顧客分析だけじゃない コールセンター運営に必要なデータ分析と活用方法

コールセンターを運営する上で、データ分析による業務改善や売上・利益の向上は欠かせません。しかし、コールセンターには膨大な量の情報があり、分析すべき項目も多く責任者業務の負担になっているのではないでしょうか。
そこで今回は最低限押さえておきたい分析項目とその理由、データ分析に欠かせないCRMシステムとCTIシステムについて詳しく解説していきます。


コールセンター運営に必要なデータ分析とは

コールセンターには、顧客から膨大な量の問い合わせがあり多くのデータを保有しています。データの種類は顧客に関するものと、オペレーターに関するものの2つに分けられます。顧客に関するデータを分析することでニーズの把握ができ新しいビジネスの発展につながるでしょう。また、オペレーターに関するデータを分析することで業務の課題に気付き業務の効率化が行えます。
ここでは分析したデータをコールセンター運営に役立つ、5つのメリットについて詳しく解説していきます。

  • 商品・サービスの向上
  • 顧客ニーズの把握
  • 応対品質の向上
  • 顧客属性の把握
  • 業務の効率化

商品・サービスの向上

コールセンターに蓄積された顧客からの声を分析することで、商品・サービスの向上につながります。コールセンターに寄せられる問い合わせ内容を、「商品・サービスについての相談」と「クレーム」の2つに大きく分類します。
さらに、それぞれ分類された中で、「料金に関する内容」「使用方法に関する内容」など細かく分類していくことで、正確な分析が可能になります。特に顧客から寄せられるクレームについては、商品・サービスの向上に役立ちます。顧客から寄せられるクレーム多くが改善を望んでいるケースだからです。
クレームを細部まで分析することで、商品・サービスに問題点の発見につながります。問題を解決することで、商品・サービスの品質向上や顧客満足度の向上につながるでしょう。

顧客ニーズの把握

コールセンターに寄せられる問い合わせを分析することは、顧客のニーズ把握に役立ちます。寄せられる問い合わせは多岐にわたりますが、主に「料金関連」「機能面」「使用方法」など3つの問い合わせについて細かく分類していきます。分類したデータを分析することで、どの分類の問い合わせが多いのか見えてくるため、顧客のニーズを正確に把握することが可能です。
顧客のニーズを知ることで商品・サービス、営業方法、販売戦略の改善につながり、新たなビジネスチャンスとロイヤルカスタマーの獲得ができるでしょう。

応対品質の向上

音声データを分析することでオペレーターの応対品質の向上にもつながります。
コールセンターでは通常、顧客からの質問に対する回答内容をはじめ、言葉遣いや声のトーン、トーク速度などが適切かを確認するために、顧客とオペレーターの通話を録音しています。
録音した音声を責任者が定期的にチェックし、良い応対の通話も悪い応対の通話もセンター全体へ共有することで、応対品質の向上に役立てることができます。また、ベテランオペレーターの通話を新人オペレーターに聞かせて指導することもでき、スキルの偏りを無くすこともできます。オペレーターのスキルや応対品質を向上することで、顧客満足度の向上にもつながっていくでしょう。

顧客属性の把握

顧客データを分析することで、顧客属性の把握が可能です。コールセンターでは年齢や住所、性別、家族構成、問い合わせ日時などの詳細な個人情報データを蓄積しています。これらの問い合わせ内容や購入履歴を紐づけて分析することで顧客がどのような属性に含まれるのかを把握できます。
顧客の属性を分析することで、
営業方法や商品開発、マーケティング活動に活かせるでしょう。以下に顧客属性の具体的な分析結果の一例をご紹介します。

  • 20代の男性は商品Aの商品購入率が他の年代と比較して高い
  • A県の女性は商品Aと商品Bを合わせて購入する率が他の県と比較して高い
  • 機能面についての問い合わせの8割は30代から

