パレート分析とは?分析・活用方法や注意点を解説

パレート分析とは、多くの企業が自社の課題改善に用いる分析方法のひとつです。コールセンター業務に関わる問題点をパレート図と呼ばれる表に表すことで、現在、コールセンターが抱える課題がどのようなものかが明らかになり、具体的な改善策を講じることができます。その結果、業績の向上につながります。
コールセンターでは人材の育成や応対品質の改善、商品・サービスの専門知識など多くの仕事があります。そのため業務の効率化を図ることは非常に重要なポイントであり、有効な分析方法を見つけることは業務効率化には欠かせません。そこで今回は分析方法の1つであるパレート分析と業務の効率化に役立つCTIシステムについて詳しく解説していきます。


パレート分析とは

パレート分析はビジネスシーン全般で活用されており、「80:20に法則」や「2:8の法則」とも呼ばれています。ある構成要素を大きい順に並べた棒グラフと、累積比率を示す折れ線グラフを組み合わせることで上位の一部要素が全体にどのくらい影響しているのかを分析する方法です。

コールセンターであれば現場を管理する責任者がパレートの法則を元に「現状の応対品質がセンター全体の売上にどのくらい影響を与えているのか」を分析し現場の運営に生かしています。このようにパレート分析はオペレーターの応対品質や応答率など、複数ある課題に対して対策の優先度を付ける際に有効的です。

パレート分析の例として以下のようなものが挙げられます。

  • クレームの8割はすべてのオペレーターの2割が原因となっている
  • 顧客からの問い合わせの8割はすべて問い合わせ内容の2割の質問となっている
  • 販売数の8割はすべてのオペレーターのうち2割のオペレーターの働きによるもの

パレートの法則

パレートの法則とは、「上位2割で全体の8割を占める」ということです。これが、「80:20に法則」や「2:8の法則」と言われているものです。
トラブルの原因の20%が全体の結果の80%を作っているということです。たった20%の原因をつぶせば、問題の80%が解決するので、20%を突き止めない手はありません。

パレート図が必要となる理由

では、なぜパレート図が必要なのでしょうか。それは、数ある問題の中から、何が大部分を占めているのか、その問題がどのくらいの悪影響があるのかを調べるためです。よって問題に優先順位をつけることができます。

パレート図活用のメリット

パレート図を活用することでもっともコールセンター運営に影響を与えている課題は何かが明確になります。課題が明確になることでコールセンターが最優先で対策すべきことがわかります。
コールセンターの責任者はオペレーターへの研修や、定例報告の資料作成などタスク管理など多くの課題を瞬時に解決することが求められています。パレート図を使うことで感覚的な対策ではなく明確な根拠を基に導き出した対策ができるため、最も効果的な業務改善が期待できます。

パレート図作成と分析の流れ

①データを集める

まずは、データの収集から始めましょう。元データをもとに、それぞれの問題に対して何件ずつ指摘があったのか集計し、件数が大きい順に並べ替えます。全くのフェイクデータですが、コラボスの問合せ窓口を想定して、不満の内容と集計結果の表を下記に貼り付けしておきます。

②累計比率を計算する

集計したら、累積比率を計算します。パレート図の形を整えるときのために、一番上に0を入れた累積比率も作成します。

③グラフを作成する

次に、エクセルのグラフ作成機能を使って、先ほどの表からグラフを作成します。

④分析開始

ここで、グラフをみて分析を始めます。機能不足と不具合を合わせると70%以上となることから、この2つが優先度の高い問題だと言えるでしょう。

⑤違う角度からの分析

④の基本的な分析のみでなく、今回であれば、問題点と指摘件数でしたが、
違う角度(例えば損失金額など)でも分析してみると、もしかしたら、不具合のほうが損失が大きいかもしれません。

パレート図がコールセンターの課題解決に重要

コールリーズン分析に欠かせないパレート図

コールリーズンはコールセンターの生産性の向上や応対品質の改善を行うにあたり欠かせない要素です。しかし、コールリーズンといっても顧客や商品、問い合わせの状況により内容はさまざまです。
生産性の向上や品質の改善を行うには膨大な量のコールリーズンを収集しどの要素の影響度が高いのか把握し優先度を付けることが重要です。そこで効果的なのがパレート図です。コールリーズン分析にパレート図を用いることで、どのコールリーズンが全体の上位を占める要素となっているかが視覚的にわかります。優先度が高いコールリーズンから対策を行うことで素早い改善が行えます。

