失敗事例から学ぶ!チャットボット運用を成功させる4つのポイント

メッセージを送ると自動的に返事が来る「チャットボット」は、顧客からのお問い合わせ対応や、マーケティング戦略、社内における業務効率化を目的として多くの企業で導入されています。
しかし、チャットボットは導入しただけでは機能を発揮することは難しく、失敗事例も少なくありません
今回は、チャットボットの失敗事例を踏まえ、チャットボットを導入する際のポイントを解説していきたいと思います。
チャットボットとは
チャットボットは、チャット(chat)とボット(bot)を組み合わせた造語で、自動会話を可能にするプログラムのことを指します。
近年では、社内チャットボットを導入する企業が増えており、顧客からの問い合わせの対応や社内での業務効率化のために利用されています。
チャットボットは便利な反面、導入や運用の際にいくつかの課題抱えています。
そのため、チャットボットの機能を最大限活用するにはチャットボットの課題面を理解する必要があるのです。
押さえておきたいチャットボット3つの課題
チャットボット選びや導入に失敗しないためには、チャットボットの課題を理解しておくことが重要です。
チャットボットの課題として以下の3つが挙げられます。
- 導入・準備期が必要
- ユーザーからの質問に答えられない場合がある。
- 定期なメンテナンスが必要
以下ではそれぞれの課題について詳しく解説していきたいと思います。
①導入・準備期間が必要
チャットボットの導入自体は比較的簡単ですが、自社の業務を担う場合には準備期間が必要となります。
準備の内容としては、シナリオ型にはFAQのシナリオやフローの登録、AI型には質問と回答のデータ(教師データ)を読み込ませ回答精度を高める必要があります。
またチャットボットを導入した場合、コールセンターのKPIも変わってくるため、運用に当たって社内ルールの変更なども行う必要があるでしょう。
また、リリース前の試用期間なども必要となるので、チャットボットの導入には一定の期間が必要と考えておきましょう。
②ユーザーからの質問に答えられない場合がある
現状チャットボットでは、完全な無人化を実現することはできません。
シナリオ型のチャットボットでは、簡単なFAQ内容など登録されたシナリオやルールに沿って応対するため、予想していない問い合わせには回答することができず、オペレーターによる有人対応が必要になります。
またAI型チャットボットでも、表記ゆれなどにも対応した回答ができますが、長文や複雑な内容のお問い合わせに対しては正しい回答ができない場合もあるため、同様に有人対応と切り替える必要があるのです。
③定期的なメンテナンスが必要
チャットボットを運営する際には定期的なメンテナンスやチューニングは必須です。
シナリオ型では、顧客からの問い合わせに対し答えられなかった内容や、よく質問されている内容をFAQに組み込む作業が必要になります。
また、AI型も定期的に教師データを追加していき、回答精度を向上させるためのチューニング作業が必須です。
メンテナンスやチューニング作業にどれだけ時間と手間をかけられるかが、チャットボット運用を成功させるポイントとなります。
ここまで挙げたチャットボットの課題を理解せずにチャットボットを導入するとどのような問題が発生するのでしょうか。
ここからは実際の失敗事例をご紹介していきます。
失敗事例①:チャットボット導入の際にKPI(目的)を設定しないでリリースしたため成果が出ない...
