コールセンターの生産性向上の方法 指標や低下の原因、改善策をご紹介

コールセンターの生産性向上は、顧客満足度を高めるだけでなく、業務効率を最大化するためにも重要です。

本記事では、コールセンターの生産性とは何か、そしてその生産性を管理するために使用される主要な指標について詳しく解説します。さらに、生産性低下の原因とその解決策、そして生産性を向上させるための具体的な方法についても紹介します。


コールセンターの生産性とは?

コールセンターの生産性とは、限られたリソース(人員やコスト)でどれだけ多くの成果(対応数や受注数等)を出せるかを示すものです。生産性が高いと、少ないリソースで多くの仕事をこなせるということです。
生産性は、コールセンターが効率的に運営されているかどうかを判断する重要な指標です。生産性を向上させることで、コスト削減や顧客満足度の向上が期待できます。
ただ、数値にだけ集中するのは避けるべきです。数値を管理しつつも常に「顧客のニーズにどれだけ応えているか」を意識し、生産性を高めていくことが重要です。

コールセンターの生産性の管理で使われる指標

①AHT

AHT(Average Handling Time、平均処理時間)は、オペレーターが1件の問い合わせを処理するのにかかる平均時間を示します。
この時間には、通話時間、保留時間、通話後の処理時間が含まれます。

AHTの計算式は以下の通りです。

  • AHT = (通話時間 + 保留時間 + 後処理時間) / 通話件数

例えば、通話件数が50件で、通話時間が500分、保留時間が100分、後処理時間が250分の場合、AHTは17分となります。

AHTが短いほど、オペレーターが効率的に対応していることを示しますが、短すぎると顧客満足度が低下する可能性もあります。
AHTを短縮するためには、オペレーターのトレーニングを強化し、効率的な対応を促進することが必要です。また、ナレッジベースやヘルプ記事を充実させることで、オペレーターが迅速に情報を提供できるようにすることも有効です。

②ATT

ATT(Average Talk Time、平均通話時間)は、オペレーターが顧客と実際に話している平均時間を示します。
この指標は、顧客とのコミュニケーションの質や効率を評価するために使用されます。

ATTの計算式は以下の通りです。

  • ATT=通話件数/総通話時間​

例えば、総通話時間が1,000分で、通話件数が100件の場合、ATTは10分となります。
ATTが長い場合、顧客との対話が充実している可能性がありますが、同時にオペレーターの対応効率が低下していることも示唆します。逆に、ATTが短すぎると、顧客の問題が十分に解決されていない可能性があり、顧客満足度の低下につながることがあります。

ATTを適切に管理するためには、以下の方法が有効です。

  • 通話内容の分析
  • トレーニングの強化
  • マニュアルやスクリプトの活用
  • FAQの充実

③ACW

ACW(After Call Work、平均後処理時間)は、オペレーターが顧客との通話を終えた後に行う処理にかかる平均時間を示します。この処理には、通話内容の記録、注文処理、クレーム対応の記録などが含まれます。

ACWの計算式は以下の通りです。

  • ・ACW=後処理時間の合計/対応件数​

例えば、対応件数が1,000件で、後処理時間の合計が300,000秒の場合、ACWは300秒(5分)となります。
ACWが長くなると、オペレーターが次の通話に対応するまでの時間が延び、顧客の待ち時間が増加します。待ち時間が増えることで、顧客満足度の低下や機会損失のリスクが高まります。

ACWを短縮するためには、以下の方法が有効です。

  • オペレーター教育の徹底
  • 後処理フローの見直し
  • システムの導入

ACWの短縮は、オペレーターの対応件数を増やし、コールセンター全体の生産性を向上させるだけでなく、顧客満足度の向上にも寄与します。

④CPC

CPC(Cost Per Call、通話あたりのコスト)は、1件の通話にかかる平均コストを示します。
コールセンターの運営効率やコスト管理の評価に使用されます。

CPCの計算式は以下の通りです。

  • CPC =総運営コスト/総通話件数

例えば、総運営コストが1,000,000円で、総通話件数が10,000件の場合、CPCは100円となります。

CPCが低いほど、コールセンターが効率的に運営されていることを示します。
ただ、コストを削減しすぎると、サービスの質が低下する可能性があるため、適切なバランスを保つことが重要です。

