2022/07/7
マネジメント
コールセンターの品質向上に欠かせない研修方法と実施ポイントを解説
コールセンターの顧客満足度はオペレータースキルで左右されます。そのため、研修内容のボリューム感を増やし、レベルの高いオペレーター育成する必要があります。
ですが、実際に研修を担当するマネージャーやトレーニング担当の方の中には、どのような研修を取り入れ、どのポイントに気をつけたらいいのかなど、研修メニューについて悩みを抱えている方も多いでしょう。
また、顧客からの問い合わせが多く現状の業務がひっ迫しすぎてそこまで時間を費やすことができないなど、コールセンター自体の業務量が多いため、研修を行うことが難しいセンターもあるのではないのでしょうか。
そこで今回は業務効率化を視野にいれながら研修する方法や、品質向上に欠かせない研修を行うために必要な業務効率を高める方法などをご紹介します。
目次
コールセンターのオペレーターに必要なスキル
コールセンターのオペレーターに求められるスキルは大きく2つあります。
1つめは品質向上に欠かせない電話応対スキルです。企業のイメージにも直結する部分のため非常に重要度の高いスキルとなります。
2つめは作業スピードに直結するPCスキルです。作業スピードを速めることで応答率や顧客満足度の向上にもつながるため、こちらも重要なスキルといえるでしょう。
オペレーターに求められるそれぞれのスキルについて詳しく解説していきます。
電話応対スキル
オペレーターの電話応対スキルで品質は左右されます。電話応対スキルで必要とされることは『親切・丁寧・正確・迅速』の4つを意識した顧客の心情理解に努める応対のことです。主に正しい敬語や言葉づかい、声のトーンやボリュームをはじめ、トークの速度、リアクション、抑揚といった具体的なスキルを身につけるところから始まります。
特に未経験のオペレーターなどの電話応対スキルが乏しい場合は、顧客からのクレームが多発してしまい、その対応に追われ業務効率が悪化する原因につながります。電話応対は企業のイメージに直結するため、オペレーター全員が同じ品質の応対ができるような指標・仕組み作りが大切になってきます。
顧客満足度を向上させるために、顧客からの質問に迅速に回答できるような質問集(Q&A)を常にアップロードし、研修中に質の高い問題集を各オペレーターに提供していくと良いでしょう。
また、オペレーターの対応音声のモニタリングを実施し品質に問題がないかを把握しながら現場管理することで全員が意識高く円滑に業務を進めていくことができます。
PCスキル
PCスキルとは電話応対と並行しながら行う業務になります。具体的には顧客との応対内容の入力や注文情報をデータベースに入力することを指します。コールセンターではデータベースに情報を入力する回数が多いことから、入力スピードを高めることは業務の効率化を図るためとても重要なスキルといえるでしょう。
コールセンター業務では、難しいPCスキルを要求されることはありませんが、キーボード入力がスムーズに行えるくらいのスキルは必要になります。
応対内容や注文情報の入力が早ければ、次の対応までのロスタイムが軽減され応答率の向上につながります。そのため、正確な入力速度やブラインドタッチのスキルなど、研修では業務の効率化に必要な一定の指標を設定することで、オペレーターが目標意識を持つことができるでしょう。
研修内容
コールセンターは、待遇の良さから未経験者に大変人気が高い職種といわれています。その反面、電話応対スキルの乏しさが顕著にあらわれるため、品質を維持するためにも研修内容はとても大切になります。
一般的にコールセンターでは、未経験からスタートするスタッフも多く、1人で電話対応をすることに不安を持つオペレーターも少なくありません。新規採用したオペレーターの不安を解消することや基本的な業務の習得を目的とした基礎研修を行います。
主に行われる研修は基礎研修・システム研修・電話応対研修・商品研修と大きく4つの研修項目に分けられています。
それぞれの研修内容について解説していきます。
基礎研修
コールセンター業務や自社の業務内容やブランドイメージなど基本的な知識を習得することを目的に行うのが基礎研修です。
基礎研修の具体的な研修内容は、主に企業理念・情報管理・危機管理の3点で構成されているのが一般的です。
- 企業理念
- 情報管理
- 危機管理
企業理念
根幹となる考え方や大切にしている価値観や企業としての在り方、存在意義や目的を指します。さらには社員の行動規範となる文言を研修していき、目線や意識をそろえることで企業のブランドイメージを形成します。
情報管理
コールセンターでは顧客の個人情報を扱うことが多いため、漏洩・紛失しないためのセキュリティに対する意識やリテラシーを高めてインシデントを防ぐための研修を行います。
危機管理
個人情報保護法に基づき、漏洩・紛失により個人もしくは会社、またはその双方に起こりうるリスクに対して失敗事例などを参考に危機管理のあり方を研修していきます。
基礎研修を実施することで社員が同じ目線で取り組むことができ、多くの顧客情報を取り扱う上でも安全に業務を遂行できます。また、一度きりの研修では無く定期的に基礎研修をすることで、風化させずに意識を高めていきリスクヘッジにもつながります。
ちなみに、昨今ではコロナ感染対策について政府からの要綱や企業独自の取り組みを研修にいれこみ、感染防止に努めている企業もあります。
