迫りくる2025年の崖 コールセンターもDXが必要な理由を徹底解説

コールセンター DX

少子高齢化による労働人口の減少や働き方改革による勤務形態の多様化など、さまざまな企業で既存の業務形態の見直しが進んでいます。深刻な人手不足が問題になっているコールセンターでも、労働環境の改善など早急なシステム刷新が必要です。

そこで有効な対策として、業務の見える化・自動化を実現するDXが注目されています。今回は、日本経済全体でも推進が急がれているDXの概念やコールセンターにもたらすメリット、DXを成功させるポイントなどを詳しく解説します。

2025年の崖とは

経済産業省は、2018年9月に発表した「DXレポート」で既存のITシステムに依存し続ける企業は2025年以降、成長や他社との競争に打ち勝つことが困難になると警鐘を鳴らしています。いわゆる「2025年の崖」と呼ばれるもので、既存システムの刷新ができない場合、最大12兆円/年の経済損失が生じる可能性があると警鐘を鳴らしています。

原因として挙げられるのが、ITシステムの技術面の老朽化や複雑化、ブラックボックス化による諸問題が大きく影響しているといわれており、企業のシステム刷新が急務といわれています。

2025年の崖の克服に欠かせないDX(デジタルトランスフォーメーション)

この諸問題を解決する方法として、スピーディーなDX(デジタルトランスフォーメーション)の実現が必要といわれています。

DXとは、スウェーデン・ウメオ大学の教授エリック・ストルターマンが提唱した「ITを生活に浸透させることによって生活は豊かに、あらゆる方向でより良く変化させることができる」という概念です。

新型コロナウィルスの登場により人々の生活スタイルが一変した現在、社会全体がDX推進に取り組んでいます。DXはあらゆるデジタル分野で実現が可能な概念で、生活に欠かせない仕組みやビジネスモデルを根本から変革させることが可能です。

コールセンターのDX化がもたらすメリット

コールセンター業務において離職率の高さや人口減少にともなう人材不足は深刻な問題です。この問題の背景にあるのが、コールセンター特有の厳しい労働環境です。顧客からの問い合わせ対応に加え、クレーム対応に追われるなどオペレーターの業務量は相当数になります。常に強いストレス環境のコールセンターでは、人材がなかなか定着しないという悩みを抱え続けることになるのです。

この悩みを解決する方法として、業務の自動化や見える化が挙げられます。自動音声システムやAIを活用したチャットボットなど、業務の一部を自動化することで人が担う業務量を軽減。企業の成長の助けになるのはもちろんのこと、顧客の利便性の向上にもつながるため双方にとって大きなメリットが。代表的なメリットにサービス品質の向上や業務効率の向上などがありますが、具体的なメリットとして以下の3つが挙げられます。

顧客満足度が向上する

問い合わせ対応をデジタル化することで、顧客満足度の向上につながります。

従来、有人で対応していたものを自動化することで、接続数の増加が見込めます。また、IVRやACCの活用で簡易的な対応が可能に。これにより、「電話がつながらない」「オペレーターにつながるまでの待ち時間が長い」といったクレームを防止することができます。

さらに、対応内容をデジタル化することで多種多様な問い合わせをよくある質問などカテゴリー別に集約・管理することが可能になります。こうしたデータをもとに複数のチャンネルを作成することができます。具体的には「新規申し込み」「解約」「サービスプランの変更」など顧客が必要な手続き別にチャンネルを作成し、音声ガイダンスに沿って操作するだけで電話やチャットで、さまざまな手続きを簡単に行うことができます。AI技術が進んだ現在、スマートフォン1つで問い合わせや手続きが完了するサービスを求める顧客は多く、顧客満足度の向上にはなくてはならないツールといってもよいでしょう。

大幅なコストカットが実現できる

問い合わせ対応の一部や対応記録や顧客データの入力作業などをデジタル化することで、業務の効率化が図れます。デジタル化することで稼働状況や在籍状況をはじめとする管理も適切に行える他、各窓口の稼働状況に合わせた最適な人員配置が実現します。

また、顧客対応や事務作業に掛かる時間を短縮することで、オペレーターに掛かる負担を軽減。業務に対するストレスも低くなるため、従業員満足度も向上するでしょう。熟練のオペレーターの確保はもちろん、空いた時間をスタッフ教育にあてることで、オペレーターの品質向上も期待できます。結果、不要な人件費に掛かるコストを大幅に削減することが可能になります。

在宅勤務など自由な働き方が選択できる

新型コロナウィルスの登場により、企業の働き方を根本から見直す動きが活発になっています。従来の出社型の働き方ではなく、自宅や遠隔地でも勤務ができるテレワークを導入する企業が増えています。

一般社団法人日本コールセンター協会が行った「2021年度コールセンター企業実態調査」では全体の53%が在宅テレコミュニケーターを導入済、もしくは予定と回答しています。導入の主な理由として、BCP対策と答えた企業が全体の38%と第2位。最も多い理由が「働き方の多様化のため」でした。