CPCを低減するためには、以下の方法が有効です。

  • オペレーターの効率化
  • システムの導入
  • 業務フローの見直し
  • 適切な人員配置

CPCの低減は、コールセンターの運営コストを削減し、全体の生産性を向上させるだけでなく、顧客満足度の向上にも寄与します。

⑤CPH

CPH(Calls Per Hour、1時間あたりの通話件数)は、オペレーターが1時間に対応できる通話件数を示します。
オペレーター個々の能力だけでなく、コールセンター全体の効率を測るためにも使用されます。

CPHの計算式は以下の通りです。

  • CPH=総労働時間総通話件数​

例えば、総通話件数が200件で、総労働時間が50時間の場合、CPHは4件となります。

CPHが高いほど、オペレーターが効率的に対応していることを示しますが、通話の質が低下する可能性もあるため、バランスが重要です。

CPHを向上させるためには、以下の方法が有効です。

  • システムの改善
  • トレーニングの強化
  • マニュアルやスクリプトの整備
  • FAQの充実

CPHは、コールセンターの生産性や顧客満足度に直結する重要な指標です。適切に管理し、改善を続けることで、コールセンター全体のパフォーマンスを向上させることができます。

コールセンターの生産性低下の原因と解決策

通話時間が長い

通話時間が長くなる主な原因の一つは、顧客からの問い合わせ内容が複雑かつ難しいことです。
特に技術的な問題や複数のステップを必要とする手続きの場合、詳細な説明や確認が必要となり、時間がかかります。

また、オペレーターのスキル不足も原因の一つです。経験が浅いオペレーターは、問題の特定や解決に時間がかかりがちです。
さらに、顧客情報の検索や確認に時間がかかる場合もあります。システムが使いにくかったり、情報が分散していると、必要な情報を探すのに時間がかかり、通話時間が延びてしまいます。

解決策

通話時間を短縮するためには、まずオペレーターのスキル向上が重要です。
定期的なトレーニングを実施し、効率的な問題解決方法やコミュニケーションスキルを習得させることが必要です。
また、FAQやスクリプトを整備することで、よくある質問や対応方法を迅速に提供できるようにします。
これにより、オペレーターは迅速かつ正確に対応できるようになります。

さらに、CRMシステムの導入も効果的です。顧客情報を一元管理し、必要な情報に迅速にアクセスできるようにすることで、通話時間を短縮できます。
上で述べた対策を組み合わせることで、通話時間を効果的に短縮し、コールセンターの生産性を向上させることができます。

通話前後の作業効率が悪い

通話前後の作業や対応に時間がかかると、コールセンターに電話をかけているお客様を長く待たせることになり、生産性が低下します。これは、オペレーターが通話後に行うデータ入力や処理に時間がかかるためです。

この問題の主な原因は、オペレーターの入力スキルが不足していることです。タイピングが遅いだけでなく、単語登録やショートカットキーの活用が不十分であることが考えられます。データ入力に時間がかかり、次の通話に迅速に対応できなくなります。

さらに、システムの使い勝手が悪い場合も、作業効率が低下します。複雑な操作や多くの手順が必要なシステムでは、オペレーターが必要な情報を迅速に入力・検索するのが難しくなります。

解決策

通話前後の作業効率を向上させるために、コールセンターシステムの導入が非常に効果的です。
まず、CRM(顧客関係管理)システムを導入することで、顧客情報を一元管理し、オペレーターが必要な情報に迅速にアクセスできるようになります。入力するデータも必要な項目に絞られるため、通話中や通話後のデータ入力時間を大幅に短縮できます。

次に、音声認識システムの活用が挙げられます。例えば、通話内容を自動でテキスト化するツールを導入することで、オペレーターが手動で入力する手間を省くことができます。
また、FAQやスクリプトを自動で表示するシステムを導入することで、オペレーターが迅速に適切な対応を行えるようになります。

さらに、IVR(自動音声応答)システムを導入することで、顧客が自分で問題を解決できるようにすることも可能です。これにより、オペレーターの負担を軽減し、より複雑な問題に集中できるようになります。