  • コールリーズン分析に欠かせないパレート図の作成方法

コールリーズン分析を行う際に役立つパレート図は以下のように作成します。
集めたコールリーズンを横軸の棒グラフに多い順番で並べます。縦軸の折れ線グラフにはコールリーズンの多い順番に割合を足していき100%になるように作成します。このように作成することで上位20%の要素が全体の80%を占めるグラフができあがり、視覚的にどのような課題を解決するべきかが分かるようになります。

コールリーズンの20%を解決できればセンターの課題が解決できる

パレート図にて判明したコールリーズンの上位20%の要素がコールセンターの業務の大半を占めていることがわかります。問い合わせの多い内容を目に見えるようにすることで優先的に対応すべき内容の順位付けができます。順位付けした内容を基にFAQを作成してホームページに掲載すれば問い合わせ数の削減が可能になります。

また、対応オペレーターのスキルレベルの判断や新人オペレーターへの研修内容に組み込むことで、さらにスムーズな電話応対ができます。このようにパレート図を用いてコールリーズンの分析をすることで、多くのコールセンターが課題としている顧客対応に掛かる時間の削減ができます。顧客にとっても回答を得るまでの時間が短く「待つストレス」を軽減できるため、顧客満足度の向上にもなります。

コールリーズンの活用例

コールリーズンを分析することでコールセンターの課題を見つけることができます。課題を解決することで顧客満足度は高まり業務の効率化や売り上げのアップにもつながります。

コールリーズンの主な活用例として以下の4つについて詳しく解説していきます。

  • クレーム対応
  • IVRの最適化
  • トークスクリプトの改善
  • FAQの改善

クレーム対応

クレームに関するコールリーズンを収集することでコールセンターの業務改善や人材育成に有効活用することができます。主なコールリーズンとしては以下の2つが大半を占めます。

  • コールセンターの受電体制
  • オペレーター応対品質

コールセンターの受電体制

人員不足などにより十分な受電体制が整えられておらず着信の取りこぼしが多発すればクレームの原因となります。例えば顧客から「電話がつながりにくい」との申し出があった場合、増員や窓口の拡大など業務体制の充実化が必要になるでしょう。

オペレーター応対品質

コールセンターでは新人研修の際、正しい言葉遣いや電話応対スキルを学びます。顧客との通話もすべて記録しオペレーターの研修に活かします。しかし顧客から「言葉遣いが悪い」「事務的な話し方が不愉快」「応対マナーがなっていない」などクレームを寄せられることは少なくありません。コールリーズンを分析することで応対品質の課題が明確になり研修内容のブラッシュアップをすることでよりよい人材の育成につながります。

IVRの最適化

多くのコールセンターが取り入れているIVRシステムですが、コールリーズンのパレート分析を活用することでより効果的に改善を図ることができ業務効率アップにつながります。

IVRシステムは自動音声ガイダンスにより顧客の求める問い合わせに応じて専任のオペレーターにつなぐことができるシステムです。オペレーターが直接、顧客と会話し問い合わせ内容を聞き出し担当者に転送する手間や時間を大幅に削減できるのがメリットです。

しかし音声ガイダンスの案内内容が複雑で顧客にとってわかりにくい設定だった場合、かえって顧客が混乱してしまい顧客満足度の低下につながってしまうでしょう。IVRシステムの効果を最大にするのであれば、パレート図を作成してコールリーズンの可視化を行い、問い合わせの多いコールリーズンに絞って必要最小限の操作で担当窓口につながるような設定にしましょう。こうすることで顧客の操作に関するストレスが軽減できます。また、コールリーズン分析で問い合わせが少ない窓口があった場合は、同じ内容の窓口と統合して簡略化することもできます。

トークスクリプトの改善

トークスクリプトはオペレーターが顧客と対応する際に使う台本です。コールセンターの現場では、顧客が抱える問題の解決策が含まれたトークスクリプトを作成することが必要になります。

コールリーズン分析をすることで多くの顧客が抱えている問題が明確になり、どのような解決策をトークスクリプトに反映すれば良いのかがわかります。重要度の高いコールリーズンに合わせてトークスクリプトを改善することができれば顧客に寄り添った対応ができ、スムーズな案内ができるため業務の効率化につながります。また定期的にコールリーズン分析を行うことでトークスクリプトの質が高まりオペレーターの応対スキルが均一化されるので顧客満足度の向上にもつながります。また、多いコールリーズンに対して高評価を得ているオペレーターの応対を分析しスクリプトへ反映することでセンター全体の応対品質の改善にも役立つでしょう。

