コールセンターのACDとは?機能やメリット、導入事例についてもご紹介

コールセンター業務の効率化、省コスト化を検討中なものの、具体的にどこから着手すべきか迷うこともあるのではないでしょうか。
この記事では、コールセンターの業務改善に役立つ可能性が高い、ACDについて紹介します。

ACDは以前からあるソリューションですが、近年クラウドに対応するなど、再び注目を集めるソリューションとなっています。
今回はACDの意味や使い方のほか、メリットなどをわかりやすく解説していきます。

コールセンターにおけるACD(着信呼自動分配装置)とは?

ACDはAutomatic Call Distributorの頭文字を取った略語で、日本語では着信呼自動分配装置とも呼ばれます。その役割は、前もって設定しておいたルールに従い、顧客からの電話を、各オペレーターに振り分けるというものです。

元々は、多数のオペレーターに対して均等に電話を割り当てるために開発されたといわれます。オペレーターが各自で判断している現場では、一定のスタッフに負担が集中したり、一人だけ待機時間が長くなるなどの不平等があり、改善の必要性があったのです。

現在ACDは更に進歩しており、能力の高いスタッフに優先して割り当てることができるなど、生産性の向上にもつなげることが可能となっています。

ACDの主な特徴

ACDの特徴は、担当分野別に割り当てられたオペレータグループを特定し、そのグループ内で空きのあるオペレータに着信させるという機能です。
ACD着信では、各コールセンター内で、オペレータの入電回数ができるだけ平均的に入電できるように調整することが可能となります。

ACD機能には、待ち時間ガイダンスやスキルベースルーティング、ランダムルーティングやオペレーターステータス等、様々な付随する機能があります。
そのため、システム選定時に、これらの機能にて必要な機能を選別する必要があります。

例えば、よく利用される機能としては、スキルルーティングやスキルグループ設定の機能があり、これを行う事で、適切なスキルを持つオペレータに、電話を繋ぐことが可能になります。顧客にとっては待ち時間の削減も可能となり、顧客満足度の工場や、コールセンターの対応効率の向上にも繋がります。

ACDの導入費用

ACDの導入に必要な費用は初期導入費用と月額費用です。月額料金は一般的にオペレーター1人あたりの料金となります。

初期導入費用については、購入する企業の状況や、提供元の企業の価格体系により大きく異なります。ACDの各機能を選択して導入できる企業や、ワンセット一式で格安に導入できる企業など、各社の特徴があります。平均相場としては1万円から10万円くらいの間であることが多いです。

注意点として、提供元によりACD機能には大きな差があります。ACDには様々な機能がありますので、コールセンターの特徴に適した機能を搭載しているACDを選ぶことが大事です。
なおクラウド型のACDは、回線使用料もかかりますので、注意が必要となります。

ACDの費用が変動するポイント

ACDの費用が変動するのは、前述の通り、各システムで利用可能な機能が異なることが影響します。
単純に空きのあるオペレーターに繋ぐ機能のみを保持しているACD機能もあれば、
設定されている各オペレーターの入電数を制御したり、
入電可能なオペレータをスキルで絞ったりなど、様々あります。

これらの必要機能とコストのバランスを考えて選定することをお勧めします。

ACDの具体的な機能

ここからは、実際にACDにはどのような機能が備わっているのか、ご紹介していきます。
それぞれの機能を上手に活用することで、さまざまな問題の解決に役立つでしょう。

着信振り分け機能

ACDの着信振り分けのルールは大きく3つのタイプに分類することができます。それぞれ詳しく確認していきましょう。

ランダムルーティング

割り当てに規則性を持たせないタイプです。
通話可能なオペレーターが複数いるとして、誰に割り当てるかをシステムが判断するのではなく、ランダムに決めてしまいます。

スキルベースルーティング

顧客が必要とするスキルを習得しているオペレーターに、優先して割り当てるタイプです。
専門性が必要な業務だけでなく、日本語か外国語かで対応するスタッフを分けたい時などに利用されます。

積滞ルーティング(待ち時間ルーティング)

通話を終えた後、待機している時間が最も長いオペレーターを探して、通話をつなげるタイプです。
応対件数が均等になりやすいため、オペレーターの負担軽減につながります。