業務効率化を期待して自社にもAI型のチャットボットを導入した企業がありました。
はじめはチャットボット利用者が一定数おり、業務効率化の兆しが見えましたが、なかなか効果が現れず運営側もチャットボットを放置してしまいました。
その結果ユーザーの利用率が著しく低下し、社内からの評判も下がり、チャットボットの効果を発揮する間もなく運用を中止してしまいました。
原因
この失敗事例の原因は、チャットボット導入における目的やKPIを明確に設定せずに導入したことにあります。
コールセンターのKPIで重視されるAHT(平均処理時間)はチャットベースの対応では評価しづらく、改善することは難しいといえます。
結果、チャットボットの効果を数字で表すことができず、効果を発揮する前にチャットボットの運営を中止してしまったのです。
対策のポイント
チャットボット導入の際には、以下の3項目を明確に設定しましょう。
- 目的:チャットボットを導入する目的
- 想定ユーザー:想定するユーザーは
- KPI:どのように評価をするか。
KPIに関しては、従来のコールセンターで設定していたKPIだけでなく、「対応件数」「チャンネル転換率」「チャット完了率」などで評価するのがポイントです。
失敗事例②:社内問い合わせのチャットボットが利用されない…
とある企業では、社内ヘルプデスクや、人事や経理などバックオフィス関連のよくある問い合わせの対応を効率化させるため、チャットボットを導入しました。
チャットボット導入直後はよく利用され、電話での問い合わせ数が削減されていきましたが、時間が経つにつれ、逆に電話での問い合わせ増加し、最終的には電話対応数も以前と変わらない数になってしまいました。
その後、社内におけるチャットボット利用者数は減り、チャットボットのメリットを発揮できませんでした。
原因
今回のケースでは、主にFAQや選択肢の増やしすぎが原因の1つといえます。
全ての問い合わせに対応させるために多数のFAQを登録すると、回答の選択肢が増えすぎて、回答精度や使いやすさは低下します。
その結果、チャットボット利用者の離脱率が増加してしまったのです。
対策のポイント
特にシナリオ型のチャットボットでは、簡潔なシナリオを作成するのがポイントです。
選択肢を増やしすぎず3~5つ程度にとどめ、設定した以上の選択肢や段階で電話対応へ切り替えるよう対策するのがおすすめです。
失敗事例③:コールセンターへの電話問い合わせが減らない…
運営するコールセンターへ自己解決可能な簡単な問い合わせが多いため、ホームページによくある質問のページを作成するのに加えて自動対応なチャットボットを導入しました。
オペレーターの負担軽減や人件費削減、業務効率化などの効果を期待していたものの、一向にコールセンターへのお問い合わせ電話が減らないといった状況が続きました。
結果的にチャットボットの機能を発揮することができず経営陣からの一声で運用を辞めてしまいました。
原因
コールセンターの場合いくつかの原因が挙げられますが、まずそもそもチャットボットを利用されないといった原因が挙げられます。
チャットボットを利用するまでの接点や導線設計が不親切であったり、年配者向けのコールセンターでは、HPに掲載されているFAQの存在やチャットボットの利用方法が分からないといったケースが考えられます。
また、ユーザーがチャットボットを利用したものの知りたい情報が無かったり、ユーザーの質問を引き出しにくいシナリオが設定されているため、チャットボット利用者数が減り電話数が減らなかったといえます。
対策のポイント
コールセンターへのチャットボットを導入する際には、チャットボットで対応する想定ユーザーを明確に設定しましょう。
また、チャットボットが正しく回答できているかを判断する「自動応対件数」を意識したシナリオの分析や、定期的にメンテナンスなどの修正が必要となります。
失敗事例④:ニーズに合わない情報を発信し続けて受信拒否されてしまった…
とあるBtoC企業では、ユーザーの身近なコンテンツであるSNSとチャットボットを連携し、おすすめの商品やキャンペーン情報を配信していました。
最初はユーザー数が少しずつ増え、多くのユーザーへ情報を発信していましたが、徐々に費用対効果に見合わない結果を残すようになりました。
そのまま情報を発信し続けていましたが、ユーザーから受信拒否されていることに気付き、発信することを辞めてしまいました。
原因
チャットボットをSNSと連携することで、ユーザーは気軽にお問い合わせができるため、顧客接点の増加が期待できます。
ですが、ユーザーのニーズは人それぞれなので、ニーズからずれた内容の情報を流し続けてしまうと、不必要な情報として拒否やブロックされてしまうケースは少なくありません。
ニーズの傾向を把握するには顧客の情報やメッセージ履歴から汲み取る必要があります。
ユーザーのニーズに合わせた情報を発信したいと考えていても分析できる顧客情報がなければ改善は難しいのです。
対策のポイント
このケースの対策案として、チャットボットのメッセージ履歴などを分析し、顧客のニーズを汲み取ることが挙げられます。
ターゲットの興味のある情報を定期的に配信することで、顧客離れの防止だけでなく、見込み顧客の育成などにも繋げることができるでしょう。
チャットボット導入の成功事例
チャットボットは導入するだけで効果を発揮するものではありませんが、準備とメンテナンスをしっかりと行うことで、大きなメリットを生み出します。
とある企業では、チャットボットを導入した結果、電話での問い合わせ数を削減しただけでなく、顧客満足度・売上の向上に成功しました。
この企業では、チャットボットの費用対効果を計測するために、明確なKPIを設定し、運用を開始しました。その結果効果が明確に現れたため、メンテナンス・チューニングにかけられる予算枠も拡大し、チャットボットの利便性が徐々に向上したのです。
現在その企業はチャットボットによって収集した顧客の声を分析し、そのデータをマーケティング施策の策定に活用しています。
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この記事の執筆者
コラボスブログ編集部
株式会社コラボスは、2001年に設立。現在、東京・大阪にオフィスを構えており、
960拠点以上のお客様へクラウドサービスを使ったCTIシステムを提供。
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