コールセンターのオムニチャネル化で顧客の利便性はどこまで向上する?

現在、コールセンターでは顧客満足度の向上のためのオムニチャネル化が求められています。スマホやインターネットの急速な普及から、従来の電話での問い合わせだけでなく、24時間利用が可能な問い合わせフォームやチャットなどさまざまなチャネルを使った企業への問い合わせを希望する顧客が増えています。こうした顧客の要望に応えるためにもコールセンターでもオムニチャネル化が必要といわれています。しかし、具体的にオムニチャネル化がなぜ必要なのか、どう進めるべきか、悩まれている企業は多いかと思います。ここでは、オムニチャネル化の基本的な考えを解説していきます。


コールセンターに必要なオムニチャネル化

オムニチャネルとは「複数の窓口で、いつでも・どこでも・同じサービスが受けられる仕組み」です。
インターネットの普及やコロナ禍で対面での接触機会が減少した現在、企業はインタ―ネットや電話などさまざまな手段を使い顧客とのコミュニケーションの場を広げています。こうした接点を広げることをオムニチャネル化といいます。オムニチャネル化は対面での接触が苦手な顧客や、休日や夜間など時間の制約のある顧客にとって便利なコミュニケーション方法として好意的に受け入れられています。
現在、多くの企業でオムニチャネル化が進む中、コールセンターでも顧客の利便性や満足度の向上に役立つ点からも従来の電話応対以外の窓口を開設するセンターが増えています。

概念

オムニチャネルとは「オムニ」+「チャネル」の2つ単語を組み合わせた言葉です。チャネルを日本語にすると「経路や道筋」を意味していますが、マーケティング用語では「ユーザーとの接点」という意味で使用されています。オムニとは「すべて」という意味を持つ単語で、オムニチャネルを一言で表すと「顧客やユーザーが、いつでも・どこからでも同品質のサービスを受けることができる仕組み」を意味します。
主にEC分野で提起された表現で、オンラインのみでのアプローチではなく、オフラインやさまざまな経路からアプローチをおこない、一貫したサービスの提供をおこないます。
コールセンターでオムニチャネル化が進むと、場所や時間にとらわれることなく、サービスや商品を顧客はいつでも購入することができます。その結果、顧客は企業に対して満足感を覚え、販売率が高まり利益拡大や継続的な利用へとつながるでしょう。

多様なチャネルの活用

コールセンターでは顧客対応を行うツールとして、電話だけではなくチャットやメールなどのさまざまなチャネルを活用しています。すべてのチャネルで同じ品質のサービス提供することがオムニチャネルの目的になります
オムニチャネル化することで、顧客がどのチャネルから問い合わせをしても同じサービスが受けられるようになります。また、顧客は場所や時間帯を気にせずに問い合わせができることから、高い顧客満足度の獲得につながります。

オムニチャネル化が必要とされる理由

オムニチャネル化が注目される理由に、スマホやECサイトの普及が挙げられます。スマホやPCから簡単に商品購入ができることため、日常生活でECサイトの利用者数は毎年増加しています。
一方、実店舗のみで商品を販売している企業は、ECサイトに比べ新規顧客の獲得や利用者数の減少などの課題を抱えているケースが少なくありません。
経済産業省が2021年に取りまとめた「電子商取引に関する市場調査 ※1」によると、全取引に占めるECの比率は年々増加傾向にあり、2020年には物販系分野のEC市場規模が12兆円にも上りました。特に書籍や映像・音楽の分野では、全体の約43%がEC化されています。そのほかにも、生活雑貨で約26%、家電やAV機器では約37%と、身の回りにある多くの製品がオンライン上で売買されています。
また、SNSや口コミサイトなどでサービスの評価やレビューを確認後、購入するルートが一般的になりました。顧客は店舗やECといった単独の情報だけで判断するのではなく、複数のチャネルを通して総合的に判断し購入に至ります。
商品の品質が良くても、販売や問い合わせをするWebサイトが使いにくい、SNSや口コミサイトでの評判が悪い場合、購入前の顧客離脱率が増えるでしょう。
そこで、複数のチャネルを連携させて顧客にアプローチするオムニチャネル戦略に注目が集まっています。

参照:経済産業省 電子商取引に関する市場調査

オムニチャネル化と関連する用語

オムニチャネル以外にオンラインとオフラインをつなぎ複数のチャネルを活用する戦略として、「マルチチャネル」があります。また販売戦略に関連する「O2O」「OMO」などの用語もあります。それぞれの用語は類似している部分や共通している部分も多く、オムニチャネルとの違いが分かりにくいといえます。ここでは、どのような違いがあるのかを詳しく解説していきます。