このような結果を基にすれば、顧客にとって使いやすいFAQの設計や、アウトバウンドでの営業戦略に役立てることができます。

業務の効率化

データ分析はコールセンター業務の効率化にも欠かせません。オペレーター毎の応答数や応答時間、後処理時間、成約数などのデータを分析することで、センター内で解決すべき課題が明確になります。例えば特定のオペレーターに入電が偏っている場合は、入電の割り振り変更をすることで負担を軽減することができます。
また、後処理時間が長い場合は入力項目の簡略化、応答時間が長い場合は自動音声の導入など対策を打つことで業務の効率化が可能です。業務の効率化を行うことで、オペレーターの負担も軽減し、品質向上や離職防止につながるでしょう。

データ分析のメリット・デメリット

データ分析することで、コールセンター業務の効率化や応対品質の向上、売上・利益の向上など大きなメリットがあります。その一方、デメリットも存在しています。
データ分析のデメリットとしては、分析に多くの時間と労力が必要なことです。コールセンターのデータ分析にはエクエルを使用して行うことがほとんどで、その作業はSVやマネージャーなど管理職が行います。分析項目も呼量や応対数、処理時間など、分析はもちろん、データ作成には多くの手間と時間の掛かる作業トいえるでしょう。そのため、通常業務と並行して分析作業を行うのは難しく、責任者の大きな負担となり、結果、管理職の離職にもつながっていました。
しかし、近年ではCRMシステムやCTIシステムといった業務効率化や分析ができるシステムの導入が進んでおり、業務負荷を軽減しながらデータ分析ができるようになっています。

データ分析の項目

コールセンターに蓄積されたデータを分析し数値化することで、課題が明確になります。コールセンターには日々多くの問い合わせが寄せられ膨大な量の情報がデータとして蓄積されていきます。単純な問い合わせから重大なクレームまで、さまざまなデータを整理し分析するには、一定の基準を基にデータの項目を分かる必要があります。
しかし、はじめてデータ分析を行う場合、なにをどのように分析したらいいか判断がつかないこともあるのではないでしょうか。そこで、最低限分析すべき項目である、以下3つについて詳しく解説していきます。

  • KPI分析
  • VOC分析
  • 応対内容分析

KPI分析

KPIとは、「Key Performance Indicators」の略称で、「目標達成のための中間指標」のことです。KPI分析は一般企業などでも積極的に活用されている分析法の1つです。コールセンター業界でも多く活用されています。今回はインバウンド業務における代表的なKPI5項目をご紹介します。

  • 応答数
  • 応答率
  • 応答時間
  • 後処理時間
  • 放棄呼

KPIは設定するだけでは意味がありません。KPIで定めた数値と分析して出た数値を比較し可視化することで、指標と現状の差異を把握でき適切な対策を打つ事ができます。
KPIを設定しなかった場合、目標が明確になっていないためどこを改善すべきかわからない、目標に対して問題なく推移しているかがわからないといった問題が発生します。

こうした問題を回避するためにも事前にKPIを設定しておきましょう。
KPIの設定方法としては、測定期間を定めた上で実現可能な数値で明確に設定することが大切です。測定期間が定められておらず、非現実的な数値でKPIを設定してしまうとモチベーションの低下となり目標達成が難しくなるため、事前に認識を合わせた上でKPIを設定しましょう。

VOC分析

VOCとは、「Voice of Customer」の略称で、顧客から寄せられる商品・サービスに対する意見や要望を基にサービスの品質向上を行うことです。VOC分析は主に「顧客満足度」を指標に設定します。分析方法としては、録音した通話の確認や文章化することで、顧客の要望を見える化し商品・サービスの改善点を見つけます。
VOC分析を行うことで顧客のニーズが把握できるため、ニーズにあった商品の開発や営業、マーケティングに活用ができます。その結果、売上や利益、顧客満足度の向上につながるでしょう。VOC分析を行わなければ顧客のニーズが把握できないため、商品やサービスの問題が見つけられないため、売上拡大の機会を失うことにもなりかねません。VOC分析は顧客満足度の向上や売り上げ拡大の重要な分析の1つとなります。

