習熟度などにもばらつきができ、会社全体の売り上げの向上にはつながりにくくなります。
このような状況に対し、セールスイネーブルメントの「全体計画」や「数値測定」などの考え方を用いることで、根拠のある研修内容を設定することができます。
まずは「全体計画」の側面から確認していきます。「全体計画」を実施するには、営業部の人材として必要なスキルなどを明確にしていきます。そしてその必要なスキルが取得できるような研修内容を設定する必要があります。
そうして設定した研修を実施し、その後の結果を「数値測定」し、実施した研修のうち役に立つもの、立たなかったものを分析していくことが重要となります。行った研修の満足度を数値化し、リストアップ、そして満足度の高かったものは今後も引き続き実施していき、満足度が低かった内容については、要望のあった研修内容と置き換えたりするなどして、研修の価値をあげていくことが重要です。
マーケティング
マーケティング部門にとして、営業の売り上げを支援できることは、質のいいリードをインサイドセールス以降の部隊に提供し続けることです。ここでいう質のいいリードとは、受注につながりやすいリードをさします。
そのため、「流入経路(チャネル)」にセールスイネーブルメントの考え方を照らし合わせると、どのチャネル(例えば、営業代理店、ウェビナー、展示会など)が受注に至りやすいのか分析し、受注になりにくいチャネルを改善し、受注に至りやすいチャネルを強化するという全体設計が必要になってきます。
採用
先にご説明した営業教育におけるセールスイネーブルメントと同じように、採用部門においても、まずは自社の営業として必要な素質や性格などを明確にしていく必要があります。そして、その素質や性格などを測ることができる選考方法で、採用活動を行っていく必要があります。そして、その手法で採用した社員が営業活動で成果をあげているかどうかを追うことで、自社に適している営業部門の人材を作っていくことができます。
セールスイネーブルメントに必須なCRM/SFAとは?
セールスイネーブルメントを実施するのによく利用されているのがCRM(顧客関係管理)やSFA(営業支援)と呼ばれる営業活動をサポートしてくれるソフトウェアです。セールスイネーブルメントでは営業活動の改善と関連性のある情報を見つけ出し、それを目標の達成度合を測る指標として活用します。
CRMやSFAは顧客との交渉履歴や受注金額など、さまざまな営業情報を効率的に記録・管理するのに使われ、その情報はマーケティング施策を考えるうえでの指標として利用されます。セールスイネーブルメントの要ともいうべき指標に関わるため、CRM・SFAは施策の成功を左右する存在といるでしょう。
近年はSFA機能を備えたCRMが誕生するなど、より高機能で使いやすいタイプが利用できます。
営業活動の効率化にはコールセンターシステムもおすすめ
営業活動の効果を高めるために導入が拡がっているセールスイネーブルメントをここまで紹介してきました。
営業活動に強く相関のある指標を見つけるためにCRMやSFAといった営業支援ソフトウェアが欠かせないと説明しましたが、より幅広く営業活動を支援してもらうなら「コールセンターシステム」がおすすめです。それぞれどんな利点があるのか解説しましょう。
CTI/PBX
コールセンターシステムは交換機であるため、提供する機能のうち核となるのは着信振り分け機能です。
顧客からの問い合わせはニーズの宝庫であるため、適切なスタッフが応答するのが望ましいです。着信振り分け機能が豊富なコールセンターシステムなら内線はもちろんリモートワーク中の社員まで振り分け対象にできます。より柔軟で対応力のある電話対応が可能になるでしょう。受付時間外の自動応答(IVR)も顧客の満足度を下げない対策として一定の効果が期待できます。
また、最新式のコールセンターシステムには市販の人気CRMソフトウェアとの連携が可能なものもあります。電話機のディスプレイに顧客情報が表示される機能を備えたものなら、よりスムーズで充実した顧客対応が可能になります。
CRM
CRMは顧客情報を管理するデーターベースとして活用できるコールセンターツールです。
顧客分析には欠かせないツールなため、コールセンターの効率的な運営には欠かせないツールといえるでしょう。またCRMは、PBXとCTI連携を行うことで、電話番号と顧客情報を紐付けて管理することが可能となります。
連携することで利用できる具体的な機能は、着信と同時に顧客情報をPC画面上に自動表示させるポップアップ機能や、通話後の後処理自動化などが挙げれられます。
最近ではCTI連携が容易なクラウド型のサービスが増えており、導入・運用コストを抑えながら、利便性の高い機能を利用することができます。
顧客分析ツール
コールセンターシステムに搭載されているAIを活用することで、より短時間かつ正確に顧客データの分析が可能になります。
営業活動の改善につながる指標を見つけるために、CRMに蓄積されている情報を分析しますが、データ量が膨大になると人の力では対処できなくなります。また、より高い精度で顧客データを分析するには専門知識を持ったコンサルティングが必要になるため、コスト面でも課題があります。
しかし、AIにデータ分析をさせればより高い精度で目的の情報が抽出でき、コスト面での問題も解消できるでしょう。時間とコストのかかるデータ分析をAIに任せることで、より業績の向上に関係した業務に人員を割くことが可能になります。
営業活動をより効率的に!ツール導入ならコラボス
セールスイネーブルメントを実施するためにコールセンターシステムを導入するなら、ぜひコラボスの「@nyplace」をお試しください。コールセンターの運営に欠かせない機能をオールインワンで搭載しています。
また、クラウド型であるため導入にかかる時間も従来の半分以下で済みます。セールスイネーブルメントは効果が出るまでに時間がかかるため、実施時期は早い方が望ましいといえます。@nyplaceを使えば最短で申し込みから1ヶ月~2ヶ月でシステムの構築が完了します。
コールセンターで、セールスイネーブルメントを実行しようとお考えの方は、ぜひコラボスまでお問い合わせください。
まとめ
本記事ではセールスイネーブルメントに関する概要から、企業でどのように活かしていけるか、など様々な観点からご説明してきました。セールスイネーブルメントツールを用いることで、営業部門等、各組織の体制強化改善の実施し、営業力の最適化を測ることができるでしょう。自社の営業力の向上を目指し、セールスイネーブルメントツールの導入も含め、検討を始めてみませんか?
この記事の執筆者
コラボスブログ編集部
株式会社コラボスは、2001年に設立。現在、東京・大阪にオフィスを構えており、
960拠点以上のお客様へクラウドサービスを使ったCTIシステムを提供。
本ブログ記事サイトでは、様々なニーズを抱えたお客様のお役に立てるような情報を日々発信。
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