ロイヤルカスタマーとは?育成・維持の方法やメリットを解説
コールセンターの安定した利益を獲得するにはロイヤルカスタマーが欠かせません。ロイヤルカスタマーは企業を長期的に支えてくれるファンのような存在です。
しかし、思うようにロイヤルカスタマーを獲得できず悩んでいる企業担当者は多いのではないでしょうか。そこで今回は、ロイヤルカスタマーの定義や獲得方法を解説します。併せて顧客ロイヤルティを高めるために欠かせないCTIシステムの活用法も解説していきます。
ロイヤルカスタマーとは
ロイヤルカスタマーとは、提供しているサービスや商品へのロイヤルティ(信頼・愛着)が高い顧客を意味します。分かりやすい言葉に例えるなら「自社の熱心なファン」のことを指します。企業として中長期的に安定した利益を生み出すためには、売り上げやイメージアップなど自社を長期的に支えてくれる顧客(ファン)は欠かせません。そのためにロイヤルカスタマーを獲得する必要があります。
ロイヤルカスタマーの獲得に最も重要なのは顧客満足度の向上です。商品やサービス自体の品質以外にも分かりやすい商品説明や購入続きがスムーズであることなど、顧客満足度の向上にはさまざまな要素が含まれます。こうした顧客満足度の高いサービスを受けた顧客は、ロイヤルカスタマーとして自社の長期的な運営を支えてくれます。
コールセンターは顧客と直接応対する窓口になるため、ロイヤルカスタマー獲得において非常に重要なポジションと言えるでしょう。
ロイヤルカスタマーの定義
顧客にはさまざまな段階があります。段階は大きく分けて、「潜在顧客」「見込み顧客」「新規顧客」「リピーター」「ロイヤルカスタマー」の5つにランク付けされ、最上位に位置づけされるのがロイヤルカスタマーです。
ロイヤルカスタマーは、定期購入やプランの長期継続だけではなく、企業やサービスに対してロイヤルティがある顧客を指します。ロイヤルカスタマーの特徴は、購入金額や購入頻度の高さだけでなく、他社製品に乗り換えることなく友人・知人に自社のサービスを積極的に紹介してくれるなどがあげられます。
優良顧客との違い
優良顧客とは、商品やサービスを定期購入する高い利益をもたらす顧客を指します。高い利益をもたらす部分はロイヤルカスタマーと共通しています。一方、大きく異なる点は商品・サービスを購入した理由です。
優良顧客の購買理由として以下のような理由が挙げられます。
- 探している商品が見当たらず代替品として購入している
- 他社への乗り換えが面倒なので継続している
- 求めている商品がすぐに購入できないため仕方なく購入している
- 契約期間があるため利用している
商品やサービスを本当に求めていなくても定期購入する高い利益をもたらす顧客という点では自社にとって利益をもたらす顧客といえますが、契約期間の満了や求めている商品・サービスの発表がされると、他社に乗り換える可能性が高いのが優良顧客の特徴です。そのため、一時的に大きな利益になるものの長期的な利益にはなりません。優良顧客を多く抱える企業にとって、彼らをどのようにロイヤルカスタマーへ育成するのかが今後の企業の成長において課題といえるでしょう。
売り上げ上位顧客との違い
売り上げ上位顧客は、サービスのリピートが多く利益比率が高い顧客を指します。売上上位顧客は、優良顧客の中でもより購買金額が高い顧客のことを指します。売り上げ上位顧客の中には優良顧客のように企業やサービスに愛着がない顧客も含まれます。そのため、他社の魅力的なサービスが見つかれば、自社のサービスから離れる可能性があります。
つまり、ロイヤルカスタマーと売り上げ上位顧客の違いはロイヤルティの有無です。しかし、売り上げ上位顧客は、少なからず自社サービスに対して高評価を示している可能性があるため、ロイヤルカスタマーになる誘導の仕組み作りが企業の発展につながります。
ロイヤルカスタマーが注目されている理由
日本国内の人口減少
なぜロイヤルカスタマーが注目されているのでしょうか。理由の1つに国内の人口減少があります。今、日本はどんどん人口が減少しており、これから先も減っていくと言われています。そうなった場合、新規顧客の獲得はより難しくなっていくでしょう。よって、既存の顧客のロイヤルカスタマー化、一顧客の売上を最大限にすることがこれから勝ち残っていく方法だと言われています。
ロイヤルカスタマーはLTVが高い傾向にあるから
ロイヤルカスタマーはLTV(顧客生涯価値)が高い傾向にあるため、そういった顧客を育てることは企業の利益を大きくすることに直結します。新規顧客の獲得だけでなく、ロイヤルカスタマー育成も注目されているのはこういった理由からでしょう。
ロイヤルカスタマーを育成するメリット
コールセンターでロイヤルカスタマーを育成するメリットは以下3つがあります。ここではそれぞれのメリットについて詳しく解説します。
- 安定した利益の増加
- 新規顧客や紹介の獲得
- 質の高いフィードバック
安定した利益の増加