システム研修
システム研修とは、顧客情報を管理しているデータベースの閲覧や入力方法、顧客からの着信や顧客への発信に使用するコールシステムの操作方法を指します。
研修の中でも専門性が高い内容になっており、一つの操作ミスで商品の誤発注や個人情報の漏洩につながる可能性があるためシステムの研修には多くの時間を費やします。
昨今ではCTIのようにPCと電話を連携させるシステムが開発され、操作工数が減ったことで操作ミスが減り、システム研修に費やす時間を大幅に削減できている事例もあります。
電話応対研修
コールセンターにおける電話応対研修とは、正しい敬語や言葉づかい、声のトーンやボリュームに加え、トークの速度、リアクション、抑揚などを習得する研修のことをいいます。
特に正しい敬語の中には、普段使用しないような言葉があるため慣れるのには時間がかかりますが、一度習得し何度も使い続けることで自然に使いこなせるようになります。
また、コールセンターは電話システムを通して顧客と対話するため声のトーン・ボリュームトーク速度・リアクションが重要になってきます。
ここで不愛想な対応になってしまうと顧客からのクレームにつながる可能性があります。そのため、CTIで可能となるモニタリングを行いながらリアルタイムに遠隔アドバイスすることで、改善速度が高まり業務の効率化につながります。
商品・サービス研修
商品・サービス研修では取り扱う商品の金額や機能、メリット、デメリットについて学びます。取り扱う商品の競合商品についても同時に学ぶことで、顧客へ的確な提案が行えるようになり生産性の向上につながっていきます。
商品知識の研修にはかなりの時間を必要としますが、インバウンド業務ではいつ顧客からの着信があるかわからないため十分な研修をする時間が確保できないといった課題も出てくるでしょう。
その解決策としてCTIでのIVR機能(音声自動応答)があります。最も業務量の多い1次対応をIVRが担うことで十分な研修時間を確保することが可能になります。
コールセンターでの研修方法は3つ
働く環境面で融通が利きやすいコールセンターは未経験者からの人気が高い職種です。
その一方でプロのオペレーターとして顧客と対応するため、迅速・丁寧なことはもちろん、わかりやすく正確な対応が求められます。『言葉づかい』『対応品質』『電話応対の基礎』についての研修が主になりますが、商品知識や個人情報の取り扱いセキュリティについても学ぶ必要があるでしょう。
業務内容によって研修期間は異なりますが、オペレーター研修はおよそ3日から1か月程度で実施されます。この期間にどのような方法で研修を行うのかを解説していきます。
座学
座学研修では、担当する業務で取り扱われる商品の概要説明やその際に注意すべき点を中心に、応対品質の向上に欠かせない正しい敬語や言葉づかいを習得します。すべての顧客にご満足いただけるよう、正しい言葉の違いや間違えやすい敬語について学びを広げスムーズに業務に取り組めるようにします。
また、コールセンターでは顧客の個人情報に扱うため、通信機器(携帯電話・スマートウォッチ)やメモ類の持ち込み・持ち出し禁止など、個人情報に関する情報管理を学び、それぞれが正しい理解を深めていく必要があります。
ロールプレイング
ロールプレイング(通称:ロープレ)とは、リアルな現場を想定した最も重要視される研修になります。ポイントを押さえることで応対内容の理解から技術的な部分のレベルアップにつながり、安心して業務に入ることが出来ます。
ロールプレイングでは顧客と会話する際に使う台本(トークスクリプト)を使用します。
初めのステップではトークスクリプトを何度も読み進めることで読む量を増やすことを西遊的なゴールに設定します。トーク内容のインプット具合でその後の業務効率に影響するため、トークスクリプトすべてをスムーズに読めるまでしっかりと時間を掛けるようにしましょう。
トークスクリプトを問題なく読めるようになると次のステップであるグールプ別のロールプレイングに移行します。顧客役・オペレーター役に分かれ対面や電話端末を使うことでよりリアルに近いコミュニケーションの練習を行います。
それぞれの役になりきることで顧客視点でのオペレーションの修正点を指摘できるので、コールセンター全体の応対スキルの向上につながります。
指摘のポイントとしては良い点1つ、修正点3つを目安にするとよいでしょう。
OJT
OJTとは「On the Job Training(オンザジョブトレーニング)」の略称で、コールセンターではベテランリーダーや管理者が新人オペレーターに指導役として付き、業務に必要な知識やスキルを実践しながら研修していくスタイルが一般的です。
OJTではコーチングとティーチングの使い分けが重要といわれています。業務知識、PCの操作手順などオペレーターが未知の情報はティーチングを用いるのが一般的です。
ですが、すべてにおいてティーチングしてしまうと、オペレーターの自主性が育ちにくいといったデメリットが生じる可能性もあります。
状況に応じて、自身で考える力を育てるコーチングと呼ばれる手法を取り入れるようにしましょう。
例えば、目標達成のためのアクションプランなどオペレーター自身で目標を設定し、達成するための計画やスキルアップの方法を考えさせることは、まさにコーチングの手法を使った指導といえるでしょう。
このようにOJTを継続的に実施することで、人材が効率的に成長し、人が人を育てる風習がセンター内に定着していく効果もあります。
