顧客分析とは?基本的な手順と10個の分析方法、ポイントを解説
「顧客分析が大事なのは分かるけれど、何をどう始めたら良いか分からない…」
「マーケティングの解説記事は専門用語が多すぎて理解しにくい…」
以上のような疑問や悩みをお持ちの方もいらっしゃるでしょう。
そこで今回は、マーケティングの基本である顧客分析に関して、最低限知っておきたいポイントをまとめてみました。
顧客分析の目的や方法についても、具体例を交えつつ分かりやすく解説しています。
会社・店舗経営者の方やマーケティング担当者の方は、ぜひ参考にしてください。
マーケティングにおける顧客分析とは?
顧客分析には大別すると2つのタイプがあります。
「マーケティングにおける顧客分析」と「CRMにおける顧客分析」の2種類です。
CRM(Customer Relationship Management)における顧客分析とは、顧客との関係性をより良くする
ために蓄積された顧客情報を分析する方法です。
一方、マーケティングにおける顧客分析とは、市場の動向を調査したり、新たな顧客ニーズを探ったりしながら、自社の商品やサービスを改善していくための分析方法といえます。
両者は時に連携することもあり、共通の手法を用いることもありますが、根本的には分析のスタート地点や目指すべき方向性が異なります。
今回は、この2種類のうち「マーケティングにおける顧客分析」に的を絞ってご紹介していきます。
顧客分析の目的
顧客分析とは、「顧客」について、あらゆる情報をもとにして様々な方法で分析することです。
それでは顧客分析の目的はどこにあるのか?…というと実は「自社を知ること」にあります。
まずは、この点についてご説明しましょう。
マーケティングの総合的な分析法の一つに「3C分析」という方法(フレームワーク)があります。
この3Cとは「Customer」、「Competitor」、「Company」それぞれの頭文字に当たります。
つまり、マーケティングとは「顧客」を知り、「競合(他社)」を知り、最終的には「自社」を知ることといえるでしょう。
その一環として顧客をより良く知るための試みが顧客分析です。
「自社の強みは何か?」「これからどういった商品やサービスを提供していくべきか?」といったことは、どの会社にとっても大きな関心事の一つに違いありません。
しかし、その答えは、社内に目を向けているだけでは見つからないでしょう。
競合他社や市場全体と比較して初めて自社の強みが見えてきます。
そして「これからどうすべきか?」についての答えは顧客が持っているのです。
マーケティングにおける顧客分析とは「自社の現状とより良い未来」を知るための非常に大切な試みということになります。
顧客分析がマーケティングで重視される理由
市場が立ち上げ段階から発展途上にある場合には、自社の提供するプロダクトが手放しで歓迎されることもあるでしょう。
なぜなら、他にまだ選択肢がないからです。
市場の初期段階においては、安価な価格設定の類似商品(コモデティ商品)でも利益が確保できます。
しかし、現在は、あらゆる業界で市場が成熟期を迎えています。商品や情報が溢れかえっている状況下では、顧客の真のニーズを捉えたものしか売れないでしょう。
そこで重要になってくるのが顧客分析です。
顧客分析の流れ
顧客分析によって、まずは自社の商品やサービスの「現状を把握」しましょう。
その次に、これまでの「マーケティング施策の評価」を行います。
それらを踏まえて「新たなマーケティング戦略を決定する」という流れが顧客分析の基本です。
この一連の作業がもたらすプラス効果は、売れる商品と売れない商品の明確化(無駄なコストの削減)や効果的なマーケティング戦略の確立です。
顧客分析を行う最終的なメリットは、もちろん自社の業績アップに他なりません。
マーケティング初心者必見!顧客分析の4つのポイント
続いては、顧客分析の基礎となるマーケティング手法をご紹介します。
マーケティングにおける顧客分析を行う際に、必ず押さえておきたいポイントは以下の4つです。
①ペルソナを設定する
初めに「ペルソナ設定」と一般的な「ターゲット設定」の違いからご説明しましょう。
顧客分析におけるターゲット設定とは、メインとなる客層を「属性情報(世代や性別、職業、居住地域など)」でグループ分けして狙いを定めること。
例えば「子育て中の30代ファミリー」、「体育会系の男子大学生」といった具合です。
一方、ペルソナ設定とは「架空のプロフィール」を作成して自社のメインターゲットとなる「架空の人物(個人)」を想定することです。
ペルソナ設定の場合は「属性情報」に加えて「趣味や性格」、「ライフスタイル」、「人間関係」などについても事細かに決めていきます。
その人物を象徴する簡潔な「エピソード」を作成する場合もあります。