ロイヤルカスタマーを育成することで安定した利益の増加につながります。ロイヤルカスタマーは自社サービスに愛着・信頼があるため購入単価や頻度は高くなります。たとえば、1,000円の商品を年12回購入するロイヤルカスタマーが100人いると、年間収益は120万になります。
ロイヤルカスタマーが何年も増加するだけでも企業の安定した利益が得られるでしょう。また、ロイヤルカスタマーはサービスの解約率が低くいのも特徴です。そのため、ロイヤルカスタマーを育成することで商品やサービスの販売数が向上し、一定の収益を獲得できます。
新規顧客や紹介の獲得
ロイヤルカスタマーは企業やサービスに愛着や信頼を感じているため、知人や友人など第三者に自社の商品やサービスを紹介してくれます。コールセンターの新規顧客市場は非常に厳しくなっており、アウトバウンド業務などで新規顧客や紹介を獲得するためには多くの時間とコストが発生します。
しかし、ロイヤルカスタマーを育成することで、企業やサービスについて具体的なメリットや料金、おすすめポイントを第三者に紹介してくれます。そのため、コストや時間を軽減しながら新規顧客や紹介顧客の獲得が可能になります。
質の高いフィードバック
ロイヤルカスタマーは使用している商品やサービスに関して質の高いフィードバックをしてくれます。愛着や信頼があるからこそ、今よりもっといいサービスになるためであれば、時間を費やしてでもレビューやお客様の声を企業に寄せてくれる可能性が高いのです。
また、顧客目線のメリットやデメリットについても使用感や購入の手続き方法、アフターサービスまでさまざまな視点からのフィードバックをもらうことができます。ロイヤルカスタマーから得たフィードバックを分析することで、さらに質の高いサービス提供を行え企業の利益向上につながります。
ロイヤルカスタマーを育成する方法
①ロイヤルカスタマーになりうる顧客を探す
まずは、CRMから現ロイヤルカスタマーをピックアップし、彼らの特徴を調べます。そして、非ロイヤルカスタマーの中からその特徴に当てはまるような顧客を探します。手作業で探してもよいですが、コラボスのGOLDEN LISTというデータ解析サービスであれば、ツール上でロイヤルカスタマーの特徴を探すことと、ロイヤルカスタマーになりうる顧客のリストの重みづけをすることができます。
②顧客との接触頻度を増やす
ロイヤルカスタマーは、商品を多く・長く購入してもらうこと、また他人に広める、といった行動をとるわけですが、その背景にはサービスや提供企業に対して愛着をもっていることが挙げられます。愛着をもってもらうためには顧客とのコミュニケーションを増やすことが効果的でしょう。迷惑でないように電話やDMで有益な情報を提供し、愛着をもってもらうように働きかけましょう。
③顧客満足度の調査
ロイヤルカスタマーからの売上をよりアップさせるために、満足度の調査を定期的に実施し、不満に思っている部分があれば改善するように心がけましょう。
ロイヤルカスタマーを育成するポイント
ロイヤルカスタマーを獲得する近道は、現状抱えている顧客をロイヤルカスタマーに育成することです。しかし、すべての顧客がロイヤルカスタマーになるわけでないため、ターゲットを絞って育成することが重要です。
ターゲット選定のポイントは、サービスに良い感情を持つ可能性の高い顧客です。便利さやサービスの質のみを求める顧客より、サービス自体に興味があり、さらに良い接客やサービスの提供があれば利用を検討すると考えている顧客はロイヤルカスタマーになりやすい傾向にあるからです。ターゲットになる顧客には好印象を与え、囲い込むことがロイヤルカスタマー育成のポイントになります。
ターゲット設定
ロイヤルカスタマー育成するためのターゲットは企業の運営目的によって異なります。一般的に購入頻度や購入額・利用年数などからロイヤルカスタマーの定義を定め、具体的にターゲット設定を行います。
ECサイトなど全国のユーザーが利用するサービスでは、顧客の口コミやレビューなどを利用し新規顧客の拡大を検討している企業も多いでしょう。そうした企業のターゲット設定に役立つのがNPSです。
サービスに対してどの程度の愛着や信頼を寄せているかを調査するNPS(Net Promoter Score:顧客推奨度調査)とは、自社サービスを第三者に勧めたい度合いを調査し、計測することです。NPSと顧客がもたらす収益性を掛け合わせた基盤を作成することで、ロイヤルカスタマーにするべきターゲットを選定することができます。
実店舗や新規出店を検討中の企業なら、顧客の年齢や性別・地域などのセグメントを活用しターゲット設定をすることで、売り上げの高い地域での宣伝活動や分野ごとへのキャンペーン告知をするなど、顧客に適したマーケティング活動にもつながります。
顧客との関係性
