IVRでコールセンターの顧客満足度は向上する?メリットや導入ポイントを解説

コールセンターは企業と顧客をつなぐ大切な窓口です。「電話がつながりにくい」「オペレーターにつながるまで何度も同じ説明をさせられる」など対応によっては、顧客満足の低下につながるのはもちろん、クレームにもなりかねません。

こうした問い合わせに対するストレスを最小限に抑える方法として、IVRの活用があります。今回はIVRの特徴やメリットを解説。併せてIVRと相性のいい業種や導入の際に押さえておきたいポイントもご紹介します。


IVRとは

IVRとは「Interacitve Voice Response」の頭文字を取った略語です。「自動音声システム」という意味を持っています。IVRは顧客からの入電に対し、自動音声でよくある質問の回答や適切な窓口への誘導などを行います。

コールセンターにIVRが導入されはじめたのは1990年代に入ってからです。2000年に入るとAIの登場によってコールセンターの自動化が進み、現在はスマートフォンに対応したタッチパネルでも操作可能な「ビジュアルIVR」も登場しています。

IVRの操作方法は、自動音声によるガイダンスで顧客自らが任意の窓口の番号をプッシュボタンで選択。音声案内に沿って複数の番号から任意の番号を入力するだけで手続きが完了するだけでなく、込み入った問い合わせ内容によってはオペレーターが回答するなどといったことが可能です。これにより人件費の削減の他、早朝深夜の問い合わせにも対応可能なので顧客満足度の向上にもつながるなどのメリットがあります。

IVRの仕組み

IVRの仕組みは、大きく4つの操作によって構成されています。

  • 想定される問い合わせ内容に適した複数の音声メッセージを用意
  • 音声メッセージに従って複数の選択肢から任意のボタンを選択
  • 顧客の操作したボタンを認識し、音声メッセージが各種手続き方法や問い合わせを回答
  • それ以外の込み入った内容の回答や手続き方法などは専門のオペレーターにつなぐ

オペレーター以外の操作は自動で行うため、運用に関わるコストが大幅に削減できる・どの入電に対して一定の品質が保たれるなどのメリットが挙げられます。

IVRの大きな特徴として、予約受付などの手続きや配送状況の確認など、自動音声でも対応できるものは24時間365日対応が可能です。また、クレームや専門性の高い問い合わせなど専任オペレーターの対応が必要なものについては、折り返し機能を利用することで顧客の負担を軽減することができます。

オンプレス型とクラウド型の違い

IVRをはじめとするコールセンターシステムにはオンプレス型をクラウド型の2種類があります。

オンプレス型とクラウド型の違いは、開発方法にあります。オンプレス型はベンダーがクライアント専用のシステムを開発するのに対し、クラウド型はインターネット上の既存システムを利用するのが特徴です。

IVRが登場した当初はクラウド型がなく、コールセンターに専用の自動音声装置を設置しないと利用できませんでした。2000年以降、開発が進み現在はクラウド型が一般的になっています。

オンプレス型

  • 自社のサービス内容に合わせてシステムを開発するタイプ
  • 自由にカスタマイズが可能なのでスムーズな運用が可能な上、専用回線を使用することで高いセキュリティが保証される
  • 開発費や保守に掛かる人件費、サーバー代など初期費用やランニングコストが掛かる
  • 専用のサーバーや自社専用のシステムの構築など事前準備が必要
  • 大手企業や大規模なコールセンター向き

クラウド型

  • 既存のシステムの中から必要な機能を選択するタイプ
  • インターネット回線を利用するので初期費用が掛からない
  • 自社に必要な機能をオプションから追加するなどのカスタマイズが可能
  • 専用サーバーを持たないので維持管理に必要なランニングコストが掛からない
  • システムによってセキュリティ対策の質が異なる
  • 運送業や飲食・宿泊業、小規模なコールセンター向き

IVRと相性の良い業種

IVRは、顧客からの問い合わせに対して自動音声で対応する性質上、店舗の住所や申し込みの仕方など定型的な問い合わせの多い業種と相性の良いシステムといえるでしょう。

代表的な業種として以下のような業種が挙げられます。

通信・金融・保険業

IVRと相性の良い業種として通信業や金融・保険など顧客からの問い合わせの多い業種が挙げられます。

支払い方法やサービスの変更など、問い合わせ内容のパターンが決まっているので自動音声での対応が可能です。また、複数の窓口を向けていることが多いので、新規申し込み・サービス変更・支払い状況の質問など専用の窓口に振り分けが可能。