ペルソナを設定する際には、口コミやアンケート調査を活用して、最も典型的なユーザー像を絞り込んでいくと良いでしょう。
ペルソナを設定するポイント
ペルソナ設定をするメリットは、社内でメインターゲットとなる人物像(ペルソナ)を共有できることです。
さらに、顧客目線で物事を考えられるようになり、その結果、より顧客ニーズに合った商品やサービスを訴求できることです。
尚、自社のビジネスに最適なペルソナは時流によって常に変化します。ペルソナ設定を定期的に見直すことも忘れずに行いましょう。
②市場の成長性と規模を把握する
メインターゲットとなる「一人の人物」に的を絞ってマーケティングを考えるのと並行して、「市場全体」の動向もしっかりと押さえておきましょう。
ミクロとマクロの視点を同時に持ちつつ顧客分析を行うことが有効です。
市場分析のポイントは、市場の「成長性」と「規模」を把握すること。
市場規模は一般的には「平均単価」×「流通量」という数値で表されます。市場規模とは、いわば「需要の大きさ」に当たります。
一方、市場の成長性は市場規模の伸び率のこと。前年比年率15%のプラス成長…といった表現の仕方になります。成長性は「需要の変化」に当たります。
市場の成長性と規模を把握するポイント
市場分析を行うと、市場が成長・成熟・衰退のうち、どの段階にあるのか見えてきます。
それぞれの段階で最適なマーケティング施策のあり方は違ってくるはずです。
市場全体の中で、自社のポジションをどの辺りに確保するか考えるためにも市場分析は非常に大切なポイントになります。
③顧客ニーズを把握する
個人(ミクロ)と市場(マクロ)両者に向けた視点を確保しつつ、いよいよ「顧客ニーズ」を探っていきます。
最も肝心で難しいのが顧客ニーズの把握です。
顧客ニーズを探るためには、顧客の購買頻度や購入金額といった「客観的なデータ」から分析する方法がありますが、これは冒頭でご紹介した2種類のうち、どちらかというとCRMにおける顧客分析に該当します。
マーケティングにおける顧客分析では、「顧客の声」に耳を傾けることでニーズを探っていくのが基本です。
売り場に足を運んで顧客の要望や不満をヒヤリングする、あるいは口コミやアンケートを分析するといった地道な作業が必要になってきます。
顧客ニーズを把握するポイント
顧客ニーズを分析するコツはなかなか理解しにくいので、具体例を一つご紹介しましょう。
例えば、外資系の大手コーヒーチェーン店で顧客が購入したいのは、必ずしも定番のコーヒーや新作のスイーツではありません。
「ちょっと一息つける時間」や「テラス席のお洒落な雰囲気」にこそお金を払いたいという人もいるはずです。
アンケートや口コミを分析すると、上記のようなニーズが見えてきます。
顧客の本来的なニーズは意外なところにあるものです。
真の顧客ニーズや潜在ニーズがどこにあるのか?ということが分かれば、あとはそのニーズを満たすために、どのような商品やサービスを展開すれば良いか検討するだけです。
④顧客の購買意思決定プロセスをまとめる
顧客分析を行う際には、顧客の「購買意思決定プロセス」をまとめておくと、何かと役に立ちます。
以下は、マーケティング界の第一人者フィリップ・コトラーが提唱している意思決定モデルです。
意思決定モデル | 意味 |
問題認知 | 喉が渇いた、お腹が減った、車を買い替えたい…といったニーズの自覚 |
情報探索 | 問題解決のための様々なリサーチ行為 |
代替品評価 | ピックアップした選択肢の中から比較検討していくプロセス |
購買決定 | 購買の意思決定 |
購買後の行動 | 口コミや評価、SNS上での拡散など |
人は何かものを買う時に、基本的には以上のようなプロセスを経ることが知られています。
この一連のプロセスを理解しておけば、どのプロセスに対してマーケティング施作を実行したら最も効果的か?といった検討やアプローチが可能になります。
購買意思決定プロセスに関しては、詳細な心理学・経済学的方法論があるので、興味を覚えた方はぜひ調べてみることをおすすめします。
顧客の購買意思決定プロセスをまとめるポイント
ちなみに、購買の意思決定モデルは、個人客と法人客(BtoBビジネス)の場合では若干事情が異なります。
意思決定において、個人の場合は感情的な要素、法人の場合は費用対効果や合理性が重視される傾向にあります。
マーケティング施策を講じる際には、個人と法人の意思決定の違いにも注目したいところです。
マーケティングにおける顧客分析の方法
それでは、いよいよ具体的な顧客分析の方法について解説していきます。
マーケティングにおける顧客分析の方法には実に多種多様なものがあります。それらのうち定評のある代表的な分析手法をご紹介しましょう。
【基本】まずは顧客情報を収集・蓄積