インテリジェントキュー

通話の予約が何人になっているのかを、読み上げる機能です。
待機状態の顧客が何人いるかを把握できますので、対応の計画を立てる際の目安になります。

待機時間ガイダンス

待機時間ガイダンスとは、電話が込み合っている際に説く耳にする「ただいま電話が大変混雑しています。順番におつなぎいたしますので今しばらくお待ちください」のようなガイダンスを流す機能です。(ガイダンスを流す間隔、内容は自由に設定できます)

お客様からのお電話の中にはWebや店舗、郵便等で対応可能なものもあるかと思います。FAQを記載しているホームページのご案内を自動音声でお伝えすることも可能です。お客様にとっては、「お待ちください」というメッセージとBGMが延々と流れているよりは待機ストレスが軽減され、かつWeb等で応対可能であれば電話でのお問い合わせをやめるお客様も出てきますので、入電を減らす効果も期待できます。

オペレーターステータス

オペレーターは人間ですから、休憩や他のメンバーとの情報共有や面談、研修の時間も必要です。そのためオペレーターが「入電に応対可能か」を表示する「オペレーターステータス」機能があります。

ステータスはオペレーターが自分で設定できます。オペレーターの体調や業務量等の現状に踏まえた報告が可能ですので、離籍時や別業務時の架電がなくなりオペレーターの精神的安心感につながります。
また、当ステータスは、管理者にとってもオペレーターの勤務時間、休憩や離席状況の把握ができるため、稼働率管理などの参考値として活用できます。

スケジュール制御

コールセンター業務の大半は受付時間があるかと思います。受付時間外に頂戴したお電に対して自動的に音声ガイダンスを流す機能もACDにはあります。営業時間を踏まえて導入・設定することで、受付時間外にかかってくる電話に対し自動音声でのご案内が可能です。

受付時間外のお電話は急ぎのご用件であることも多々あります。適切なガイダンスを流すことで、お客様満足度の低下リスクを削減できます。

オーバーフロー転送

ACDの機能の1つに「オーバーフロー転送」があります。一定時間以上、待機させてしまっている電話を別の担当や部門に回付する機能です。
コールセンターの応対可能な電話数を超過してしまった際に、一時的に応対可能な別担当・部門に電話を転送し、待機しているお客様の対応者を増やし、お客様満足度低下リスクを削減できる機能です。

「一時的に転送される人」は問い合わせ応対可能なスキルを持ち合わせる必要がありますので、一般的に営業部門や製品主管部門、管理職を設定されています。

コールセンターにACDを導入するメリット

ACDはコールセンター業務を効率化させることが可能です。ここでは、ACDが具体的にどのように役立つか、メリットを紹介していきます。

たらい回しの防止

担当ではない部署に通話があった場合、オペレーターが正しい部署にかけなおすように伝えることがあります。このようなたらい回しが多く発生すると、顧客満足度が低下するだけでなく、コールセンター業務の効率性も低下しかねません。

ACDを活用すれば、各部署に適切に通話を分配することで、たらい回しの解消に役立ちます。

顧客の待ち時間の削減

顧客が電話をかける際には、基本的に早い対応を求めています。

ACDはルールを上手く設定することで、対応可能なオペレーターをスムーズに見つけて、素早く通話をつなげられます。結果的に顧客の待ち時間が短縮され、対応の品質や信頼性の向上にも寄与するのです。

特定のオペレーターに入電が集中しない

ACDの導入メリットはコールセンターの運営側にもあります。

着信対応数が少ないオペレーターへ優先して入電させることで、特定のオペレーターのみに通話が集中してしまう事態を避け、労働生産性を均等化でき、オペレーター間の不公平感を防ぐことが可能です。各オペレーターの対応量が公平かは、オペレーターは常に敏感に感じています。対応量をできるだけ公平に納得感がある状態にすることは、コールセンターの雰囲気をより良くし、コールセンター及びお客様に大きなメリットをもたらすでしょう。

課題解決時間を減らすことができる

オペレーターのスキルに応じ、対応する担当者を優先して割り振る設定もACDでは可能です。
これにより、対応に必要なスキルを持つオペレーターが最初から対応することができるため、専門スキルを持つ担当者への転送時間や、担当者多忙のための対応遅延によるお客様満足度低下リスクを削減できます。

新人オペレーターの研修に活用できる

前述の「オペレーターのスキルに応じて対応する担当者を優先して割り振る設定」を新人オペレーター研修に活用することもできます。
簡易な受付業務のみに限定、研修で習得した業務に限定等、難易度の低い問い合わせから対応することで、少しずつ業務に慣れてもらうことが可能です。

ACDと外部システムとの連携とは?

