2022/06/1
マネジメント
離職率ワースト3位⁈コールセンターの離職率を下げる改善策とは
少子高齢化が進み、今やどの業界でも人手不足が叫ばれています。中でもサービス業、とりわけコールセンターは全業種の中でも最も離職率が高いといわれています。
今回はコールセンターの離職率の高さの主な要因やオペレーターの離職が招くデメリットを具体的に解説します。併せて離職率を下げる効果的な改善策をご紹介します。
目次
離職率30%以上と回答したコールセンターは全体の28%
厚生労働省の「令和3年上半期雇用労働調査結果」によると、全業種の中で最も離職率の高い業種は「宿泊業・飲食サービス業」で15.6%、次いで「教育・学習支援業12.4%」、コールセンターが含まれている「サービス業(その他分類されないもの)」が9.7%と3番目に多い業種であることが分かりました。
株式会社リックテレコムが刊行している「コールセンター白書2020年」内のコールセンター向けのアンケートで「離職率30%以上」と回答したセンターが全体の28%に上ることが判明しました。
この結果は、約3割のコールセンターで3人に1人の離職者が出ていることを表しています。この数字からでもコールセンターの離職率がいかに高い数字であるかがうかがえます。
離職の主な理由は3つ
これほどまでの多くの離職者を生み出す理由に、コールセンター特有の労働環境が大きく関係しています。既存のコールセンターの多くは閉鎖された空間で、顧客からのさまざまな問い合わせにオペレーターは日々対応しなければなりません。
常に強いストレスにさらされる環境が原因で、職場を離れるオペレーターが後を絶たないのではないかといわれています。
具体的にオペレーターのストレスとされる要因について詳しく解説します。
職場の環境
コールセンターの規模にもよりますが、一般的に1つの空間で多くのオペレーターが絶えず掛かってくる電話の対応に追われています。
隣接するデスクのコール音や他のオペレーターの会話が聞こえてくる中、自分の仕事に集中しなければなりません。常に高い集中力を求められる環境は強いストレスを感じる原因になります。
他にもコールセンターで問題になるのが「労働時間の長さ」と「労働に見合った給与が支払われない」などが挙げられます。
・労働時間の長さ
ビジネスマナーや応対知識に加えて、センターが扱う業務についての専門知識など膨大な量のトークスクリプトや知識を覚えなければなりません。こうした知識の習得を電話対応や入力業務と並行して行わなければならないため、長時間労働になりがちです。
また、顧客満足度の向上のため、深夜や休日の対応を求められることもあるでしょう。
こうした労働環境では精神的にも肉体的にも大きな負荷が掛かります。
体を壊し職場を離れざるを得ないスタッフが出てくるのはこのためです。
・給与面での不満
コールセンターの平均時給はアルバイトで992円、派遣社員で1,331円です。正社員の年収は369万円が相場になっています。
一般事務の時給や年収がアルバイトで985円、正社員の年収302万円と比較してやや高い程度といえるでしょう。
精神的・肉体的に負担の大きいコールセンターですが、その労働に見合った給与が支払われていないと不満を持つオペレーターは少なくありません。
- 出典:求人BOX 給与ナビ コールセンターの年収・時給・給料(求人統計データ)2022年4月23日更新
- 出典:求人BOX 給与ナビ 一般事務の年収・時給・給与(求人統計データ)2022年4月23 更新
モチベーション
オペレーターをはじめSVなどの現場で働くスタッフのモチベーションが下がる大きな原因が「クレーム対応」です。
感情的な顧客に対しても、常に冷静に対応しなければならない・暴言や心無い言葉を頻繁に掛けられるなど、通常の業務以上に精神的負担の大きな業務に耐え切れなくなり退職に至るケースは少なくありません。
クレーム以外にも「給与面の不満」もモチベーションを下げる原因になります。心理的に負担の大きいコールセンターには、未経験のアルバイトオペレーターが多く存在します。中にはSVなどの役職者以外、全員アルバイトであることも珍しくありません。
ですが、職域の違いによって給与体制が異なると、実際の仕事内容と報酬が見合わないと感じモチベーションが下がることになるのです。
コミュニケーション
労働環境やモチベーションのほかに上司やスタッフ同士のコミュケーションのとりにくさも離職の原因といえるでしょう教育体制の整備の遅れです。
人手不足のセンターでは、十分な教育体制を整えることは難しく、スキル面で自信がない状態で業務につかなければならないことになります。こうした不安を抱えたまま業務にあたることは強いストレスにつながります。
ですが、現場のオペレーターやSVも業務に追われているため、なかなか相談しづらい・どの人に聞いていいのかわからない状態に陥りやすくなります。