オペレーターが不足している

オペレーター不足の原因は多岐にわたります。まず、採用の難化が挙げられます。少子高齢化により労働人口が減少し、適切なスキルを持つ人材の確保が難しくなっています。
次に、顧客対応の複雑化です。問い合わせ内容が多様化し、迅速かつ正確な対応が求められるため、オペレーターの負担が増加しています。
さらに、ストレスの多い業務も原因の一つです。クレーム対応や高いコミュニケーションスキルが求められるため、精神的な負担が大きく、離職率が高くなります。
最後に、教育体制の不足が挙げられます。新人オペレーターに対する十分な研修が行われず、業務に対する不安やストレスが増加し、早期離職につながっています。

解決策

オペレーター不足を解消するためには、コールセンターシステムの導入が効果的です。
まず、CRM(顧客関係管理)システムを導入することで、顧客情報を一元管理し、オペレーターが迅速かつ正確に対応できる環境を整えます。
次に、CTI(コンピュータ電話統合)システムを活用することで、着信時に顧客情報を自動表示し、対応時間を短縮できます。
さらに、IVR(自動音声応答)システムを導入することで、顧客が適切な担当者に迅速に接続されるようにし、待ち時間を短縮します。
FAQシステムを活用することで、顧客が自己解決できるようにし、問い合わせ件数を減少させます。最後に、SMSを活用することで、顧客に迅速に情報を提供し、対応の効率化を図ります。

これらのシステムを導入することで、オペレーターの負担を軽減し、業務効率を向上させることができます。結果として、オペレーターの定着率が向上し、人手不足の解消につながります。

コールセンターの生産性向上のための方法

現状の分析

生産性を上げるためには、まず現在の状況を整理することが大切です。

たとえば、「話し方の手順がわかりにくくて案内が迷う」「同じ内容のマニュアルが複数あって混乱する」など、実際の現場で問題になっていることや業務の障害になっていることを洗い出して整理します。

また、生産性にはコストも大きく関わってきます。「オペレーターの人数が電話の数に対して適切か」「センターの運営コストはどれくらいか」など、1通話あたりの費用(CPC)を基に整理しましょう。

現状を整理するときは、センター長やスーパーバイザーだけでなく、オペレーターやチームリーダーなど、現場で働いている従業員からも情報を集めることが重要です。

目標との乖離を把握する

目標設定を見直す際には、無理な目標を設定していないか、目標との実績の乖離を確認することが重要です。

目標設定は高ければ良いというわけではありません。あまりにも現実離れした目標設定は、従業員のモチベーションに悪影響を与える可能性があります。現実的な目標設定を行うことで、従業員が取り組みやすく、生産性を向上させることができます。

さらに、達成不可能な目標を設定してしまうと、投入したリソースが無駄になり、逆に生産性を低下させることにつながることもあります。過去の実績を踏まえ、現実的かつ挑戦が可能な目標を設定し、従業員のモチベーションと生産性の両方を意識した運営を心がけましょう。

課題を洗い出す

生産性向上を図るためには、まず課題を明確にしていくことが重要です。

課題の洗い出しにおいて、「現状を整理する」作業と重なる部分もありますが、単に表面的な問題にとどまらず、その背景や原因を追求することが鍵となります。

例えば、「後処理時間が長い」「折り返しが多い」という課題が浮かんだ場合、それがなぜ起こるのか、どのような要因が影響しているのかについて議論し、原因を明確にします。

原因追求を行うことで、課題解決の具体的な目標設定が可能になり、効果的な生産性向上策を迅速かつ合理的に進めることができるでしょう。

施策を推進する

課題を洗い出したら、それを基に施策を検討し実施することが重要です。

適切な施策は各センターが抱える課題によって異なりますが、一般的な施策として以下の4つが考えられます。

  • コスト削減
  • 生産性を高める成果を増やす(ACWやCPHの改善など)
  • 無駄な作業工程を削減する

人材や部門を増やして規模を拡大する
施策を実施する際の注意点として、複数の施策を同時に進めることは避けるべきです。複数の施策を同時に進行させると、効果の判定が困難になり、関係者が対応しづらくなる可能性があります。