個人情報や複雑な内容の問い合わせについては、専用のオペレーターに転送することでスムーズな対応ができるので顧客満足の高いサービスが提供できます。

ECサイト・宅配業

商品の配送状況の確認などの問い合わせの多い業界もIVRと相性の良い業界といえます。

特にECサイトは商品についての問い合わせやクレームなどの入電もあり、対応に時間掛かるのがネックとなっていました。

IVRを活用することで、顧客から寄せられる代表的な問い合わせや初期のクレーム対応を自動音声が担うことで時間の短縮が実現します。また、録音機能や管理機能を活用すれば、オペレーターにつながる前に問い合わせやクレーム内容が把握できるので、スムーズな対応が可能になります。

配送状況の確認など時間外の入電も多い宅配業では、24時間365日対応可能なIVRを利用することで従業員の負担を軽減できます。問い合わせ対応に掛かる手間が少なくなることで、本来の業務に集中できる・人件費の削減が実現できるので、コスト削減にもつながります。

飲食・宿泊業

来店、宿泊予約の問い合わせが多い飲食・宿泊業もおすすめです。飲食・宿泊業は顧客からの問い合わせ以外にも関連業者からの連絡も多く、電話がつながりにくいというクレームも発生しやすい業種といえます。

こうしたクレームを防ぐ方法にIVRの導入が有効です。自動音声で予約を受け付ける専用窓口を設けることで、顧客と関連業者の入電を分けられるので顧客からの入電を逃すことがありません。また、ピークタイムや繁忙期など人員が少ない時間帯も自動音声で予約を受け付けることで応答率が向上。結果、顧客満足度の向上にもつながります。

IVRのメリット

IVRは顧客の問い合わせに対し、自動音声が対応することで人件費の削減や時短が可能です。これは企業側・顧客側の双方にとって大きなメリットといえるでしょう。

その他、代表的なメリットに以下の3つが挙げられます。

顧客満足度の向上

オペレーターのみのコールセンターでは、配置人数以上の入電を受けることはできません。そのため、込み入った内容の問い合わせなど長時間の応対が必要な場合、電話がつながらない・待ち時間が長いといったクレームが発生しやすくなります。

IVRを導入することで、自動音声で対応が可能な問い合わせなら、短時間で顧客は必要な回答を得ることができます。また、ガイダンスに沿ってボタン操作すると専門のオペレーターに直接電話がつながります。そのため、専門のオペレーターにつながるまでの間、何度も同じ説明を聞いたり、問い合わせ内容を話したりする手間が掛かりません。

他にも24時間365日対応が可能なため、好きな時に問い合わせができるのも顧客側のメリットといえるでしょう。営業時間外でも気軽に利用できることも顧客満足度の向上につながります。

コスト削減

コールセンターの抱える問題に離職率の高さや人手不足が挙げられます。基本的な応対に加え、専門知識など膨大な量のマニュアルを覚えないといけないことや、クレーム対応に追われることなど、オペレーターの負担が大きいことが主な理由として考えられます。IVRを導入することで、自動音声が基本的な対応やクレームの初期対応を行うため、オペレーターの負担の解消につながります。

また、自動音声による対応により、大幅な人件費の削減も可能なため、大幅なコスト削減も期待できるでしょう。

大規模なコールセンターはもちろん、クラウド型なら費用面でコールセンターの設置が難しいと思われる中小企業の電話窓口など幅広い業種・企業でも導入のハードルが下がるといったメリットがあります。

業務の効率化

IVRはさまざまな機能を活用することで業務の効率化が図れます。

例えば、問い合わせ内容に合わせて自動音声のみの対応と専門オペレーターによる対応に振り分けすることで、オペレーターが本来の業務に集中できます。また、対応可能な数を超える入電に対して折り返し予約を受け付けることで呼損を防ぐことができます。こうした機能を活用することでピークタイムでも適切な人員配置が可能になります。

また、録音機能や分析機能を活用することでコールセンター自体の品質向上や、業務の効率化につながります。

IVRのデメリット

コスト削減や顧客満足度の向上などのメリットがある一方、IVRにはデメリットも存在します。

主なデメリットは以下の3点です。

操作に時間が掛かる

自動音声で操作方法を案内するため、入力操作に時間が掛かることがデメリットといえるでしょう。

操作方法の案内スクリプトが長い・知りたい内容の階層が深くオペレーターにつながるまで何分も掛かってしまうと顧客のストレスにつながります。こうした操作時間の長さは離脱の原因になるほか、クレームになる可能性も。

なるべくシンプルなトークスクリプトを用意する・階層はあまり深くし過ぎないなどの工夫が必要になります。適切な操作時間は各企業によって異なるので、運用中に定期的な見直しをすると良いでしょう。