FAQの改善

コールリーズン分析はFAQの作成や改善にも役立ちます。問い合わせ頻度の高いコールリーズンに関するFAQを作成することで、対応時間の削減やオペレーターの対応精度の向上につながります。対応精度が向上すれば顧客に与えるストレスも軽減できクレームリスクも回避できます。

また、WEBサイトに反映させることで電話がつながらない場合や営業時間外でも顧客が疑問を自身で解決することもできます。FAQの充実化によりコールセンターへの問い合わせ件数が減少しオペレーターへの負担も軽減できるため、定期的なコールリーズン分析は重要といえるでしょう。

コールリーズンの集計法は2つ

コールリーズンの集計方法として多く利用されているのがCMSとCRMの2つです。

CMS(Call Management System)は各種データの収集やコールリーズンごとにコード設定ができ簡単に集計が取れます。

CRM(Customer Relationship Management)は顧客情報を管理するシステムで応対履歴とともにコールリーズンを入力し集計を取ることができます。

ここではCMSとCRMの特徴やメリット・デメリットについて詳しく解説していきます。

CMS

CMS(Call Management System)は責任者が顧客のコール数や応答状況などを管理するためのシステムです。リアルタイムで着信数や処理数、放棄呼、通話時間、オペレーターのログイン数などをデータベース化して把握することができます。そのため、オペレーターの育成や配置人数など業務の効率化、コスト削減につながります。

CMSを使ったコールリーズンの集計方法としてはCMSのCWC(コールワークコード)機能を活用します。コールワークコードとはあらかじめ特定のコードに分類したコールリーズンを通話中や、応対後にオペレーターが電話機のボタンを押すだけで簡単にコールリーズンの分析が行えます。しかし、コールセンターのオペレーターは多くの入力作業があるため入力忘れの恐れもあり正しいコールリーズンの集計が取れないデメリットも存在します。

CRM

CRM(Customer Relationship Management)とは、顧客の基本情報や問い合わせ履歴などのデータを蓄積して管理できるシステムです。顧客情報を一元管理できるため、オペレーターは着信した番号から顧客情報や応答履歴が把握できます。CTIと連携することで顧客を待たせることなく対応ができるため、顧客のストレスも軽減できするでしょう。

CRMの多くは分析機能があるため、人的コストを削減しながら多角的な方面から分析することができます。CRMを使ったコールリーズンの集計方法としては、CRMシステムの画面上でコールリーズンの分類分けができる構成にしておくことでデータを蓄積することができます。正しいデータを蓄積するためにコールリーズンの分類を選択しないと顧客対応画面を終了できないようにすることで入力漏れも防ぐことができます。

パレート図活用時の注意点

①優先順位づけをする

ABC分析により、優先順位をつけ、優先度の高い問題点から解決しましょう。

  • Aランク:累積比率0~80%
  • Bランク:累積比率81~95%
  • Cランク:累積比率96~100%

Aの対応が終われば、Bへ、Bが終わればCへ、と順番に対応しましょう。

②分析結果の後の施策まで大事にする

パレート図を作成後、結果を生かした施策が大切です。パレート図を作って終わりではなく、改善策まで検討し、実施していきましょう。

CTIでCRMと他のシステムを連携させて業務の効率化を

クラウド型CTIシステムとCRMシステムを連携することで、着信があった顧客情報や過去の取引履歴まで自動的に表示することができ、よりスムーズな対応ができるようになります。また、社内に蓄積している顧客のデータを一元管理ができるため重複した連絡などのリスクを回避することもできます。

他にもクラウド型CTIシステムと連携することで業務の効率化が図れるシステムがいくつかあります。ここでは代表的なシステムである以下3つを詳しくご紹介します。

  • FAQシステム
  • 音声認識システム
  • テキストマイニングツール

FAQシステムとは

FAQシステムとは問い合わせ頻度の高いコールリーズンに対しての回答をまとめることで顧客は知りたい情報をすぐに手に入れることが可能です。企業ホームページなどに「よくある質問」や「FAQ」として専用ページが設けられています。