応対内容分析

顧客とオペレーターの通話内容を分析することを対応内容分析と呼んでいます。顧客との通話を記録・分析することで、オペレーターの日常の応対品質やスキルが把握できます。応対内容分析で重要視するのは、「正しい敬語の使い方」や「会話の流れ」「質問に対する回答の適切さ」の3つです。応対品質はダイレクトに顧客満足度に影響します。顧客満足度が低下すると売上の減少につながるため、定期的に応対内容分析を行いオペレーターの品質をチェックし問題がある場合は、研修を取り入れ応対品質の向上を行いましょう。

データ分析を行う上で重要なポイント

データ分析を行う上で押さえておきたい重要なポイントがあります。ポイントを押さえずに分析すると、正しい分析結果を得ることができないため適切な改善が行えません。適切な改善ができなければ業務の効率化や売上向上、顧客満足度の向上につなげることも難しいでしょう。

ここでは分析したデータを最大限に活かすために重要な、以下3つのポイントについて詳しく解説していきます。

  • データの正確性
  • データの可視化
  • データの計測期間

データの正確性

分析の基となるデータの正確性は非常に重要なポイントです。不正確なデータをどれだけ分析しても、正しい結果を得ることができず業務改善にも活かせません。データ収集の方法としては、責任者がエクセルなどを使って手動で行うよりもツールを使って自動的にデータ収集するほうが、正確かつ効率的にデータを取集することができます。

データの可視化

収集した膨大なデータを可視化することで、分析した結果をセンター全体で共有することができます。また、可視化することで目標に対して現在の進捗がどのくらいかを確認することもできます。データの可視化は、エクセル等を使って責任者が手作業で行うと時間と手間が掛かるため、効果が薄れてしまう可能性が高いでしょう。CRMシステムやCTIシステムなどのツールを利用することで、効率的にデータの可視化を行うことができ業務の効率化につながります。

データの計測期間

データ分析において、計測期間は非常に重要です。データの計測期間が短いと仮にその期間に大きなデータの変動があったとしても、一過性のものなのか、今後も継続して生じる変動なのかの判断がつきにくい場合があります。
また、短い期間で計測したデータを基に改善を行うと正しい対策を打てないため、改善効果が見込めず、業績低下にもつながりりかねません。データは長期的に収集し計測することで、精度の高い分析ができ適切な改善対策の立案が可能となります。データの計測期間は、最低でも3か月間の長期的な分析を行いましょう。

データ分析に役立つCRMシステム

CRMシステムとは「Customer Relationship Management(カスタマー・リレーションシップ・マネジメント)」の略称で、顧客関係管理を行うシステムです。企業は顧客情報を収集し分析を行い、1人ひとりのニーズにあった適切なサービスを提供することで売上や利益を上げていきます。
顧客情報の管理や分析は、データが少ないうちは手作業でも行うことは可能です。しかし、企業規模が大きくなるほど顧客の数も増えるため、すべての情報を管理し分析するのは難しいでしょう。そこでCRMシステムを活用することで膨大な量の顧客情報管理を行うことができ、効率的に分析できます。

CRMシステムの基本機能

CRMシステムに顧客情報を入力しデータを集約することで、「顧客がどのような動きをしたのか」を管理することができます。CRMシステムには、管理している顧客情報を基に「データの分析」や「顧客との関係性の維持や向上のアクション」を導き出す機能が備わっています。ここではCRMシステムの基本機能である、以下3つについて詳しく解説していきます。

  • 顧客情報管理
  • 問い合わせ管理
  • アンケート実施

顧客情報管理

顧客情報管理の機能では、顧客の氏名(会社名・担当者名)や年齢、性別、住所、電話番号、メールアドレスなどの基本情報の管理ができます。また、購買日・購買金額・購買頻度などの購買履歴、購買実績を商品別に管理する購入商品の情報管理も可能です。
収集した購買履歴と年齢や性別、住所の情報などを分析することで、顧客のニーズや購買傾向が見えてきます。
ある健康食品のECサイトの購買履歴を分析した結果の1例を挙げると