仮に相談できたとしても先輩オペレーター自身の経験やそれぞれのSVの独自の指導方針によるアドバイスが異なった内容だったり、基礎研修と異なる内容を言われたりすると混乱する原因につながります。
こうしたコミュニケーション不足や齟齬による不信感から退職を申し出るオペレーターも少なくないでしょう。
離職率の高さが招くデメリット
離職率の高いコールセンターでは、1人当たりの業務量が増えさまざまな面で業務効率の低下や品質の低下を招くことになります。
具体的な離職率の高さが招くデメリットについて詳しくご紹介します。
生産性が低下する
オペレーターの離職が招くデメリットとして挙げられるのが「生産性の低下」です。単純に在籍数が減少するため、対応可能件数が本来の件数よりも下回ることになるでしょう。
新たにオペレーターを採用したとしても、前任者が担当していた件数をこなせるようになるまでに教育が必要になります。その間の指導に掛かる時間を考えると大幅な生産性の低下は避けては通れないでしょう。
品質維持が難しくなる
離職者が増えることはセンター全体の品質の低下を意味しています。新人オペレーターが業務を担当した場合、経験不足から対応ミスを起こす可能性は十分考えられます。
間違った案内や失礼な話し方など、ベテランのオペレーターでは起こりえないミスによってクレームが発生することもあるでしょう。
こうしたミスによるクレーム対応はもちろん、応対可能な件数の少なさをカバーするなど、他のオペレーターやSVの業務量が増加することになります。オペレーターの欠員は従来のセンターの品質維持に大きな影響を与えることにつながります。
顧客満足度が低下する
生産性や品質の低下は顧客満足度にも大きく影響します。生産性の低下による呼損やあふれ呼は電話を掛ける顧客側のストレスになります。
「電話がつながらない」「オペレーターが出るまで長い間待たされた」などクレームが寄せられる可能性もあるでしょう。
たとえクレームにつながらなくても、以前に比べてセンターの信頼度が低下するのは間違いありません。1度低下した信頼度を回復させるために相応の時間が掛かることは視野に入れておくべきでしょう。
採用と新人教育にコストが掛かる
離職者が発生した場合、新たな人材を確保しなければなりません。その際、求人チラシ・サイトに広告を掲載する広告掲載費用、応募者の電話対応や面接などの人件費を合わせた採用コストが必要になります。大手人材紹介会社の調査によるとアルバイト1人当たりの採用単価は平均6.2万円。
採用難易度の高い業種は平均よりもこれよりも高単価になることが分かりました。アルバイトの採用難易度は年々上昇しており、今後ますます採用単価は上昇するといわれています。
また、採用に掛かる人件費は、応募者からの問い合わせや面接対応以外にも採用後の教育も含まれます。新人オペレーターがデビューするまでの教育やサポート期間でも時給は発生するため、離職者の発生に伴うコスト負担は大きいといえるでしょう。
離職率を下げる3つの改善策
コールセンターに限らず、正規・非正規雇用労働者の労働条件の格差は今や大きな社会問題としてたびたび話題に取り上げられています。
現在、業種・規模に関わらず多くの企業がこの問題の改善に取り組んでいます。厚生労働省も「同一労働同一賃金ガイドライン」で格差をなくすためのさまざまな指針を定めています。
具体的な改善策として次の3つの側面に応じたサポート方法をご紹介します。
- 1.勤務環境面
- 2.研修・教育面
- 3.メンタル面
勤務環境面でのサポート
勤務環境面でのサポートには「給与の見直し」「労働時間の見直し」の2点が効果的です。
・給与の見直し
常に精神的・肉体的負荷のかかるコールセンターと他の部署との給与が変わらないのであれば、それだけスタッフの不満も高くなります。
また、正社員と非正規社員との給与に格差があることも離職の大きな原因にもつながります。離職率を下げるためには、業務内容やオペレーターの能力に見合う給与体制を整えることが必要といえるでしょう。
・労働時間の見直し
「長時間労働の改善」もコールセンターの大きな課題です。電話対応や対応内容の記録など1件当たりの処理にも時間が掛かります。1日に数百件と寄せられる問い合わせに対応するには、それだけ多くの時間を要することになるでしょう。
こうした長時間労働を改善するためにクラウドコールセンターなどのシステムを活用し、業務負担を軽減させることも有効な改善策といえます。
研修・教育面でのサポート
「研修・教育の遅れ」は離職の理由になるだけでなく、センター全体の品質にも大きな盈影響を及ぼします。しっかりとした研修制度を導入することで、新人オペレーターの不安が解消できるだけでなく、応対品質自体も向上します。
また、ルールやマニュアルの整備を進めことで、どんな時にどう対処すればよいかが明確になるので、クレームや業務の無駄を防ぐことに役立ちます。結果、顧客満足度の向上・業務の効率化につながるでしょう。
