2020年最新版|クラウドPBXの比較ポイントを徹底解説!
クラウド型PBXは急激に導入事例が増えているITを活用したPBX(Private Branch eXchange)です。
低コストで今までにないPBXの機能が利用できるなど好評を得ていますが、従来のオンプレミスPBXと比べてどんな違いがあるのか確認したい方も多いでしょう。
そこでこの記事ではクラウドとオンプレミスのPBXを徹底的に比較します。
クラウドPBXのメリット・デメリットもまとめて紹介するので、クラウドとオンプレミスのどちらを導入するか迷っている方は参考にしてください。
そもそもクラウド型PBXとは?
クラウド型PBXとは、従来自社で用意していた電話交換機をクラウドで提供する企業向けのサービスです。
ビジネスでは複数の電話回線を用意することで顧客からの電話を受けやすくしたり、内線電話と外線電話の接続を細かく設定することが求められます。
これまでは、これらの機能を導入するためには専門業者に依頼して機器の設置と設定を依頼する必要がありました。
クラウド型PBXでは電話交換機の機能が全てクラウド上で実装されているため、サービスを契約すれば必要な電話交換機機能が短期間で利用できます。
また、従来のPBXに比べて専門知識が無くてもオンラインで簡単に設定可能です。
さらに、会社の規模に合わせて細かに契約オプションを決められるため、PBX機材を導入する場合に比べて大幅に初期費用を削減できるのも魅力です。
クラウドとオンプレミスの比較
これまでのオンプレミスで実装された従来のPBXに比べて、クラウド型PBXにどのような利点があるのか解説します。
クラウド型PBXを導入することで得られるメリットと注意すべきデメリットを把握できれば、導入の判断を誤ることが無くなりますし、スムーズな運用が可能となるでしょう。
ビジネスを行う上で重要な7つの視点から、それぞれの違いを見ていきましょう。
①カスタマイズ性
カスタマイズ性が高いのはオンプレミス型PBXです。
オンプレミス型では利用する交換機や通信機器からシステムまで、全て自社で選んでカスタマイズできます。例えば、コロナ禍により自宅でリモートワーク業務をする社員が増えた場合、外部との接続を増やすなど柔軟にPBXを構築可能です。
ただし、予算やオフィスのスペースの問題で希望するPBXが実現できないケースもあります。
また、大幅にカスタマイズする場合はオフィスの一部を工事する必要がある場合もあります。
オンプレミス型の高いカスタマイズ性はコストと背中合わせだと認識すべきでしょう。
一方、クラウド型PBXのカスタマイズ性は利用するサービスに大きく左右されます。
しかし、クラウド型は多くの企業が必要とする機能を提供するため、ニッチなニーズには対応していない傾向があります。
②セキュリティ対策
セキュリティはこれからの企業経営には欠かせない要素です。
いつどこから悪意のある通信が自社システムに害を及ぼすか分かりません。セキュリティ対策は万全に行うべきでしょう。
交換機システムに対してセキュリティ対策を十分に施せるのはオンプレミス型PBXです。
交換機を介する発信・着信および転送をどれだけ厳しく監視するか細かく設定できます。
社内の電話回線を流れる情報(通信・通話)は全て管理可能です。
外線にIP電話を利用している場合はインターネットと接続されるため、悪意のある通信によって社内電話がハッキングされるリスクがあります。
オンプレミス型ならこういった危険性にも個別に対応ができるため高いセキュリティを維持できるでしょう。
クラウド型のセキュリティはサービスを提供する業者のセキュリティ意識と技術に依存します。
しかし、一般化されたサービスであるため詳細なセキュリティに関して個別対応を期待するのは難しいでしょう。
クラウド型を利用する場合はセキュリティ意識が高く情報漏洩やハッキングを防いできた実績があるものを選ぶのが賢明です。ポイントを押さえたセキュリティ対策が期待できます。
また、自社で高いセキュリティを維持できない場合は、自社で保守管理が不要なクラウド型に頼るのが賢明です。
③システムの連携
自社で利用している顧客管理システム、コールセンターシステム、メールシステムとPBXの連携を柔軟に実装できるのはオンプレミス型PBXです。社内の電話交換機を含む全ての通信機器の設定や、システム間でやり取りするデータの内容や詳細な形式までカスタマイズできるため、ほとんどの外部システムと連携できます。
ひかり電話など通話料が安い電話サービスを新規契約した場合、従来の社内電話網と個別に連携することも可能です。
ただし、システムの連携は導入とその後のメンテナンスにコストと時間がかかります。
独自性が強すぎると、思わぬところで足元をすくわれる危険性もあるでしょう。
