2020/08/26
マネジメント
コールセンターの研修は何をする?内容や流れ、成功のためのポイントを徹底解説
コールセンターの対応力強化に欠かせないのがオペレーターの能力を引き上げるコールセンター研修です。
多くのコールセンターでは実務に必要な知識と技能の習得を目指して研修を行っています。研修内容や期間はそれぞれ異なりますが、もし研修がなければコールセンター業務は立ち行きません。
今回は、オペレーターの対応品質を底上げするコールセンター研修のポイントを紹介します。
目次
コールセンターのオペレーター研修では何をするのか
コールセンターのオペレーター教育の重要性
企業のコールセンターはオペレーター育成を目的とした研修を実施しています。
オペレーター業務には専門の知識と技術が求められます。研修なしに現場に投入しても仕事はこなせません。
オペレーターへ研修を通じ必要な知識と技術を習得させることで、トラブルのないセンター運営が実現されます。
コールセンター研修の主たる目的は以下の3つです。
対応品質の均一化
お客様との会話における品質は非常に重要です。コールセンターの評価に関わるだけでなく業績にも大きく影響します。オペレーターにとっては何気ないやりとりでも、会話の内容によっては評判や品質を落としかねません。会話のNGルール、所作などを徹底させ、品質を均一化する教育が必要です。
顧客満足度の向上
コールセンターに対しての顧客満足度は問い合わせへの対応が非常に重要であり、オペレーターへは顧客満足度を意識した教育が不可欠です。サポートに対する満足度自体が商品やサービスを判断する基準にもなり得ます。商品やサービスへのトラブルが発生した場合や、利用方法がわからないなどの問い合わせには、できる限り素早く、そして的確に回答できる環境を作っておく必要があります。
オペレーターのストレス軽減
コールセンターにおいてクレーム対応というものは避けられません。またオペレーターが受けるはクレーム対応の中には、正当な理由のものだけでなく、理不尽なものも少なくありません。クレーム対応のストレスでオペレーターの方が辞めてしまわないよう、ストレスマネジメントの教育も重要となります。休憩時間を有効に活用する方法や、気持ちの切り替え方を研修することで、人離れ防止といった職場環境の維持が必要です。
コールセンターの理想のオペレーター像とは?
イレギュラー対応など、問題解決能力が高い
お客様とのやりとりには時に突拍子もない会話となることがあるため、マニュアルにはないイレギュラーな対応でも、相手の伝えたい内容、問題を推測し、素早く解決に導く能力を持つオペレーターであることが理想的です。柔軟な対応には豊富な経験が必要ですがロールプレイング研修などを積極的に行い、未経験や経験の浅いオペレーターでも柔軟に対応する力を身につけさせることが重要です。
顧客に寄り添う共感力がある
コールセンターへ連絡をされる方にはトラブルなど、不満や不快な思いをされて連絡をされる方がいます。トラブルの内容にスムーズに対応できなかったり、連絡された方の状況について理解して対応できないと余計に不快な思いをさせてしまいます。
オペレーターの方にはしっかり共感力のスキルを身に付けさせ、お客様に不快な思いをさせないよう、お客様の立場に立った対応を心掛けさせるべきでしょう。
自ら考え、PDCAを回せる
アウトバウンドをするコールセンターにおいて、ただ単にマニュアル通りに架電をしていてもよい結果を出すことはできません。架電結果を見直し、都度都度修正をするなど、しっかりとPDCAを回しつづけることでより良い結果が出すことが可能となります。
履歴の入力まで丁寧に取り組む
インバウンドのコールセンターでは、お客様とのやりとりをしっかりセンター内で共有できていることが非常に重要です。お客様からすると、問い合わせ先は一つであり、前回に会話した内容は、既に会話済みの内容として、話が進むことも少なくありません。オペレーターは受電が終わり次第、後処理の時間として、お客様とのやりとりを丁寧に履歴として残すことで、次回に問い合わせたお客様とのやりとりがスムーズになり、顧客満足度を上げることができるでしょう。
コールセンターのオペレーター研修の流れ
コールセンター研修は基礎研修から始まって業務の詳しい内容についての研修、実践的な研修という流れで進められるのが一般的です。