企業と顧客との関係性を維持・向上させるためには、企業が積極的にロイヤルカスタマーを増やす取り組みを行うことが重要です。従来のコールセンターでは、顧客の問い合わせにオペレーターが電話で答えるだけのサービスを行っていました。こうしたサービスでは形式的なサービスに限定されるため、よほど顧客との良い関係性を築けていないと新規顧客の獲得は困難でした。
インターネットが普及した現代では、より顧客の満足度を高めるために電話でのサポートだけではなくスマホやPCなどリアルタイムなサービス提供に力を注ぐ必要があります。常に顧客のニーズを把握し、リアルタイムな対応が可能なプッシュ戦略を取り入れ、顧客との接触頻度を増やすことは、ロイヤルカスタマー育成につながり購入頻度や信頼度を高めることができるでしょう。
サービスの質を高める
自社のサービスの質とCXを高めることで顧客満足度向上につながりサービスに対するロイヤルティが増していきます。CX(Customer Experience:顧客体験)とは、サービス購入前後のプロセスにおいて、顧客が得られる体験のことで、顧客がサービスに興味や関心を抱くところから、他社との比較検討・購入、そのあとのアフターフォローまでのすべての体験を指します。サービスの価値はもちろん、購入までの企業側のCXを意識した高い接客応対の提供もロイヤルカスタマーの育成には必要となります。
ロイヤルカスタマーを維持するには
例えば、自分自身が継続して利用するようなサービスを解約するときの理由はなんでしょうか。筆者の主観にはなってしまいますが、下記のような意見が多いと思います。
- サービスに不満を感じた
- 顧客として大切にされていないと感じた
- 競合サービスが魅力的だった
もちろん商品自体の善し悪しはありますが、お金を払ってくれているのに大切にしてくれなかった、という精神的理由によって解約することも少なくありません。よって、コミュニケーションを取り続けることは必要なことであると言えるでしょう。
ロイヤルカスタマーの分析
自社に存在するロイヤルカスタマーの数を把握することは企業の安定した利益を出す上で必要となります。ここでは、ロイヤルカスタマーの分析に役立つ、以下の3つについて詳しく解説します。
- NPS
- LTV・CLV
- RFM分析
NPS
NPSとはNet Promoter Scoreの略称で、日本語で顧客推奨度を指します。企業やサービスに対して、どれくらい愛着や信頼を持っているかを示す指標です。NPSの調査は、第三者にどれくらいすすめたいのかを段階に分けて答えてもらいます。たとえば、10段階評価として0から6段階は「批判」、7、8段階は「中立」、9、10は「推奨」と分け、それぞれを数値化し、推奨数から批判数を引いたものが顧客推奨度スコアになります。
顧客推奨度は最高が100、最低は-100となるため、100に近いほど顧客推奨度が高いといえるでしょう。このようにNPSを活用した分析を行うことで、自社の問題点を改善することができるので、顧客がさらに新たな顧客を紹介してくれるとったメリットが得られるでしょう。
LTV・CLV
LTVとはLife Time Value、CLVとはcustomer lifetime valueの略称で、日本語で顧客生涯価値を意味します。顧客生涯価値とは、顧客が企業との関係をはじめてから関係を終えるまでに企業にもたらす利益を指します。一時的な利益を指すのでなく、全期間で企業にもたらした利益を示しているのが特徴です。
ロイヤルカスタマーはサービス継続が高いため、自然と顧客生涯価値は高くなります。顧客生涯価値を活用することで、ロイヤルカスタマーの基準値を作成し、顧客がどの程度ロイヤルカスタマーに分類されるのかを把握することができます。また、企業全体の顧客生涯価値を算出し、前年度と比較をおこない、現状のロイヤルカスタマー数を確認することが可能です。
顧客生涯価値の算出方法は、以下の計算式の通りです。
- 顧客の平均購入単価 × 購入回数
RFM分析
RFM分析は、Recency Frequency Monetaryの略称です。具体的には、最終購入日(Recency)・購入頻度(Frequency)・購入金額(Monetary)の指標で顧客ランクを決定する分析法です。
最終購入日と購入頻度、購入金額が高い状態がロイヤルカスタマーの位置付けになります。3つすべてが高い顧客が多いほど、ロイヤルカスタマーを多く抱えています。顧客推奨度とRFM分析を併用し、効率的に活用することで、ロイヤルカスタマーかどうかを見極める必要があります。
CTIシステムを活用したロイヤルティの向上
CTIシステムを活用することで、サービスに対するロイヤルティ向上が可能になります。ここでは、具体的なシステムと重要性について詳しく解説していきます。
CRM
CRMシステムは、Customer Relationship Managementの略称で顧客関係管理を行うためのシステムを指します。CRMは顧客が起こしたアクションを把握し、管理された情報を基に顧客との関係を深めるための豊富な機能を持ちます。