クラウド型PBXは自社システムとの連携は難しいですが、人気の顧客管理ソフトなど業界スタンダードになっている機器やソフトウェアとの連携はスムーズに行えるものがあります。自社で使用しているシステムが利用可能なクラウド型PBXであれば、オンプレミス型とは比較にならないほど短期間で連携が実現します。
④導入コスト
導入コストはクラウド型PBXが圧倒的に安いです。業者から提供される電話サービスを利用するだけですから、どんなオフィス環境にも導入できます。
導入時の設定も非常に短時間で済みます。高額な通信機器や、専門業者を使った高度な設定が必要ないため初期コストは特に安く、立ち上げ間もない会社でも問題なく利用できるでしょう。申し込みがWEBでできるなど時間的コストもかかりません。
オンプレミス型は導入コストがかかります。
中小企業には厳しい負担になるでしょう。また、独自のシステムで動作する社内データベースとPBXを連携する場合などは、導入に際してテストを繰り返す必要がありますから、経済的だけでなく時間的コストも膨れ上がるでしょう。
⑤運用コスト
運用コストは一概にどちらが少ないか明言はできません。
クラウド型PBXの運用コストはサービスの月額料金と通話料、インターネット通信費になります。
一方、オンプレミス型は通話料と機器のメンテナンス費用です。
自社のスタッフにメンテナンスを任せられるならオンプレミス型の方が安く運用できますが、通信機器の買い替えがあると状況は一変します。
通信機器は比較的耐用年数が長いですが、業界の通信仕様が大きく変わると、それに対応するため機器の買い替えが必要になります。大規模な通信機器の買い替えとなるとコストは高額になるでしょう。
⑥導入スピード
短期間で導入できるのはクラウド型PBXです。クラウド型PBXにはインターネット回線があれば利用できるサービスがあります。
PCに専用の電話ソフトウェアをインストールすればスピーディに導入できます。詳細な設定は公式サイトにログインして行います。初めて利用する場合は24時間のサポート体制を敷いている業者がおすすめです。
オンプレミス型は社内に1から通信システムを構築するため、どうしても導入スピードは遅くなります。
PBXの導入だけでなく、外部システムとの連携が必要なケースではより時間がかかるでしょう。
⑦移転・拡大・収縮への対応
クラウド型PBXは事業の移転・拡大・収縮に迅速に対応できます。
必要な機器が電話機だけであるため拡大する場合は電話機を充実させるだけで済みます。
移転は国内であれば基本的に住所変更の手続きをするだけです。サービス品質が変わることはありません。
事業を収縮する場合はサービスを解約して電話機を処分すれば完了です。
オンプレミス型を採用した場合は、事業の移転・拡大・縮小それぞれの局面で大きな負担が生じます。
事業が好調で拡大基調が続くと、それに合わせて機能が追加され通信システムが複雑化する場合があります。
複雑になった社内システムをメンテナンスするのは時間とコストがかかるでしょう。
PBXを含む通信システムが肥大化した状態で移転や縮小が必要になった場合も大きな負担が生じます。通信システムが複雑化しているため修正や復旧に時間がかかります。
移転した場所によっては従来のサービスが利用できず代替サービスを探すのに時間を取られる可能性もあります。
クラウド/オンプレ比較まとめ
ここまでの比較項目をまとめて見てみましょう。
システム形式 | クラウド型 | オンプレミス型 | 備考 |
導入コスト | ◎ | × | クラウド型PBXが圧倒的に安い。オンプレミス型は高額になる傾向がある |
導入スピード | ◎ | × | クラウド型PBXが、どのPBXよりも最短で導入できる |
運用コスト | ◯ | ◯ | 小規模事業者ならクラウド型PBXの方が安く済む。オンプレミス型は機器の更新が無ければ安い |
システム連携 | ◯ | ◎ | オンプレミス型はどのシステムとも連携できるが、人気顧客管理システムなど定番ツールとの連携ならクラウド型PBXの方がスムーズ |
セキュリティ | ◯ | ◎ | オンプレミス型の方が高い。しかし自社でセキュリティを扱えない場合はクラウド型PBXが良い
|
カスタマイズ性 | △ | ◎ | オンプレミス型は自由自在にカスタマイズできるが、メンテナンスコストが重くなる |
移転・拡大・収縮への対応 | ◎ | × | クラウド型PBXは事業規模の変化や移転に契約の追加と解約で簡単に対応できる |
一見、PBXの導入においてメリットが多いのはクラウド型のように見えますが、コールセンターシステムにおいてクラウド型とオンプレミス型どちらが優れているということはありません。
サービスや規模に合わせて、自社にあったシステムを導入することがPBX導入のポイントとなります。
関連記事:クラウドPBXとは?オンプレとの比較やメリット・デメリットを解説