ACDはほかのソリューションと組み合わせることで、更に能率的な運用が可能となります。コールセンター業務に役立つシステムは複数あるので、連携できるものは一通り導入を検討しておきましょう。

 

システム名 機能・用途
PBX 電話の交換機を企業内に設けるシステム。外線を振り分けたり、内線通話が利用可能

関連記事:5分でわかる!PBXとは?仕組みや選び方を解説

CTI PBXや顧客管理システム、営業支援ツールなど、多彩なシステムをスマートに連携させるために利用するソリューション。

関連記事:クラウド型CTIシステムの仕組みとは?オンプレ型の比較と選び方を紹介

CRM 顧客管理システムと呼ばれ、クライアントの取引実績や対応状況などを管理。顧客の分析や対応判断に活用可能。

関連記事:CRMシステムとは?基本情報や選び方をおさらい

IVR 音声アナウンスを流すシステム。顧客に番号をプッシュするようアナウンスし、通話先を割り当てることなどが可能

関連記事:IVR(自動応答電話システム)とは?仕組みや費用、導入事例を丸ごと解説

上記のシステムを導入する際は、1社でまとめて扱っている業者に相談すると、最初からシステム同士の相性が良いものを用意できるため無駄がありません。

後から付け足そうとすると、何度もセットアップ作業を行うことになったりと、時間や費用に無駄が生じやすいので注意が必要です。

ACDを導入する際のポイント

ACDは便利なシステムですが、導入する際には以下の2点をよく確認することをおすすめします。

  • 導入形態
  • 連携性

それぞれ詳しくみていきましょう。

クラウド型かオンプレミス型か

自社にハードやソフトを導入するオンプレミス型に対し、クラウド型は専用設備が不要でコストを低減できるのがメリットです。
セットアップのための時間も1ヶ月程度と短い傾向があり、ソフトのアップデート費用がかからない点も特徴となります。

ほかシステムと連携可能か

ACDの導入を検討される事業規模ですと、今後、コールセンターの包括的な改善が役に立つ可能性が高いです。そのためにはPBXやIVRを導入し、それぞれを連携させることが重要となります。

従ってACDを導入する際にはほかのシステムとの親和性を確認することが大切です。

振り分け設定の定期的な確認

導入後の振り分け設定においては、定期的な確認も大切です。ACDは導入して初期設定が完了したら終わりではなく、機能を使いこなせているかも確認し、
稼働数に見合うACD振り分けが出来ているかについても確認する必要があります。
また、休み明けやセール期間などの繁忙期の従業員数や効率化に注力するなど、振り分けの見直しも重要です。

コールセンターのACDの導入事例

ACDを導入することで、たらい回しの帽子や顧客の待ち時間の削減など、さまざまなメリットが発生しますが、具体的にどのような効果が期待できるのでしょうか。

実際にACDを導入した企業の実例をみていきましょう。

マツダパーツ株式会社

自動車製造大手として知られる、マツダグループの一角を担うのがマツダパーツ株式会社。マツダの純正パーツを正規販売店や自動車修理業者などに提供するため、通話の数は膨大となり、オペレーターの負担は非常に大きなものでした。

そこでコラボスが提供するACDを含む一連のコールセンターシステムを導入して、国内の多数の拠点のコールセンターを統合しました。

その結果オペレーターの負担が軽減し、作業効率の向上に成功しただけでなく、各オペレーターの応対品質の向上にも成功し、より「早く」、より「正確に」、より「丁寧な」顧客対応が実現しました。

コールセンターにACDを導入するならコラボス

ACDを導入する際には、コストの低減が達成できるのかや、機能性は充実しているかはチェックしておきたいポイントです。

また、短期間でスムーズにシステム構築を行うことも重要でしょう。コラボスではクラウド型のコールセンターシステムのパイオニアとして、さまざまな業界でコールセンター運営の改善をお手伝いしてきています。

まとめ

ACDとは、前もって設定しておいたルールに従い、顧客からの電話を、各オペレーターに振り分ける仕組みのことを指します。本記事では、ACDのメリットやACDの機能、導入の際のポイントについてご案内してきました。コールセンターのサービス向上のためにACDの導入をご検討中の方はぜひ、コラボスまでお問い合わせください。

この記事の執筆者

コラボスブログ編集部

株式会社コラボスは、2001年に設立。現在、東京・大阪にオフィスを構えており、
960拠点以上のお客様へクラウドサービスを使ったCTIシステムを提供。
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