CES(顧客努力指標)とは?重要な理由や計算方法、NPSとの違いを解説
顧客が課題を解決するために要した労力がどれほどであるかを示す「顧客努力指標(CES)」。
この記事では、CESについて、NPSとの違いや、どのように測定すれば良いのか、そして顧客努力指標(CES)を下げるためにどのような対策を行うべきか、わかりやすくご紹介していきます。
既存顧客の維持や解約率を下げる施策をご検討中の方はぜひ、ご参考にしてください。
顧客努力指標(CES)とは何か?
CESとはカスタマーエフォートスコア(CustomerEffortScore)を省略した言葉で、「顧客努力指標」ということを意味します。
顧客努力指標(CES)とは、顧客が自身の課題を解決するため、どれほど労力を要したのかを測る指標です。
顧客が要する努力は少ない方が顧客満足度は高くなります。そのため、この顧客努力指標(CES)を下げることは顧客満足度の上昇に繋がるのです。
CESを計測すると、顧客満足度を上昇させるにあたっての問題点を可視化することができます。
CESが上がってしまう原因
CESが上がってしまう原因として、主に「顧客が行う手順が多い」「企業側が迅速な対応ができていない」といったことが挙げられます。
CESを下げて顧客満足度を上げるためには、顧客にとって何が負担となっているのかをしっかりと知り、対策を取ることが必要となります。
CESが上がってしまう原因について詳しくご紹介しましょう。
顧客が行う手順が多い
顧客がサービスや製品について何か問題を抱えたとき以外にも、そもそもその製品やサービスの使い方がわからなかったり、操作が煩雑でわかりづらいと、課題の解決のために顧客が行う手順が多くなってしまいます。
また、マニュアルなどが確認しにくかったり、問い合わせをする前段階で行う手続きに時間がかかってしまう場合も顧客のストレスや負担が増えることに繋がり、CESが上がる原因となるのです。
迅速な対応ができていない
顧客から企業へ問い合わせがあった際に、企業側の対応が迅速にできていない場合もCESが上がる原因となります。
コールセンターなどに顧客が問い合わせをしたときにオペレータの返答に時間がかかったり、何度も連絡しなくてはならなかったりということがあると、顧客の手を煩わせることになります。
また、社内での連携がうまく取れていない場合にも迅速な対応はしづらくなります。
迅速な対応ができていない場合、顧客の負担やストレスが増えるためCESは上昇するでしょう。
商品の使い方がわかりにくい
利用してるサービスや商品の使い方が分かりにくい、あるいは難しい場合、その問題解決に時間を要すため、顧客ストレスが蓄積します。
また、わかりやすく適切なマニュアルが用意されていない場合、電話やメールでの問い合わせの工数が発生する可能性があり、さらなるストレスの原因となる可能性が高まります。
問い合わせ方法が分かりにくい
まず使い方が分かりにくいなどの問題がすでに発生してるにもかかわらず、その解決策を探す手間がかかった場合(相談窓口の場所がわかりにくいなど)、さらに顧客にとってのストレスは高まっていきます。
また、問い合わせた後も混雑していて電話が繋がらないなど、なかなか回答を得られない状況ができてしまうと、さらなるクレームに繋がることになります。
過剰な営業をされる
勿論、ある程度の営業活動は必要です。常に顧客の課題解決に寄り添い新しい情報を提案していくことで、新たな契約につながることもあります。
ただし、適切なやり方ではない形で強引に営業や契約を迫ったり、顧客の感情を害してしまうような過剰な営業は、逆に顧客に対してストレスを与えてしまい、顧客離れにつながる可能性があります。
CESの測定方法
CESを測定するために一般的な方法は、顧客にアンケートに答えてもらうという方式です。
ストレスや負担を顧客がどの程度感じ取ったのか、通常では7段階程度の選択方式で答えてもらいます。
このようなアンケート方式の他には、顧客から直接ヒアリングを行うという方法や、顧客が製品やサービスを実際に使用している様子を実際に観察するという方法もあります。
いずれの方法でも、顧客が問題を抱えたときに感じる製品やサービスの使いづらさや手間がどの程度のものなのかということを知ることができ、顧客満足度上昇に繋がります。
ここからはCES測定のためのアンケートのポイントや、直接ヒアリングするメリットを見ていきましょう。
アンケート方式
質問例を紹介
アンケート方式での質問例を記載します。
- マニュアルはわかりやすかったか
- どのくらいの頻度でサービスを利用していますか
- サービスを総合的にどのくらい満足していますか
- サービスを今後も利用したいと思いますか
- サービスを他の人にも紹介したいと思いますか
ヒアリング方式