マルチチャネル

「マルチチャネル」とは、複数のチャネルを目的に応じて使い分けることを指します。具体的に、電話やメール、SNS・アプリなど、複数の接点を通し顧客のニーズに合わせた商品やサービス、問い合わせ窓口を提供することです。しかし、それぞれのチャネルが連携されていなければ対応に差が生じてしまい顧客満足度の低下につながるでしょう。顧客満足度を向上させるためにも複数チャネルで同じサービスが受けられるような仕組み作りが必要になるでしょう。

O2O

O2Oとは「Online to Offline」の略称であり、オンラインから実店舗へ顧客をつなげる仕組みのことです。ここ数年で、スマートフォンを使ったオンラインサービスの利用者が増えています。そこで、スマートフォンでも利用可能なオンラインシステムを利用して、オフラインへの集客導線を強化していくのがO2O施策になります。
たとえば、企業のSNSや公式LINE・企業HPで割引クーポンの配布やイベント情報などを発信、顧客の購買意欲を向上させて実店舗につなげる動きなどが行われています。

OMO

OMOは「Online Merges with Offline」の略称で、オンラインとオフラインを繋ぎ質の高い顧客体験を提供することを指します。インターネットから実際の店舗へ顧客を誘導するO2Oの考えをさらに具体的にしたのがOMOです。
たとえば、インターネットで注文を受け付け自宅に配達をおこなうフードデリバリーサービスやAmazonやメルカリなどのインターネット経由で注文を行いコンビニなどの実店舗で受け取るサービスなどがあります。

コールセンターもオムニチャネル化すべき理由

インターネットの普及により電話以外にもSNSやアプリ・メールなどさまざまなチャネルを使った通信方法が一般的になりました。また、これらの方法が一般的になり、コールセンターでも早朝・深夜などいつでも好きな時にやり取りができることが求められるようになりました。ここでは、コールセンターにとってオムニチャネル化が必要となる理由を詳しく解説していきます。

スマホ時代への対応

オムニチャネル化が求められる理由として、スマホの普及があります。スマ―トフォンの販売を開始された2008年以降、スマホの利用者は急増し、2022年時点で88.6%のシェア率を誇っています。
以前のコールセンターでは電話での対応が主流でしたが、現在ではスマホに対応したメールやチャット、SNSやアプリなどの複数チャネルをオムニチャネル化し顧客のニーズに合わせた対応が必要といえます。

効率的な情報収集

顧客満足度を向上させるためには、顧客の疑問や不満をさまざまな角度から効率的に情報収集を行う必要があります。たとえば、電話離れが進む若者世代からの情報収集にはチャットボットや有人チャットが効果的です。テキストベースで顧客接点を増やすことで問い合わせの利便性は向上され、あらゆる角度から情報の収集が可能になります。
複数のチャネル活用しながら情報を吸い上げることができれば、顧客のニーズを素早く把握し、スムーズな問題解決ができるため顧客満足度は向上するでしょう。また、各チャネルで吸い上げた内容をCRMなどに蓄積し、過去の履歴を確認しながら応対することでより質の高い対応が可能になります。

顧客の声をデータ化

コールセンターに集められる顧客の声を数値化し、データ化することは商品・サービスの向上につながります。顧客の声はサービスの開発や修正に役立つ情報が多く含まれていますが、声を集めただけでは効果的な改善方法を見つけるのは難しいでしょう。顧客から寄せられた声を分析し、どのような改善を行えばよいかを検討する必要があります。こうした分析に役立つのが、AIを活用した音声認識システムです。音声認識システムは、通話内容の確認や傾向分析、どのような理由でどれくらい問い合わせあるのかなど、AIが解析することで効果的な改善方法を見つけることができます。日々、さまざまな要望が寄せられるコールセンターではこうしたAIを活用したデータ分析が必要といえます。

オムニチャネル化するメリット

コールセンターでオムニチャネル化を進めることで、いくつものメリットがあります。ここでは、3つのメリットについて解説していきます。

企業サービスの継続と向上

コールセンターのオムニチャネル化は企業サービスの継続と向上に役立ちます。たとえば、オムニチャネル化を活用していない有人チャットに問い合わせをした場合、情報は有人チャット内のみに蓄積され、他のチャネルでは共有はされません。そのため、違うチャネルに問い合わせをした顧客は再度同じ内容の説明をしなければなりません。顧客は1つの問題に対して何度も説明する手間が掛かるため、サービスの継続を断念してしまう可能性があります。
対して、オムニチャネル化を進めているコールセンターであれば、有人チャットに問い合わせた内容は各チャネルに情報が引き継がれるため、どのチャネルを利用してもスムーズに問題が解決できます。顧客の不満につながる要因をなくしていくことで、顧客満足度は高まり企業サービスの継続と向上につながるでしょう。