研修を段階分けすることで初めての人にも理解しやすく、より効率的な人材育成につながる研修を行います。
基礎研修
コールセンター研修は初歩的な内容を教える基礎研修からスタートします。
基礎研修では必要な知識について教える座学とお客様とのやりとりの基本となる応対技能の2つの内容について教育が行われます。
座学では業務マニュアルを教本にオペレーターとして必要な基本知識について講義が行われます。
会社概要や取り扱う製品やサービスについての基本的知識、応対の際のルールなど業務を行うに当たり最低限必要な知識の習得を目指します。
応対技能研修では電話応答を想定した会話技能について教育が行われます。
電話の受け方と切り方、正しい敬語の使い方など顧客との電話で正しくやりとりできるよう技能を身につけることを目指して実践的な研修を行います。
その他にもメール応対を想定した文書作成、基本的なビジネスマナーなど社会人として求められる能力についての研修も行われます。
業務の研修
基礎研修修了後に行われるのが業務についてより詳しい内容に踏み込んだ業務研修です。業務研修では現場の実例を参考により実践的な内容の研修が行われます。
よく行われるのが教材として実際にコールセンターに寄せられた問い合わせ録音を使う研修です。
実例を参考にすることで、顧客が現場でどのように問い合わせをしてくるのか、先輩オペレーターはどのように対応していたのか、ケースに応じた最適な応答はなにか、など実践的な内容は実際の業務ですぐに役立つ即効性の高い研修です。
業務で使用するツールやシステムの使い方についての研修も重要です。
基礎的な操作に加えトラブルが合った時の対処方法など現場での業務で混乱しないよう実務を想定した研修を行います。
他にも報告書やレポートの書き方指導など社内業務で必要となる内容についても研修対象です。
研修中にわからなかったことについて質問に答えたり相談にのったりなど、脱落者が出ないようにしっかりサポートすることも業務研修の一環として重要視されています。
セキュリティに関する研修
近年のコールセンター研修で特に重要視されているのがセキュリティに関する研修です。
セキュリティ意識の向上はコールセンターにおける重要課題です。
コールセンターのオペレーターは業務で重要機密に近い情報を取り扱う機会が少なくありません。
十分なセキュリティが保たれていなければ情報漏洩など深刻な被害につながるトラブルが発生する恐れがあります。
セキュリティ研修では法律や社則についての教育を通じた遵法意識の徹底、機密情報の取り扱い方法、不審な電話や人物に対する適切な対処など、コールセンター業務に求められるセキュリティ意識や実践的な対策について教育が行われます。
最新ニュースや事例を用いた、より実践的なセキュリティ研修を行い、トラブルを未然に防止することも目的のひとつです。
ロールプレイング研修
ロールプレイング研修は、顧客からの問い合わせに対する適切な対応方法を身につけるための研修です。問い合わせやクレーム対応などのシナリオを想定し、トークスクリプトに基づいて同僚や先輩社員とやり取りを練習します。この研修では、基本的な対応や適切な言葉遣いを目指し、繰り返し練習することでオペレーターのスキル向上を図ります。
研修では、トークスクリプトの読み方をはじめ、フィードバックや改善点の指摘を通じて自己成長を促します。こうした研修を通じて、従業員は実践的な顧客対応能力を向上させると同時に、チーム全体のサービス品質向上にも貢献します。
クレーム対応に関する研修
クレーム対応に関する研修は、クレームを受けた場合に適切で迅速な対応を行うことを学ぶためにも必要です。研修では、基本姿勢や対応方法、謝罪の仕方などを学びます。これにより、顧客の不満を解消し、良好な関係を築くことができます。また、冷静な対応を通じて、クレームが解決するまでのプロセスを円滑に進めることができます。
さらに、問い合わせのパターン別の対応方法や初期対応、適切な謝罪の方法などを学ぶことで、幅広い状況に対応できるスキルを身につけます。結果として、顧客満足度の向上や顧客ロイヤルティの向上につながります。
OJT
ひと通りの研修が終了した後はOJTによる教育へと移ります。OJTとは(On the Job Training)の略で日本語に訳すと「実務研修」という意味になります。