コールセンターの特性上、セキュリティ面からセンターでの勤務が必要といわれていましたが、強固なセキュリティが施されたシステムの利用や専用回線の活用などDX化による柔軟な対応が可能に。その結果、在宅勤務をはじめとするテレワーク導入の加速につながったと考えられます。

自宅や遠隔地で業務が可能になったことで、子育てや介護などで出社が困難なオペレーターも業務を続けることができるので、優秀なオペレーターの流出を防ぐことが可能になります。これにより、新たな人材確保に掛かるコストの削減もちろん、センター全体の品質向上にも大いに役立つでしょう。

出典:一般社団法人日本コールセンター協会が行った「2021年度コールセンター企業実態調査」

コールセンターのDXの注意点

コールセンターのDXには、顧客の個人情報など機密情報を扱う性質上、通常のシステムよりも高度なセキュリティ対策が必要です。また、実際に操作を行う顧客にとって複雑な操作が必要になるシステムでは利便性が悪く、顧客満足度の低下を招く恐れも考えられます。こうしたことを踏まえながら、DXに必要な注意点を詳しく解説していきます。

安全性

高度なセキュリティを保つには、社内の専用回線の仕様やオンプレミス型と呼ばれる自社独自に開発されたシステムを利用することが望ましいでしょう。ですが、専用回線や独自開発されたシステムの保守管理には専門の知識が必要になります。万が一、不具合や情報流出が起きた場合、社内で対応することが難しく復旧に相当な時間が掛かってしまいます。

経済産業省のレポートでも既存システムの問題点として、「システムが複雑となり、企業全体で情報管理・データ管理が困難になっている」や「業務に合わせたスクラッチ開発多用によるブラックボックス化」を挙げています。DXの導入の際、システム自体が十分なセキュリティ対策が施されているか・万が一に備えて柔軟な対応が可能かを検証する必要があります。

また、一般的になっているクラウド型のシステムの場合、以下の不正アクセスを防ぐ機能が充実しているかを基準にすると良いでしょう。

ディスク暗号化

通話録音・発着信の履歴などのストレージデータを暗号化する機能

パスワードポリシー

パスワードの有効期限の発行や過去に使用されたパスワードの再利用を拒否するなど、パスワードのセキュリティを高める機能

ログ監査対応

一定期間、過去ログを保存することで、万が一不正アクセスが行われた際に監査対応が可能な機能

ウィルス対策

コンピュータウィルスの観戦を防ぐ機能

ファイヤーウォール/IPS

不正アクセスを遮断する機能/ファイヤーウォールでは判別が困難な通信の中身を検閲、必要に応じて遮断を行う機能

操作性

社内や顧客が利用するシステムは、直感的に操作が可能なものを選定するようにしましょう。専門的な知識が必要なシステムの場合、社内で管理することが難しいためトラブルが起きた際に対応ができないことも考えられます。また、システムの利用者である顧客に対しても、複雑な操作はストレスを感じさせてしまい、顧客満足度の低下にもつながりかねません。

このような問題を防ぐには、AIを活用した画面の案内から必要なカテゴリーを選択できる「ビジュアルIVR」や、メッセージのやり取りで手続きや問い合わせができる会話型の「チャットボックス」を活用すると良いでしょう。

音声だけでは伝わりにくい案内もビジュアル化することで分かりやすくなり、顧客の理解度の向上にもつながります。

費用感

コールセンターのDXのメリットとして「コスト削減」が挙げられますが、既存システムの入替や改修にはまとまった費用が必要になります。システム導入に掛かるコストやその後のランニングコストなど、業務内容や経営状況に応じたシステムを選定するようにしましょう。具体的なDXの前準備として、以下の手順を踏むことをおすすめします。

自社の問題・課題の整理

現状、何が問題になっているのか・何が課題なのかを洗い出し、改善点を整理します。たとえば、入電に対して対応が追い付いていない・対応品質に問題がある・処理速度が遅く、クレームが発生しているなどがあります。これらの課題に優先順位を付けることが第一歩といえるでしょう。

業務プロセスの見直し

現況のオペレーションやマネジメントがどのように行われているかを明確にします。

この段階で「どの業務をどのように改善するのか」など具体的な改善方法の検討が可能になります。

業務プロセスの見直しと合わせて改善に必要なシステムやツールの検討も行うと良いでしょう。

システムの導入計画を立てる

導入するシステムの候補が出そろった時点で、導入までに必要な期間や今後の運用方法についての計画を立てます。

今後、センターの運用形態の変更がある場合、変更後にも対応可能なシステムでないと、導入後に新たな運営形態に合わせたシステムを入れ替えなければならないといった問題が発生するでしょう。