メンタル面でのサポート
精神的ストレスの多いコールセンターではメンタル面のサポートも欠かせません。具体的な方法として、定期的な面談の実施・業務中の声掛けなどが効果的です。
オペレーターと1対1形式の面談では、1人ひとりが抱える日々の業務の悩みや現状のスキルなどを明確にできます。不安や悩みを吐き出すことオペレーターのストレスを軽くするだけでなく、業務に必要な教育や指導の丁寧に行えます。
さらにオペレーターの目的意識を深めるきっかけにもなるので、スキルアップやキャリアップなどのモチベーションの向上にも役立ちます。
クラウドコールセンターの活用で業務負担を軽減
コールセンターの離職率を下げる3つの改善策のほかにシステムを活用した改善策も存在します。中でもクラウドコールセンターと呼ばれるクラウド上のサービスを利用し、業務の自動化を実現できるサービスが多くのコールセンターで導入されています。
実際にクラウドコールセンターの機能について詳しく解説します。
作業工数の削減
クラウドコールセンターの最大の特徴は、業務の自動化による作業工数の削減です。
クラウドコールセンターの主な機能にACD・IVR・CTIといったものがあり、これらの機能を活用することで業務の自動化が行えます。
・ADC
着信振り分け機能のことを指します。センター内の稼働状況に応じて、瞬時に手の空いているオペレーターを見分け着信を振り分けます。これにより、業務の偏りをなくしオペレーターの負担を軽減します。
・IVR
IVRと呼ばれる自動音声システムが、問い合わせ内容に応じて適切な操作方法や窓口の案内を行います。これにより、よくある質問や簡単な手続きなどの自動化が可能になります。より詳しい案内や専門的な問い合わせは専任オペレーターに転送されるので、オペレーターは自身の受け持つ分野の回答などに集中できます。
・CTI
PBXと呼ばれる音声通話をコントロールする機能とデータ管理機能であるCRMを連携させる役割を持っています。顧客からの問い合わせに対し、過去のデータを基に適切な案内が行えます。
また、顧客とのやり取りを記録する通話記録機能の中には、内容をテキスト化するものもあります。応対記録の入力作業など時間のかかる作業もクラウドコールセンターを活用することで自動化が可能になります。
品質の向上
クラウドコールセンターの導入はセンター全体の品質の向上にもつながります。ADCにより、常に一定の稼働状況を維持できるからです。季節や時間帯によって電話が集中する宿泊業や通販業界で課題とされている呼損やあふれ呼がADCを利用することで防ぐことができます。
さらにシステムを活用することでCPHの増加やAHTの短縮などパフォーマンスの向上も期待できるでしょう。
また、あらかじめトークスクリプトを組み込んだIVRを活用することで、オペレーターのスキルに左右されない一定の品質を維持できます。
さらにシステムを導入することで24時間・365日いつでも顧客からの電話に対応できます。AIを活用したチャットボックス機能なら、電話苦手な顧客でもテキストでの問い合わせが可能なため、顧客満足度の向上にもつながるでしょう。
顧客情報の活用・共有
業務の効率化や品質向上のほかにもクラウドコールセンターのCRM機能を活用することで、顧客情報の一元管理・共有が可能になります。営業・製品開発などの他部署や在宅オペレーターと情報共有が容易に行えるため、業務効率の向上、商品・サービスの向上などさまざまな場面において柔軟な対応が行えるようになります。
まとめ
コールセンターの離職者の多さは業界全体の大きな課題です。この課題の背景には特殊な環境による精神的・肉体的ストレスが関係しています。これらの問題を改善するためには、さまざまな解決方法がありますが、制度の見直しやセンター全体の改善が必要になるため、なかなか進んでいないのが現状です。
そこで効果的なのが、クラウドコールセンターの導入による業務の自動化です。自動音声システムによる1次対応やデータ管理機能を使うことで作業工数の大幅な削減が可能になります。
コラボスのクラウドCTI【COLLABOS PHONE】はコールセンターに欠かせない機能が搭載されたクラウド型CTIシステムサービスです。
録音・IVR機能に加え、データ管理・通話モニタリングなど運営に必要な機能も充実しています。
オンプレミス型と比較して、低コストでありながらサポートも万全なので安心して導入いただけます。離職率の改善策をお探しの際は、ぜひCOLLABOS PHONEの導入も併せてご検討ください。
この記事の執筆者
コラボスブログ編集部
株式会社コラボスは、2001年に設立。現在、東京・大阪にオフィスを構えており、
960拠点以上のお客様へクラウドサービスを使ったCTIシステムを提供。
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