顧客満足度の向上

各チャネルで情報共有が問題なくされていることで顧客は安心感を覚え、企業への満足度は高まります。オムニチャネル化されていないコールセンターは、チャットを利用した顧客が同じ内容について電話で問い合わせをした際、チャットでの問い合わせ内容をオペレーターに説明しなければならず、問題解決までに余計な時間が掛かることになります。こうした二度手間に対して顧客満足度は低下し、利用中のサービスや商品の利用をやめてしまうことにもつながります。顧客はサービス利用している企業に対して、自身の現状を把握してもらっているかが顧客満足度向上に大きな影響を与えるでしょう。

タイムリーなデータベース

複数チャネル間でシステム連携を行い、それぞれのデータを一元化することで顧客データはタイムリーに更新されます。各チャネルが情報共有されず独立していると、取得したデータはすぐには反映されません。
その結果、顧客がさまざまなチャネルを利用して問い合わせをしてきたときに、スムーズな対応ができないため顧客の不満は大きくなり顧客満足度は低下するでしょう。顧客満足度を低下させないためにも、あらゆる顧客データはタイムリーに反映させるようにしましょう。

オムニチャネル化導入時のポイント

コールセンターにおけるオムニチャネル化の重要性について説明しましたが、安易にオムニチャネル化を進めてしまうと予想外な失敗をするリスクもあります。ここでは、オムニチャネル化導入時に重要となるポイントについて解説します。

チャネルデータの一元管理

コールセンターにおけるオムニチャネル化を進めるためには、CRM(顧客管理システム)の導入が必要です。CRMとはCustomer Relationship Managementの略称で、日本語では「顧客関係管理」のことを指します。オムニチャネル化を行う目的は「複数の窓口で、いつでも・どこでも・同じサービスが受けられること」です。メールやチャット、SNSなどさまざまなチャネルで顧客情報を扱う際は、それらの情報をどのチャネルでも共有できる状態にしておかなければなりません。CRMは、顧客情報の問い合わせ履歴を蓄積することができるため、オムニチャネル化で全チャネルに情報共有することができるため、応対品質の向上と顧客満足度の向上が可能になるでしょう。

オペレーターの負担を軽減

オムニチャネル化を行うメリットのひとつにオペレーターの負担軽減があります。従来、電話でのみ受付けていた問い合わせをさまざまなチャネルで対応することで、オペレーターの対応件数を減らすことが可能になります。
こうした負担軽減に役立つのがIVR(自動応答システム)です。IVRとはInteractive Voice Responseの略称で、日本語で「自動応答システム」と呼ばれています。オムニチャネル化により窓口が増えることで、センター全体に寄せられる問い合わせ件数自体は増加しますが、IVR(自動応答システム)を導入することで、自動応答システムでの対応が可能になるため、結果的にオペレーターの負担も軽減と生産性の向上が可能になります。

コールセンターのオムニチャネル化にはCTIシステム活用が有効

CTIシステムは、Computer Telephony Integrationの略称で、コンピューターと電話の統合を指します。コールセンターにCTIシステムを導入することで、PCやスマートフォン上で複数チャネルの顧客情報を管理することができるようになります。そのため、チャネルごとに画面を開く必要がなくなり、オペレーター業務が効率化され生産性の向上につながります。
また、顧客からの問い合わせがあった場合、過去の履歴や顧客情報を画面上に表示できるので、電話の問い合わせが初めての顧客に対しても他チャネル情報をもとに対応ができ、スムーズに問題解決ができるでしょう。
オムニチャネル化することで複数チャネルに情報共有ができるため、まとめて表示できるCTIシステムは必要不可欠なものになります。

まとめ

今回は、コールセンターでのオムニチャネル化を進めるポイントについて解説しました。コールセンターでは、電話対応以外にもチャットやメール・SNSなどでの対応が求められます。しかし、それぞれのチャネルで情報共有がされていなければ、顧客は問い合わせをするたびに何度も同じ内容を説明する必要があります。その結果、企業への対応不満が募り顧客満足度の低下やサービス中止につながります。
オムニチャネル化を導入することで、顧客は場所や時間を気にせず問い合わせができるようになるため、システムへの利便性が向上し顧客満足度は高まりリピート率は向上するでしょう。コラボスでは、オムニチャネル化導入に必要なシステムを提供しております。コールシステム導入のご検討の際は、コラボスまでお気軽にご相談ください。

この記事の執筆者

    コラボスブログ編集部

    株式会社コラボスは、2001年に設立。現在、東京・大阪にオフィスを構えており、
    960拠点以上のお客様へクラウドサービスを使ったCTIシステムを提供。
    本ブログ記事サイトでは、様々なニーズを抱えたお客様のお役に立てるような情報を日々発信。
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