すぐに実行可能な施策が見つかったとしても、一度に1つずつ取り入れ、その効果を確認しながら進めることが重要です。

指標のモニタリングを行う

生産性向上を目指す上で、継続的な指標のモニタリングが非常に重要です。

先述した5つの生産性指標(AHT/ATT/ACW/CPC/CPH)は数値化されており、これらのデータを収集し、定期的にモニタリングすることが可能です。

ただし、指標を一度だけ測定し分析し施策を進めるだけでは、成果を上げるのは難しいと言えます。日々の業務の一環として、時間単位や日単位で細かくモニタリングすることで、各施策がどの程度生産性向上に寄与しているかを明確にすることができます。

このように、定期的なモニタリングにより数値面から改善ポイントを発見し、早期に課題に取り組むことで、効率的かつ効果的に、コールセンター全体の生産性向上に貢献することができるでしょう。

オペレーター教育の実施

コールセンターの生産性を改善するためには、オペレーターの教育を並行して行うことも重要な役割を果たします。教育の実施は、以下の3つの観点から特に効果的です。

応対品質の向上: オペレーターの教育を通じて、顧客対応のスキルを向上させることができます。具体的には、初期研修で基本的な電話応対やビジネスマナーを学び、フォローアップ研修で実際の業務に即したケーススタディを行うことで、応対品質を均一に保つことができます。
業務効率の改善: 教育を通じて、オペレーターが効率的に業務を遂行できるようになります。例えば、スキルアップ研修では、効率的な情報収集や問題解決の手法を学びます。
定着率の向上: 教育が充実していると、オペレーターは自信を持って業務に取り組むことができ、離職率の低下につながります。

コンタクトセンターシステムの導入

以上を行い、業務を効率化しても限界があることもあります。
そんなときには、コールセンターシステムを導入して業務効率化を図ることも重要です。これにより、人が介在する必要のない業務を省力化できます。
例えば、「CRMと連携して顧客情報の入力作業を削減する」などの効果が期待できます。

さらに、コールセンターのスーパーバイザーは日々の業務に追われ、生産性向上のためのデータ分析や改善活動に充分な時間を割けていません。この課題を解消するためには、「レポート機能」を備えたコールセンターシステムの導入が必要です。レポート機能を活用することで、「リアルタイムでセンターの状況をグラフ表示する」「設定した数値を下回った場合にアラートを発信する」など、効果的な生産性管理が可能になります。

また、指標に基づいた改善活動にもレポート機能は役立ちます。例えば、Excelで集計する場合は時間がかかりますが、コールセンターシステムのレポート機能を使えば自動的にデータを取得し、効率的にデータ分析が行えます。

さらに、レポート機能は「オペレーターの対応状況の確認」や「コールセンター全体の対応情報の可視化」にも役立ちます。

コールセンターの生産性向上ならコラボス

VLOOMは、AI技術を活用した多機能性によりオペレーターの負担を軽減し、柔軟なコールフロー設定で顧客対応を迅速化します。クラウドベースのシステムで在宅勤務にも対応可能で、顧客データの活用によりパーソナライズされたサービス提供が可能です。こういった機能を用いることで、顧客満足度が向上し、効率的なコンタクトセンター運営の実現に寄与します。コンタクトセンターシステムの導入をお考えの方はぜひ、VLOOMの導入を検討してみてください。

まとめ

コールセンターの生産性を向上させるためには、まず現状を正確に把握し、適切な指標を用いて管理することが不可欠です。
AHT、ATT、ACW、CPC、CPHといった指標を活用し、通話時間や作業効率、オペレーターの配置などの課題を洗い出し、具体的な解決策を実施することが求められます。

また、オペレーターの教育やコンタクトセンターシステムの導入も重要な要素です。こういった取り組みを通じて、コールセンターの生産性を高め、顧客満足度の向上と業務効率の最大化を実現しましょう。

この記事の執筆者

コラボスブログ編集部

株式会社コラボスは、2001年に設立。現在、東京・大阪にオフィスを構えており、
960拠点以上のお客様へクラウドサービスを使ったCTIシステムを提供。
本ブログ記事サイトでは、様々なニーズを抱えたお客様のお役に立てるような情報を日々発信。
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