研修を通じて実務に必要な知識と技能を身につけたと判断された研修生にはコールセンターでの実務を通じた研修が行われます。
OJTではまず先輩オペレーターによる実務の様子を見ることから始まります。
実務を見ていて感じた点や疑問点などについて質問をし、その後は指導担当者の指導の下で実際にオペレーター業務を行います。
研修中とはいえ顧客から見ればオペレーターなのですから責任ある業務が求められます。
業務完了後は実務を通じてわかった問題点や反省点などについて担当者から指導が行われます。
このような「やってみせる(Show)」「解説する(Tell)」「行動する(Do)」「評価する(Check)」の流れを研修期間中繰り返し、実践力を育成します。
コールセンターの研修に必要な期間の目安
コールセンター研修期間は企業や業務内容、オペレーターの経験レベルによって変わります。新人オペレーターは通常3〜6ヶ月の期間が必要で、座学で学んだ知識を実践しながらスキルを磨きます。一方、ベテランオペレーターは短期間の研修が適していますが、それでも1ヶ月程度の期間が推奨されます。
コールセンターのオペレーター研修で身に付くスキル
理想のオペレーター像はどのようなものかをご理解いただけたでしょうか。
では、理想のオペレーターに向けての教育においてポイントを押さえておきましょう。
応対スピードの向上
応答スピードは顧客満足度に高く影響を及ぼします。質問内容に素早く答えることができれば相手からの心象がよくなり、顧客満足度を向上させることができるでしょう。応答スピードはオペレーターの経験値によって差がつきやすい部分であり、新人など経験値の浅いオペレーターのためには、教育に力を入れることも当然ですが、よくある質問のFAQ設置やマニュアルの整備などが重要となるでしょう。
応対スキル
顧客満足度を上げるには応対スピードの向上だけでなく、その場においての対応、つまり会話能力などの応対スキルを上げる教育も欠かせません。お客様との会話において会話スピードやトーン、言葉使いを変えるだけでも、印象が良くも悪くもなります。基本的な語調や言葉遣いをマニュアル化し指導することが重要です。
クレーム対応スキル
顧客の中には理不尽なクレームを伝えてくる方もいるでしょう。しかし、そのようなクレームに対して、適当に返答をしてしまうと余計に対応が困難に陥ってしまう結果となります。クレームを伝えてくる相手にはどのような立場で接すればよいのか、そのような場合におけるコミュニケーションの取り方について、しっかりと教育することが必要です。
ストレスケア
コールセンターでは、クレーム対応などからストレスを感じ、辞職をしてしまうオペレーターの方が非常に多いです。優秀なオペレーターがストレスの理由で辞職してしまうことのないよう、ストレスに対しての付き合い方についても教育を行いましょう。
また、日頃からストレスを与えない環境づくりをすることなど、周囲からのサポートをしっかりと行うことも重要です。
オペレーターの対応品質を上げる研修のポイント
コールセンター研修はただこなせばいいというものではありません。
オペレーターの対応品質を上げるような理想的な研修を実行するにはポイントを抑えた指導が必要です。ほんの少しの工夫で研修の効果は大きく変わります。
指導する側も受ける側もメリットを実感できる研修が理想的な研修のあり方です。
ロールプレイングのポイント
コールセンター研修でよく用いられるのがロールプレイングという手法です。
ロールプレイングとは職場や現場で想定される場面を仮想的に設定し業務における役割を担当することで実践に近いスキルの育成を目指す手法のひとつです。
ロールプレイング研修のポイントは課題の明確化です。
現場を想定する際にどのような課題を設定するのかを明確にしておかないと研修の効果は半減してしまいます。
質問の意図がわかりにくい顧客の要望を的確にすくい上げる応対、クレーマーへの対応、十分な知識のない事柄について質問された際の対処など、はっきりした課題が設定されていると参加者もやりやすくなります。
また、ロールプレイング研修は事前の設定がきっちりしていないとグダグダになってしまい意味がありません。参加者が戸惑うことのないよう事前準備をきちんとしておきましょう。
OJTのポイント
現場での実務を通じて研修を行うOJTでは研修生と指導担当者の関係性が重要なポイントです。