CES(顧客努力スコア)をヒアリング方式で測定する場合、顧客と対話し、サービス利用時の努力について詳しく尋ねます。例えば、「このサービスを利用するのに、どの程度の手間がかかりましたか?」と聞き、顧客の反応を引き出します。得られた情報をもとに、具体的な努力の項目をリスト化し、それぞれの負担度を数値化します。これらの数値の平均を算出することで、CESを導き出します。ヒアリング方式は、より深い顧客の声を反映できる点が特長です。
質問例を紹介
ヒアリング方式での質問例を記載します。
- どんな課題を解決したくてサービスを導入したのか
- サービス導入後、改善したこと、改善できなかったこと
- 今後、サービスに期待すること
CESとリテンション率の関係について
リテンション率とは、サービスにおける定着率や継続率の事を指しています。CESとリテンション率は相関関係となっており、CESが改善されることで、リテンション率は向上します。CESが改善される(数値が低くなる)ことは、顧客の負担が少ない状態を指しているため、リピートや継続する確率が高くなるのです。
NPSとCESの違い
NPSとはネットプロモータースコア(NetPromotorScore)を略した言葉で、日本語では顧客推奨度や、正味推奨者比率と訳されています。
顧客が企業に対してどれほどの愛着を持っているか、信頼しているかということを数値化する指標です。
CESは顧客が課題解決のために要する努力の度合いの指標ですので、混同しやすい言葉ですがNPSとCESはそれぞれ全く異なるものです。
よりシンプルに言い換えるなら、CESは「顧客の努力」、NPSは「顧客の愛着・信頼」を測るための指標といえるでしょう。
CESはなぜ重要?
CESは顧客満足度に直結する指標であるため、顧客維持のためには非常な指標であるといえます。
顧客にとって、何か問題が起こったりわからないことがあった際、多くの努力を必要とするのは好ましいことではありません。
例えば、購入した製品に不具合が生じた場合、カスタマーセンターに問い合わせをしたり、企業のホームページを確認して問題解決を図ります。
その際、対応に不備があったり、問題解決のためのページに辿り着きにくい場合は、顧客に負担がかかり顧客満足度の低下に繋がる恐れがあるのです。
そういった顧客にかかる負担を見える化することが、改善の第一歩となるためCESは重要な要素となります。
顧客ロイヤリティ向上
CESを活用することで、顧客ロイヤリティの向上につなげることができます。顧客の不満を認識、問題解決に注力できるため、顧客の負担が少ない状態を目指すことができ、顧客ロイヤリティの向上に繋げることができるのです。
顧客ロイヤリティを向上させる為の方法はほかにもあります。例えば新規のサービスや機能を提供することによって向上を測る方法です。しかしこの方法ですと、コストだけがかかってしまい、求めていたような効果を得られない可能性があります。顧客は期待以上の新機能性や新サービス性よりも、いかにストレスなく利用できるかを優先する傾向にあるため、CESを活用する方が顧客満足度の向上には効果的といえるでしょう。
優れた顧客体験(CX)に繋がる
CESを活用することによって、優れた顧客体験(ストレス値の低い顧客体験)を提供できるようになります。CESの改善は、顧客の不満に直接アプローチをかけるため、顧客の負担を無くすことができます。サービスや機能性が優れているだけでは、優れた顧客体験の提供は難しいといえるでしょう。そのため、CESの活用が重要なのです。
CESを下げる方法
CESを下げる手段として以下の方法が挙げられます。
・簡単な問題は自己解決できるようにする
・気軽に問い合わせられる仕組みを作る
顧客にとっては、わざわざ時間をかけて企業に問い合わせたり、検索したりすること自体が多くの場合面倒で負担に感じます。
その手間を軽減する仕組みを作ることでCESを下げることが可能です。
簡単な問題は自己解決できるようにする
顧客が製品やサービスを利用していて何かわからないことがあった場合、簡単な問題ならば自己解決できるようなシステムがあると良いでしょう。
例えばFAQシステムを導入してよくある質問を網羅したFAQページやチャットボットを設置する方法があります。
このようなシステムを導入し、顧客の持つ簡単な問題を自己解決できるようにすると、結果としてCESが下がることに繋がります。
気軽に問い合わせられる仕組みを作る
顧客が企業に気軽に問い合わせられる仕組みを作ることも重要です。
コールセンター業界では慢性的な人手不足が問題となっており、多くのコールセンターでは繋がりにくさが課題となっています。
繋がりづらいコールセンターは顧客にとって大きなストレスを与えるためCESの低下は避けられません。