DXの成功のポイント

コールセンターのDXで重要なのが、「顧客満足度の向上」「業務の効率化」の2点です。特にコールセンターでは、顧客からの問い合わせにスムーズに対応可能なシステムを採用することがDX成功のカギといえるでしょう。

具体的なシステムの代表的な機能として、以下の3つの機能について解説します。

入電の最適化を実現ACD

ACDとは、着信振り分け機能のことを指します。センターで決められたルールや稼働状況に応じて、顧客からの入電を自動的に振り分けます。これにより効率化や生産性の向上が期待できます。また、問い合わせ内容に最適なオペレーターに振り分けすることもできるので、顧客満足度の向上にもつながります。

あふれ呼を防ぐIVR

IVRとは、自動音声応答機能のことを指します。問い合わせ内容に合わせて専任オペレーターに着信を振り分ける機能の他に、自動音声で問い合わせに対応することも可能です。簡単な手続きや案内なども24時間365日、自動で行えます。これにより、ピークタイムや時間外のあふれ呼を防止に役立ちます。

通話品質の向上に役立つCTI

音声電話システムとコンピューターシステムの統合を意味します。音声通話をコントロールするPBXと管理機能をコントロールするCRMを連携させることで、それそれのデータの有効活用が可能にさせる機能です。顧客からの着信履歴から過去の問い合わせ内容や顧客情報をデータで確認することができるので、スムーズな対応が可能になります。

DXの成功事例

コールセンターのDX導入の成功例は企業の規模や業態によってさまざまです。その1例としてクラウド型システムを活用した企業を3社ご紹介します。

在宅オペレーターの活用で大幅なコストカットを実現

BPOベンダーとして2014年に創業したMamasan&Compny株式会社は、コールセンター業務を在宅オペレーターで受託する「コールセンターBPOサービス」を展開しています。クラウド型システムを活用し、経理・給与計算などバックオフィス業務を在宅で行えるので、子育て中の女性を中心に男女問わず幅広い年代のスタッフが活躍しています。

遠隔での業務をスムーズに行うため、内線での会話やチャットツールを活用。きめ細やかな対応で取引先からの評判も良く、海外からの業務依頼にも対応するなど、国内外で事業展開が行っています。

専用のコールセンターの設置が不要・各オペレーターの雇用形態を業務委託という形にすることでセンター業務に掛かるイニシャルコストや人件費などのコスト削減を実現しています。

コンタクトセンタ―の設置で緊急のトラブルにも即時対応が可能

ZENBU株式会社は、外装塗装やインターネットの設置など、住宅全般のトラブル関連の事業を展開する企業です。2021年にコールセンター業務の立ち上げにクラウド型システムを導入しました。住宅関連企業は住宅トラブルを扱う性質上、鍵のトラブルや水回りのトラブルなど緊急性が高く、専門的な対応が必要なため、通常に比べ対応時間が長くなる傾向があります。

以前は電話のみの対応でしたが、システムのデータベース管理システムを活用し顧客情報を社内全体で共有することで、的確な応対が可能に。過去の事例を参照することで無駄な聞き取りを防ぎ、高品質な応対を実現。ZENNBU株式会社の重点目標である「クレームゼロ」の達成に役立てられています。

属人化の解消により通話品質の均一化・向上

兵庫県淡路島を中心に関西・四国・中国地方でホテル、旅館、スポーツレジャー施設を展開する株式会社かいげつもクラウド型システムを活用している企業です。クラウド型システムの導入により呼損の削減に成功。入電数に応じた適切な人員配置により、応答数90%を誇るまでになりました。以前は、取引先からの入電と顧客からの問い合わせが混在していたため、「電話がつながりにくい」とのクレームを受けこともあり、顧客専用窓口を開設。また、システムのレポート機能を利用することで、時間帯別の入電数を見える化。入電状況に応じた適切な人員配置でクレームを解消。スムーズな応答で顧客満足度の向上に成功しました。

まとめ

従来のIT技術の老朽化に伴い、各方面でDXの推進が行われています。有人での対応業務が多いコールセンターでも、業務の効率化や深刻な人手不足の解消方法としてDXの導入は急務といえるでしょう。

自動音声システムやAIを活用したチャットボックス、音声電話システムとデータ管理機能を統合したCRMなど、デジタルシステムを活用することで業務の自動化や見える化が実現します。これにより、厳しい労働環境の改善や在宅や遠隔地でのテレワークも可能に。オペレーターの状況に合わせた多様な働き方が実現することで、コールセンターの抱える離職率の高さの問題も改善されるでしょう。

また、システムを活用することで接続数の増加や24時間365日の対応が可能になり、顧客満足度の向上にもつながります。

企業の規模や業種にかかわらずロイヤルカスタマーの育成には、顧客の問い合わせや要望にきめ細やかに対応するコールセンターが欠かせません。自社の特性に合ったシステムを活用し、DXを成功させましょう。

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