顧客分析を行う場合、顧客情報の収集とある程度の蓄積が必要となります。
主な情報収集の方法としては、直接・電話・インターネットによる「ヒヤリング(聞き取り)調査」、売り場視察やトラッキングの解析による「観察調査」、模擬店を出品する「実験調査」などがあります。
入出荷の記録やPOSデータといった「社内情報」も、必要に応じて有効活用しましょう。
ただし、扱う顧客情報があまりに膨大すぎても効果的な分析ができません。
以下のような分析方法を用いる際には、その都度、必要な情報だけを取捨選択することが肝心です。
①セグメンテーション分析
セグメンテーション分析とは、市場全体を年齢・性別・職種・趣味…といった属性による「セグメント」で分割して、そのセグメント毎に顧客分析していく手法です。
従来型の「マスマーケティング」は、特定のターゲットを定めずに、マスメディアを通じて広く宣伝活動を行うタイプの販売戦略です。
確かに、かつてはマスマーケティングが功を奏した時代もありました。
しかし、顧客のニーズが多様化・細分化している現在は、マスマーケティングに多額の費用をかけたとしても、必ずしもそれに見合う売り上げが期待できるとはかぎりません。
そこで、注目を浴びているのが「セグメンテーション分析」を活用したマーケティングです。
セグメントに分けると、各セグメントに属する顧客の趣向や行動パターンをより正確に把握できるので、効果的なマーケティング施策を打つことができます。
例えば、各種SNS上でプロフィールを公開しているユーザーの中から的(セグメント)を絞って、ピンポイントに広告を出稿する…といったことも可能です。
また、セグメンテーション分析には「人口動態変数」や「地理的変数」、「行動変数」、「心理的変数」などを用いて分析する方法があります。分析方法の詳細は少々専門的な内容になりますが、より細かい分析を行うのであれば採用することをおすすめします。
②RFM分析
RFM分析は顧客全体を「3つの指標でグループ分けする」分析方法です。
セグメンテーション分析と同様に、グループ分けすることで、より効果的なマーケティング戦略が展開できるようになります。3つの指標とは以下の通りです。
- 「Recency」…最近いつ購入したか?
- 「Frequency」…どのくらいの頻度で購入するか?
- 「Monetary」…これまでにいくら購入したか?
上記のような3種類の指標を用いてグループ分けすると、顧客全体を「新規顧客」や「休眠顧客」、「優良顧客」などに分類できます。それぞれのグループ毎に最適なマーケティングプランを提案・実行できるのがメリットです。
RFM分析を活用すれば、顧客全体に同じ施策を試みるよりも格段に効果的なアプローチが可能になるでしょう。RFM分析のデータ管理や集計は、Excelでも十分できるので、ぜひ活用することをおすすめします。
③デシル分析
デシルとは「10分の1」を意味するラテン語です。
デシル分析では、顧客全体を「購入金額の多い順」に「10個のグループに分ける」のが特徴です。
グループ分けの指標は1種類(購入金額の多寡)のみですが、10個のグループに細分化するところがポイントになります。
デシル分析の方法論は意外とシンプルなので、こちらもExcelでデータの管理ができます。デシル分析は、マーケティングの専門知識がなくても効果的に活用できるので、ぜひ導入したいマーケティング手法の一つです。
④行動トレンド分析
行動トレンド分析は、売上の時期による変動を調査する手法です。この分析では、季節ごとの変動、時間帯(朝・昼・夜)の変動、曜日ごとの変動、さらに数年にわたる長期的な変動も対象にします。商品の販売がピークを迎えるタイミングで販促活動を行うことで、売上の向上が期待できます。
ただし、売上が安定している商品やサービスには、この分析手法はあまり適していません。
⑤CTB分析
CTB分析は、以下の3つの指標を基に顧客をグループ化する手法です。
- カテゴリ:商品やサービスの種類
- テイスト:色、模様、形状、サイズなど
- ブランド:企業が展開するブランドやキャラクター
この分析の目的は、顧客のニーズに合わせた商品やサービスの提供です。また、各顧客層が「よく購入する商品」や「あまり購入しない商品」を把握し、よく購入される商品には買いやすい仕組みを整え、売上をさらに伸ばすことができます。購入されない商品には、その魅力を伝えることで、購入を促進することが目指されます。
⑥パイプライン分析
パイプライン分析は、営業活動のプロセスを「パイプ」に見立てて、業務フローを可視化する手法です。これにより、ボトルネックを特定し、改善点を明確にすることができます。業務のどこに問題があるのかが一目でわかるため、適切な対策を講じることが容易になります。
⑦定性情報の分析