研修生と指導担当者の相性が悪いと、一方的に考え方を押し付けたり勝手な行動をとったりなど、OJTで目指す実践的な研修とはかけ離れたトラブルが発生してしまいます。
研修生と指導担当者のコンビをローテーションで変更するなどして両者の関係が近くなり過ぎないように配慮しましょう。
指導担当者の能力により育成にばらつきが出る点にも考慮が必要です。
監督者の目が行き届かないと能力不足の指導担当者により優秀な人材が潰されてしまう可能性もあります。
全体にしっかり目を光らせトラブルが起きないか確認を怠らないようにしてください。
不満を早期にすくい上げられるよう責任者に気軽に話ができる サポート体制も重要です。
コールセンターのオペレーター教育の注意点
マニュアルを用意する
オペレーターの教育においてマニュアルの準備は欠かせません。トークスクリプトやFAQなどお客様の応対時におけるマニュアルを用意するセンターは少なくありませんが、オペレーターの教育におけるマニュアルを欠かすと、いざという時に適切な応対が難しくなります。特に初期研修においての教育マニュアルは必ず用意しておく方が良いでしょう。SVや管理者の方がいなくても自己解決できるオペレーターに教育することでコールセンターの生産性や顧客満足度向上にもつながります。
モニタリングを行い、フィードバックをする
オペレーターの教育においてモニタリングを実施することも重要です。オペレーターの現在の能力を把握し、課題を見つけてあげるなどフィードバックをしてあげることで的確な教育をさせることが可能となります。また、モニタリングはSVや管理者だけがするのではなく、オペレーター同士でのモニタリングを実施することで、先輩オペレーターがどのように会話をしているのか聞き、実践的なやりとりの学習ができるため、コールセンター全体の品質向上につながるでしょう。
コールセンターのオペレーター教育・品質向上を効率的に行うには?
コールセンターにおいてシステム導入を検討する理由は様々あるかと思いますが、オペレーターの教育、そして品質の向上を効率よく行うには、コールセンターのシステムとして一般的なモニタリング、ウィスパリングなどのシステムが必要不可欠です。オペレーターの教育に課題を持っているコールセンターはシステムの導入を検討することがセンターの品質向上の近道となるでしょう。
コラボスのコールセンターシステムがおすすめ
コラボスでは、コールセンターにおいて必要不可欠な機能を全て兼ね備えているクラウドCTIシステム「COLLABOS PHONE」を提供しております。クラウドサービスのため導入スピードが速く、どこでも利用でき、低コスト、そして標準機能としてオペレーターの教育に必要不可欠なモニタリング機能、ウィスパリング機能(コーチ機能)を搭載しているため、皆様のコールセンターにおけるオペレーターの教育にお役立ち立てるかと思います。
ご興味ある方はご相談ください。
COLLABOS PHONEの特徴
- ロケーションフリー(どこでも利用可能)
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まとめ
コールセンター業務のサービス品質はオペレーターの応対能力が強く影響します。
研修で優秀な人材が育成できればコールセンターのサービス品質が高まり業務処理能力の向上も期待できます。
現状のサービス品質を上げる手段としてはベテランオペレーターへの再研修紹介も有効です。
研修は新人を対象にしたものばかりではありません。最新の知識と技術を身にけられる研修を実行することで応対能力の底上げが見込めます。
コールセンターシステムの導入も応対品質アップには効果的です。
よくある質問はAIチャットなどに任せてオペレーターはより専門的な問い合わせに集中する、という分業体制が確立されれば、限られた人材をいかして最適なサービスを提供できます。
研修を通じてよりよいコールセンターサービスの提供を実現してください。
この記事の執筆者
コラボスブログ編集部
株式会社コラボスは、2001年に設立。現在、東京・大阪にオフィスを構えており、
960拠点以上のお客様へクラウドサービスを使ったCTIシステムを提供。
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