失敗しない!クラウドPBXを比較する際の4つのポイント
導入コストが従来のものに比べて圧倒的に安く抑えられるため、利用する企業が増えているクラウドPBX。
これを受けて同サービスを提供する業者が急増しています。
業者ごとに提供するクラウドPBXの強みが異なるため、自社のニーズにマッチしたサービスを一つ選べるよう、ここでは選び方のポイントを紹介します。
他システムとの連携は可能か
PBXは顧客管理システムやメールなど複数のシステムと連携するのが一般的です。
オンプレミスPBXであれば、どんな独自システムとも力技で連携できますが、クラウドPBXは業者ごとにあらかじめ決まったシステムとしか連携ができません。
アップデートで連携できるシステムが増える場合がありますが、基本的に公式サイトの連携可能システムの一覧に記載されているもののみです。
PBXと連携が必要なシステムを導入している場合は、必ず公式サイトで外部システムの対応状況を確認してください。
できれば体験版などを試して、本当に外部システムと問題なく連携できるか調べましょう。
柔軟な料金プランは用意されているか
クラウドPBXの料金プランは業者によって差があります。無料で利用できるものは少なく、導入時に初期費用、それ以降は月額料金と通話料金が毎月発生します。
クラウドPBXの料金プランで注目すべきは音声通話料金です。通話料金は一定時間ごとに加算されていきますが、この加算タイミングが業者によって異なります。3分で加算されるところもあれば、1秒や90秒のところもあるのです。
自社の平均通話時間を確認して、適切な加算間隔と加算額のオプションを提供している業者と契約を結んでください。
サポート体制は整っているか
通信機器は使い方が複雑だったりトラブルが発生したりと、正常に動作しないケースが少なくありません。
クラウドPBXは従来のものとは違い導入にかかる負担が軽減されていますが、それでも初心者には難しい設定を行う場合があります。
トラブルに備えて業者に最低限用意して欲しいサポート体制は次の2つです。
- 24時間対応してくれるカスタマーサポート
- 導入時の設定に関するサポート
通信トラブルはいつ起きるか分かりません。24時間のサポートは必須といえるでしょう。
導入時に受けられるサポートも欠かせません。契約したにもかかわらずサービスを利用できなくては意味がありません。
セキュリティ対策は万全か
クラウドPBXはインターネットを利用するため、セキュリティ対策が疎かなサービスは選べません。安全に利用するためには次の機能を備えているサービスが望ましいです。
- PBXに送られてきたパケットのIPアドレスのログ機能
- パケットフィルタリングなどを使ったアクセス制御機能
- 設定サイトのログイン回数制限
- 通信の暗号化
この他にも利用しているアンチウィルスソフトの種類や、システムの脆弱性をどのようにして検出しているのかについても確認しましょう。
ニーズにあった機能は搭載されているか
クラウドPBXを選ぶ場合、最初に自社で必要な機能を箇条書きにしましょう。
書き出したあと、その機能を提供するクラウドPBXを探します。
必要な機能を全て兼ね備えたサービスでなければ結局、解約することになる可能性が高いため、機能の見極めは時間をかけて行ってください。
注意したいのは必要な機能を見落とすことです。よくあるのは使用可能な電話番号や通信会社が制限されているケースです。業者によっては使える電話番号が指定される場合もあります。
現在利用中の電話番号や通信会社の継続利用が必要である場合は、事前に業者に問い合わせましょう。
【番外編】無料のクラウドPBXのデメリットとは?
無料で利用できるクラウドPBXは少数ながら存在しています。主に海外で運営されているものです。
国内にあるものは多くが有料サービスのトライアル版です。トライアル版には制限が付けられているケースがほとんどです。
利用できる期間や機能が制限されており、便利に利用することはできないでしょう。
いずれのケースも無料で利用できるものはサービスを体験できる程度のもので、実際の環境では働きを期待できません。
安易に導入すると突然利用できなくなり、ハッキングのリスクにさらされる危険性もあるため、無料のクラウドPBXはあくまで機能を試すだけに留めて、実際に導入する場合は製品版を利用することをおすすめします。
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この記事の執筆者
コラボスブログ編集部
株式会社コラボスは、2001年に設立。現在、東京・大阪にオフィスを構えており、
960拠点以上のお客様へクラウドサービスを使ったCTIシステムを提供。
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