定性情報とは、数字で表しにくいが営業において重要な役割を果たす情報です。これらの情報を効果的に活用することで、営業活動の効率化が図れます。
⑧LTV分析
LTV分析は「顧客生涯価値(LTV)」を用いて、顧客が企業にもたらす利益を分析する手法です。この分析により、優良顧客の発見やフォローすべき顧客の特定が可能です。過去のデータと比較することが重要で、LTVの急激な変動は問題の兆候を示すことが多いです。変動があれば原因を追究し、適切な対策を講じることが求められます。
⑨CPM分析
CPM(Customer Portfolio Management)分析とは、顧客を以下の3つの軸で評価する手法です。
- 購入回数
- 購入金額
- 最終購入日からの経過日数
この分析手法は主に、優良顧客の育成(ナーチャリング)を目的として使用されます。
具体的には、CPM分析を利用して顧客の育成段階を把握し、それぞれの段階に応じた施策を講じます。例えば、初回購入後に再購入がない顧客には、再購入の可能性が高い時期を見計らってアプローチすることが重要です。一方で、既に一定の購入回数や購入金額に達している顧客には、顧客体験の向上を図り、さらに優良顧客へと育てる施策が必要です。
⑩ABC分析
ABC分析は、在庫管理や顧客管理に用いられる手法です。売上や利益に基づいて商品や顧客をA(重要)、B(中程度)、C(低重要度)の3つのカテゴリに分類します。例えば、売上の80%を占める上位20%の商品や顧客をAとし、次の30%をB、残りをCとします。これにより、リソースを効率的に配分し、重点的な管理が可能になります。
顧客分析はAIを活用する時代に!?
現在では、顧客分析にAI(人工知能)を取り入れる試みが世界的にトレンド化し、成果を上げています。
具体例としては、AIが顧客データを分析して一人ひとりの好みを予測し、その人に最適なアイテムをセレクトしてくれるアパレルサービスや、店舗に設置したカメラの画像データをAIが分析して、顧客の動きや混み具合などに合わせて店内スペースの最適なレイアウトを提案してくれるサービスなどが試験運用または実用化されています。
これまでは、ソムリエのように広く深い専門知識がないとできなかった高度な業務(レコメンドやアドバイス)を、AIが膨大な顧客データを駆使して代行する時代が、既に到来しつつあるのです。
GOLDEN LISTのご紹介
マーケティングにおける顧客分析の役割りや代表的な方法論を一通り解説してきましたが、以上のような基礎知識があれば十分に有効活用できる優れた顧客分析ツールがあります。
それが、コラボスの「GOLDEN LIST」です。
「COLLABOS GOLDEN LIST」
GOLDEN LISTは、コールセンター向けに最適化された顧客分析システムになります。
ちなみに、このGOLDEN LISTも、先ほどご紹介したような先進のAI技術を採用した画期的なサービスの一つです。
GOLDEN LISTは、御社の顧客データをもとに、AIシステムが「精度の高いリストの作成」を代行するサービスです。このリストさえあれば「いつ、誰に電話やメールを発信すれば良いか?」という最適なタイミングとターゲットが一目瞭然。コストの削減と売り上げアップが同時に実現できるのがメリットです。
RFM分析やデシル分析は、Excelでもデータ管理できますが、やってみると意外と大変なもの。
その点、GOLDEN LISTなら、お預りした顧客データを、AIシステムを駆使して分析するのでお手を煩わせません。
セキュリティ面にも万全を期しているのでご安心ください。
「初期費用・導入費0円」、「PCとネット回線のみで利用可能」、「Excelでダウンロードできる」という手軽さもポイントです。
さらに、GOLDEN LISTは「1レコードにつき20円」からご利用いただけるので、コストパフォーマンスにも優れています。
- 優良顧客を増やしたい…
- 休眠顧客を取り戻したい…
- 離脱顧客を減らしたい…
以上のようなご要望に応えて、最も効果的なリストを最新のAIシステムがご提供する…GOLDEN LISTは、まさに次世代型の顧客分析ツールです。尚、GOLDEN LISTのサービス内容や導入手順に関して、不明な点については、ぜひお問い合わせいただけると幸いです。
アウトバウンド(テレアポ)型のコールセンター業務を最小限の費用で最大限に効率化する「GOLDEN LIST」の導入を、ぜひご検討ください。
この記事の執筆者
コラボスブログ編集部
株式会社コラボスは、2001年に設立。現在、東京・大阪にオフィスを構えており、
960拠点以上のお客様へクラウドサービスを使ったCTIシステムを提供。
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