このような場合では例えば、問い合わせの際に自動音声(IVR)でガイダンスを流し、サービスや製品の固有番号をプッシュしてもらい、用件ごとに対応した部署に振り分ける(ACD)などを活用し、コールセンターの運営を効率化することが、解決策として挙げられます。
また、何往復もやり取りが必要となる場合には、次の連絡までどのくらいかかるのかを顧客が知ることができる仕組みを作っておくと顧客が待ち時間に抱えるストレスが軽減され、気軽に問い合わせをしやすくなります。
また、メールフォームなどの問い合わせ窓口を用意している場合でも、自分の名前や住所の半角カナ入力や、どの時期にサービスや製品を購入したのかなど、入力が必要な情報が多い場合も改善が必要といえるでしょう。
オペレーターの対応の改善
オペレーターに対し教育や、研修を行い、対応改善を図ることでCESの低下を見込むことができます。オペレーターの理解度が低いことで、顧客をお待たせしてしまう可能性があるため、サービスや商品に対するマニュアルを整備する必要があります。
またマニュアルを整備することで、顧客からの問い合わせにもスムーズに対応することができます。
FAQページを充実させる
顧客の声をもとに、FAQページを作成することで、顧客自身で課題解決できる可能性が高まるので、その分のオペレーターの工数を削減することができます。
またFAQツールなどを用いて内容を整備していくことで、コールセンターの工数削減や、オペレーターにとってのマニュアルとして活用することも可能になります。
オンボーディングやチュートリアルの提供
オンボーディングやチュートリアルを提供することも、CESを下げる方ほの一つです。サービスを利用するときに、操作方法が不明瞭だったり、どの機能をどのように活用したらいいのかわからないような状態は、顧客に対し大きなストレスを与えることになります。そこでオンボーディングやチュートリアルを提供することで、そのストレスを解消、CESを下げることが期待できます。
CESの改善にはシステム導入がおすすめ
顧客が問題解決の際にどの程度負担を抱えているのかという指標であるCESは、下げることで顧客満足度に繋がります。
そして、CESを下げることは既存顧客の維持に直結するため、企業の業績にも繋がる重要な要素です。
CESを効率的かつ効果的に改善するためにはシステムの導入をおすすめします。
電話対応であればどの程度の時間を要したか、初回で問題が解決できたかどうかなど、顧客情報を収集するCRM。
着信振り分けや自動音声ガイダンスなど、コールセンターの運営より効率化できるCTI/PBX。
顧客の自己解決を促すFAQツール、チャットボット。
以上のようなシステムを活用することで、CESを低下させることが期待できます。
CES改善に便利なシステムのご紹介
これまで、CESについて紹介してきましたが、株式会社コラボスでは、CESの測定やCESの改善におすすめのコールセンターシステムをご用意しています。
今回はその中でも「CollasQ」「@nyplace」をご紹介します。
おすすめのクラウド型FAQシステム「CollasQ」
コラボスの新サービスである「CollasQ」。
顧客に自己解決を促すFAQシステムは、CES改善に便利です。お問い合わせの内容をクラウドにまとめて保存し、社内で共有できることによって、お問い合わせ対応の効率化にも繋がります。
顧客のCES改善に繋がるだけでなく、コールセンター内の業務効率化や人材の定着化も図れます。
コールセンターの効率化に最適なPBX/CTIシステム「VLOOM」
コラボスの主力サービスである「VLOOM」。
着信振り分け機能(ACD)や音声自動応答機能(IVR)など、コールセンターに必要な機能が全て入ったシステムです。
このような機能を導入することで、顧客がたらい回しにされたり、長い時間待たされたりすることが少なくなり、CESの改善に貢献できるシステムとなっています。
コールセンターシステムについての相談も無料で行っておりますので、ぜひ一度コラボスまでお問い合わせください。
まとめ
顧客努力指標(CES)は、顧客が課題解決に要した労力を示す指標で、低いほど顧客満足度が高まります。
CESが上がる原因には、手続きの複雑さや迅速な対応の欠如があります。CESを測定する方法として、アンケートやヒアリングが一般的です。CESを下げるためには、自己解決を促す仕組みや迅速な問い合わせ対応を整備することが重要です。
この記事の執筆者
コラボスブログ編集部
株式会社コラボスは、2001年に設立。現在、東京・大阪にオフィスを構えており、
960拠点以上のお客様へクラウドサービスを使ったCTIシステムを提供。
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