ユーザーの操作ミスが起こる可能性がある

IVRの場合、顧客が入力操作を誤る可能性があります。

入力操作を誤ると本来の階層につながらない・住所や電話番号などの顧客情報が不正確なため必要な資料が届かないといったトラブルが生じる原因となります。IVRではこうした操作ミスに対するフォロー体制がないのが大きなデメリットといわざるを得ません。

操作ミスを極力減らすためには、操作方法の単純化や入力番号を極力短くするなどシンプルな操作にとどめておくことが重要になります。

込み入った問い合わせには対応できないことがある

自動音声は定型的な問い合わせには最適ですが、込み入った内容の問い合わせには対応ができないというデメリットがあります。

商品の詳細な説明や修理対応などの問い合わせは、専門のオペレーターにつなぎ対応するようにしましょう。

上記の他にも、自動音声ではなく最初からオペレーターと直接会話をしたい顧客もいます。問い合わせの内容がどのカテゴリーに入るのかが分からない・操作方法が複雑でどれを選択したらいいのか分からない方に向けて、直接オペレーターにつながるような工夫も必要になるでしょう。

IVR導入時のポイント

IVRを導入する際、もっとも注意したいのが顧客にとっての使いやすさに配慮した設定がなされているかです。操作方法が複雑な構成や音声の再生時間が長すぎるなど、使いづらいIVRは顧客満足度の低下につながりかねません。顧客満足度を高めるには以下のポイントを押さえておく必要があります。

業種に合わせたメニュー構成に

デメリットでも紹介したように複雑なメニュー構成にしてしまうと、顧客の負担が大きくなってしまいます。

幅広い問い合わせに合わせたカテゴリー分けや複雑な階層構成はかえって顧客の混乱を招き、途中で離脱してしまう可能性が。メニュー構成は出来るだけシンプルにすることや、自社の業種にあったカテゴリー分けにすることが重要になります。カテゴリーは3~4程度にとどめておくと良いでしょう。それ以上の問い合わせについては、オペレーターが対応するようにしておくことを専門的な問い合わせも回答できます。

トークスクリプトはシンプルに

自動音声の長さもできるだけ短く設定しましょう。音声ガイドが長すぎると「説明の内容が理解できない」「問題解決までに時間が掛かりすぎる」などのクレームにつながることも。自動音声のトークスクリプトは無駄な説明を省き、要点のみを簡潔にまとめるようにしておきましょう。

設定の見直しは定期的に

サービス内容の変更や顧客の問い合わせ状況によっては、定期的な設定の見直しも必要になります。過去の入電の履歴や状況などを振り返り、必要な場合は大幅な改善を行うようにしましょう。顧客のニーズに合わせて変更を加えることで、顧客の利便性が増します。こうしたことをくり返すことで、離脱率が低下し顧客満足度の向上につながります。

まとめ

オペレーターのみで運営するコールセンターの場合、対応できるリソースには限りがあります。そのため、電話がつながるまでの待ち時間が長くなる・営業時間外の対応ができないなど、顧客のニーズを満たせないといった問題が生じます。これらの問題を解消するための人員増加やオペレーターに残業や休日出勤を強いる運用方法は、コストが掛かりすぎる・オペレーターの離職にもつながりかねません。

>IVRは顧客からの入電に自動音声が対応することで、待ち時間の解消をはじめ営業時間外の対応が可能。必要に応じてオペレーターにつなぐこともできるので、大幅なコスト削減や顧客満足度の向上に欠かせないシステムといえるでしょう。

IVRには、自社のサービス内容に合わせてシステムを開発するオンプレミス型と既存のシステムを利用するクラウド型の2つのタイプがあります。一般に普及しているのが低コストで運用可能なクラウド型です。

COLLABOS PHONEはIVRをはじめとするコールセンターに必要な機能をすべて備えたクラウド型。オンプレミス型と比べ、初期費用や運用コストが抑えることができるシステムです。システム開発が不要なため、発注から運用開始まで最短3週間とスピード導入が可能。IVR以外にも通話録音やACD(着信の振り分け)はもちろん、品質向上の欠かせない統計管理や通話モニタリング、CTI(着信ポップアップ)などの機能も充実。運営側の品質向上や顧客満足度の向上が期待できます。

1ch当たり月額使用料は4,000円で最低ch数は5ch~。専用の機材も必要ないため小規模のコールセンターやテレワークにも導入しやすいシステムといえます。

この記事の執筆者

    コラボスブログ編集部

    株式会社コラボスは、2001年に設立。現在、東京・大阪にオフィスを構えており、
    960拠点以上のお客様へクラウドサービスを使ったCTIシステムを提供。
    本ブログ記事サイトでは、様々なニーズを抱えたお客様のお役に立てるような情報を日々発信。
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