FAQシステムの基本的な機能として検索機能とFAQ管理機能があります。検索機能は顧客がスムーズに質問に対する答えを見つける機能です。FAQ管理機能はオペレーターやシステム管理者が使用する機能で顧客から寄せられるさまざまな質問や対応事例などの情報を共有・管理できる機能です。FAQシステムを導入することで顧客が自身で知りたい情報を探すことができるため問い合わせ数の減少につながりオペレーターへの負担軽減となります。

また、営業時間外でも自己解決ができることで顧客満足度の向上となり業務の効率化が図れます。

音声認識システムとは

音声認識システムとは簡単に言うと、音声データをテキストに変換するシステムのことです。コールセンターでは応対品質の向上を目的に顧客との通話音声を定期的に責任者が確認、分析し改善のため指導を行います。通常、さまざまな角度から応対品質の分析を行うため、オペレーター1人につき1音声ではなく複数の音声を確認し分析をするため非常に多くの時間を要します。

音声認識システムを活用することで音声を確認する時間が削減でき、テキスト化によりポイントを絞った的確な指導を行うことが可能です。他にもコールセンターではコンプライアンスに反する会話がないか確認のため音声をチェックしています。こうしたチェック作業も音声認識システムを活用することでコンプライアンスに反するワードのみを確認することができるので業務の効率化が図れます。

テキストマイニングツールとは

テキストマイニングは、テキストデータから必要な情報を集め統計学的に有益な情報と判断された文字の抽出を行います。システム面からAIとテキストマイニングが混同することが多いですが、概念として異なります。

AIは人間と同等の知能を実現するためのシステムを組んでいるものを指します。身近なAIでいえばスマホの音声認識システムになります。これは、音声認識をしてテキストマイニングで活用している自然言語処理を用いています。

しかし、テキストマイニングだけではAIのような学習機能やタスク遂行機能は無く、あくまで文章の統計をとりデータ分析をするシステムになります。

実際に、テキストマイニングの分析対象となるデータは、コールセンターのやりとりの記録やアンケート、お問い合わせ・会議の議事録や日報があげられます。

さまざまな文章から顧客のニーズや将来予測など有益な情報だけを取り出し、人間の負担を軽減させながらビッグデータの活用が可能となります。

コールセンターのデータ分析ならコラボスへ

コールセンターには顧客と企業の接点であり、多くのデータが蓄積する場所です。
当社のGOLDEN LISTというサービスでは、顧客の購買結果データから、どんな人がその商品を買う傾向にあるのか、といったことがわかります。他にも電話がつながりやすい時間帯、解約しそうな顧客を探すといったことも可能です。コールセンター関係の分析であれば、ぜひコラボスへご相談ください。

まとめ

コールセンターに寄せられるコールリーズンの中で、多くの要素を占めている内容を効率的に分析する方法がパレート分析です。パレート分析により解決すべき課題が視覚的にわかるため、優先度を高めた的確な対策を打つことができ業績の改善につながります。

パレート図を用いたコールリーズン分析で得られた結果を基に、センター内の課題解決や業務の効率化を行うにはクラウド型CTIシステムの導入が有効的です。CTIシステムとCRMやFAQ、音声認識、テキストマイニングツールなどのシステムを連携させることで負担軽減が実現できます。音声認識やテキストマイニングツールを活用することで、自然言語処理で有益情報だけを取り出し、これらのビッグデータ化が短時間で行えます。結果作業時間の軽減や、業務の効率化につながります。

コラボスが提供するCTIシステム コラボスフォン(COLLABOS-PHONE)は専用のサーバーやインフラ設備が必要なく低コストで導入ができ、コールセンターの円滑な運営に欠かせないCRMとの連携により業務の効率化が図れます。

また、音声認識システムであるIVRなどコールセンターに必要な機能を備えたコラボスフォンだけでなく、自社のニーズに合わせてさまざまな角度から必要なツールをお選びいただけます。

自社のコールセンター運営に課題をお持ちでしたら、ぜひお気軽にコラボスまでお問合せください。

この記事の執筆者

    コラボスブログ編集部

    株式会社コラボスは、2001年に設立。現在、東京・大阪にオフィスを構えており、
    960拠点以上のお客様へクラウドサービスを使ったCTIシステムを提供。
    本ブログ記事サイトでは、様々なニーズを抱えたお客様のお役に立てるような情報を日々発信。
    会社情報について詳しくはこちら


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