たとえば、氏名・性別・年齢などの基本情報や購入履歴や、過去の質問履歴、問い合わせ管理、運用管理などが挙げられます。CRMシステムを導入すると、営業や事務、サポートの各情報が一元化され管理できることから、顧客管理を効率的に集約することができます。また、人員削減もできることからコスト削減にもなり、自社にもたらす顧客生涯価値の向上が見込める施策へとつなぐことができるでしょう。
CEM
CEMは、Customer Experience Managementの略称で、顧客経験価値管理を指します。企業が顧客側の立場に視点を置き、感動・満足・充実の心理的・感覚的な要素を感じ、サービス提供につなげるマーケティング手法です。
CEMの概念として、CRMとCS(Customer Satisfaction:顧客満足)が挙げられます。CSは、顧客の声を集約し、不満や課題・疑問を解消し、顧客のニーズを満たすものです。CRM・CSともにロイヤルカスタマーの育成には必要な手法ではありますが、CEMは表面化でない顧客のニーズを把握し、想定していない感動体験を与えます。それぞれの施策によって顧客のロイヤルティを高めロイヤルカスタマーを増やすことで、企業の業績向上につながるでしょう。
MA
MAは、Marketing Automationの略で、マーケティング活動を自動化することです。例えば顧客の育成度合いに合わせて適切なタイミングでDMを送ることを自動化できます。たとえば、登録から2週間たっても、次のアクションがない顧客にはメールを送る、といった作業です。ルーティン作業を自動化することで、効率よく顧客育成ができるようになるでしょう。
スムーズな問題解決
顧客は自分で解決できない問題が起きたときにコールセンターに問い合わせをします。オペレーターが顧客の問題解決に長時間掛かってしまうと顧客満足度は低下します。対して、問題解決がスムーズにできた場合、かなりの確率でリピートにつながりロイヤルカスタマー獲得に近づくでしょう。
スムーズな問題解決を行うためには、電話サポート以外にもFAQやチャットボットを導入することが重要です。例えば、よくある質問については、FAQやチャットで解決できるため、その結果、顧客満足度向上につながります。また、複数チャネルを活用することで入電の混雑を回避となり、よりスムーズな問題解決が可能になるでしょう。ロイヤルカスタマーの育成をするためにも、簡単に問題解決ができる仕組みを作る必要があります。
コールセンターの問い合わせツール | ||
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チャットボット | リアルタイム自動会話 | |
FAQ | よくある質問に対する答えをデータ化し管理 | |
IVR | 自動音声応答システム | |
チャット | WEBやスマホを使い、文字で対応 |
コールセンターの顧客管理ならコラボス
コラボスには、コールセンター向けクラウドCRM「COLLABOS CRM」と「GROWCE」があります。どちらもインターネット上で利用ができ、固定IPでのアクセス制御も可能です。とくに「GROWCE」では、マーケティング要素も含んでおり、メールの一斉配信やアウトバウンドコールリストの作成もできます。
また、「GOLDEN LIST」というデータ解析のサービスも組み合わせることにより、それぞれの顧客にたいしてその顧客が商品を購入する購入見込み度を出すことができます。
顧客管理だけでなく、売上につなげたい、というコールセンター担当者様はぜひコラボスへお問合せください!
まとめ
ロイヤルカスタマーを増やすためには、適切なターゲット設定・育成ポイントを理解していることが重要になります。ポイントを理解していることで、市場獲得が難しいとされている新規顧客獲得が可能になり、企業の安定した利益につながります。
しかし、商品やサービスの質だけではロイヤルカスタマーの向上や維持はできません。電話によるオペレーターの応対品質やFAQ、チャットボットを用いたスムーズな問題解決が、顧客満足度を高めロイヤルカスタマーを増やすことにつながります。
コラボスでは、サービスロイヤルティを高めるために役立つCRMシステムと連携することができるCTIシステムを提供しています。CTIシステムを導入することで、業務の効率化やロイヤルカスタマー育成に欠かせない顧客満足の向上が可能となります。ロイヤルカスタマーを増やし企業の利益安定化をお考えの際は、ぜひコラボスまでお問い合わせください。
この記事の執筆者
コラボスブログ編集部
株式会社コラボスは、2001年に設立。現在、東京・大阪にオフィスを構えており、
960拠点以上のお客様へクラウドサービスを使ったCTIシステムを提供。
本ブログ記事サイトでは、様々なニーズを抱えたお客様のお役に立てるような情報を日々発信。
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