  • 20代の女性は商品Aを購入している
  • 40代の男性は商品Aと商品Bをセットで購入している

などの傾向が見えてきます。

こうした分析結果を基にコールセンターのトークスクリプトや営業手法、マーケティング戦略の改善を行うことで売上・利益の向上ができるでしょう。

問い合わせ管理

CRMシステムでは、各顧客からの問い合わせやクレームなどの対応履歴を管理することができる問い合わせ管理機能があります。問い合わせ内容を管理することで、対応漏れや二重対応を防ぐことができます。
また、問い合わせの中でも特に多い問い合わせ内容に対してFAQを用意することで、同じ問い合わせへの対応工数を削減できるので、業務の効率化にも役立つでしょう。その他、クレームについては顧客が望む要望が隠れているため、分析することで商品やサービスの改善を行うことができ商品・サービスの品質改善につながります。

アンケート実施

CRMシステムでは、アンケートフォームを作成することで顧客の声をダイレクトに収集することができます。アンケート結果を集計し分析することで、顧客情報や顧客とオペレーターの会話だけでは収集できない情報まで分析が可能です。
アンケートにより、分析した結果を基に顧客の属性分けを行い属性毎に適したトークスクリプトの作成や商品・サービスの販売、マーケティング戦略を組むことができるでしょう。

業務効率に役立つCTIシステムとCRMシステムの連携

CRMシステムを導入し活用することで、責任者業務の負担の1つになっている業務改善や売上・利益向上に欠かせないVOC分析を効率的に行うことができます。顧客情報管理のデータ分析に役立つCRMシステムですが、CTIシステムと連携し使うことで、より高い効果を発揮できます。

CTIシステムとは「Computer Telephony Integration」の略称で、PCと電話機を統合するシステムです。CTIシステムにはKPI分析に役立つレポート機能があります。レポート機能は応答数や応答時間、保留数・応答率・放棄数などの架電・受電に関するさまざまなデータを統計しレポートを作成する機能です。各種データを可視化することができるため、KPI分析をする上で非常に役立ちます。
また、CTIシステムには音声録音機能も備わっているため応対内容分析にも役立ちます。CRMシステムで管理している顧客情報を基にVOC分析を行い、CTIシステムでKPI分析と応対内容分析をすることで効率的にデータ分析ができるでしょう。

>>コラボスフォンのレポート機能の紹介

まとめ

データ分析によるニーズや課題の把握は、業務改善や売上・利益の向上に欠かせません。しかし、コールセンター業務には分析すべき項目が非常に多く、責任者業務の負担の1つになっています。そこで顧客情報のデータ分析に役立つCRMシステムを導入することで、正確なVOC分析ができます。
さらにCTIシステムと連携しレポート機能や音声録音機能を活用することで、KPI分析や応対内容分析も効率的に行うことができ、責任者業務の負担軽減につながるでしょう。
CTIシステムにはオンプレミス型とクラウド型の2種類があり、オンプレミス型はサーバーやインフラ設備の構築費用が必要なため比較的高コストでの導入になります。一方、クラウド型はインターネット上にあるサーバーを利用するため、構築費用が必要なく低コストでの導入が可能です。
コラボスでは、CRMシステムとの連携も可能なクラウド型CTIシステムのコラボスフォン「COLLABOS PHONE」取り扱っています。データ分析による業務改善や売上・利益の向上をお考えの方は、ぜひ一度コラボスまでお問い合わせください。

この記事の執筆者

    コラボスブログ編集部

    株式会社コラボスは、2001年に設立。現在、東京・大阪にオフィスを構えており、
    960拠点以上のお客様へクラウドサービスを使ったCTIシステムを提供。
    本ブログ記事サイトでは、様々なニーズを抱えたお客様のお役に立てるような情報を日々発信。
    会社情報について詳しくはこちら


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