研修を行うメリット
研修を行うメリットとして、新入社員のスキルアップや学び、全員が同じ品質を維持し続けるために必要不可欠な内容となります。未経験者と経験者の認識の違いも研修を通じてすり合わせできるので社員の一体感やお互いの理解を深めることができます。
そして研修内容の質を上げることでオペレーターの安心感を持つきっかけになるほか、離職率防止にもつながり業務への支障が軽減されます。
また、企業理念を知ることで会社への理解や会社に属している意識を深めることができ、センターで働くスタッフ全員の目線をそろえることで企業としての価値も高まってきます。
研修は業務の効率化はもちろん、企業や社員一人ひとりの価値を高めるメリットがりあります。
モチベーションの維持
コールセンターの業務を長く続けるためには、モチベーションの維持が非常に大切になります。
モチベーションを維持する方法の1つとして、コールセンターではインセンティブ制度を用いることがあります。インセンティブ制度は一時的なモチベーション維持には役立ちますが、長期的にモチベーションを保つにはあまり向いていません。
本質的にモチベーションを維持し続けるためには、オペレーターの継続的な学びや得たスキルがセンター運営の貢献に役立っていることを実感することが重要になってきます。
そのため、上司からの適切な評価を言語化してその時に伝える事や研修の内容をアップデートし、常に学べる環境づくりがコールセンターでは特に重要視されます。
品質向上
電話応対がメインとなるコールセンターでは品質が重要視されます。品質が低下すれば顧客からクレームが増え、その対応に時間を費やすことになります。その結果、十分に研修ができず、自身の応対スキルに自身のないオペレーターや業務負担に耐え切れなくなった社員などの離職率が高まります。
さらに、顧客離れによる業績悪化や収益低下にもつながる可能性も考えられます。
品質の維持・向上に注力することはこれらのリスクの回避につながるため、センターの円滑な運営に欠かせないといえるでしょう。品質向上の方法としては、話し方の研修、ロールプレイング、モニタリングによる採点などを継続的に研修する必要があります。
特に、モニタリングによる採点で数値化することで現状を理解し品質への意識が高まります。
顧客満足度の向上
コールセンターにおける顧客満足度の向上に応対品質や応答率、成約率、商品購入後のアフターフォローコールが挙げられます。
顧客満足度が向上することでリピーターの増加や業務継続により、優良企業のブランドイメージが世間に浸透し新規顧客獲得につながります。
業務の効率化で適切な研修を可能にするCTIシステム
CTIシステムを活用することで従来の業務効率より効率化が見込まれ、適切な研修が可能となります。
CTIの機能の1つに遠隔アドバイス機能があります。この機能は、対応オペレーターをモニタリングしている中で顧客には聞こえず直接指示やアドバイスが出来る機能になります。
この機能を利用することで、現場のリーダーや管理者が新入社員の応対をリアルモニタリングしながら、顧客と応対しているその場でアドバイスすることができるため、電話応対スキルの向上につながります。
また、CTIシステムを導入することにより、PC一つで入力から応対までできるため、従来のPCスキル研修やシステム研修のボリュームを縮小させることが可能となり効率化につながります。
さらに、操作工数が削減されるためオペレーターによるヒューマンエラー改善も見込まれます。イレギュラー発生時に複雑な操作や操作工数が多いとなれば、焦りが生じ、冷静な対応が難しくなりミスの連鎖が発生します。イレギュラーが発生すると現場のリーダーや管理者が対応に入ることになり、研修に穴があいてしまいます。その結果、離職率が高まるほか、業務の悪化などの負の連鎖が発生しやすくなります。
そのため、日ごろから業務の効率化を意識し、適切な研修ができるような環境の整備は必要不可欠となります。
まとめ
コールセンターでの業務の多さは、日々の対応不満などによるイレギュラーの対応数や顧客の対応時間によって変動していきます。
そのため、品質を高めるための研修の質を上げていきながらも実施ポイントをおさえた効率が大切になってきます。また、研修の質に対する意識を強くするためにも日々の業務の効率化はとても重要視されてきます。
これらを解決するためにはさまざまな方法がありますが、大規模な改善になるためスムーズに進んでいないのが現状となります。
そこで注目されているのがCTIによる業務の自動化です。IVR(音声自動応答)やACD(着信振り分け)での対応工数の軽減やデータ管理機能を使うことで効率的な作業が可能となります。コラボスのクラウドCTI【COLLABOS PHONE】は、コールセンターの業務を効率化させる機能が複数搭載されているため、課題となっている業務の効率化が可能となり、研修に対する稼働の確保が見込まれ品質の向上や研修の質向上につながってきます。
この記事の執筆者
コラボスブログ編集部
株式会社コラボスは、2001年に設立。現在、東京・大阪にオフィスを構えており、
960拠点以上のお客様へクラウドサービスを使ったCTIシステムを提供。
本ブログ記事サイトでは、様々なニーズを抱えたお客様のお役に立てるような情報を日々発信。
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